石楠花しゃくなげ

Easy Japanese news
Jan 6, 2025 16:01 1
Furigana
Journal japonais

佐渡さど大倉村おおくらむらに、とても元気げんき可愛かわいむすめが、こり両親りょうしん3にんらしていた。むすめは、はるからあきにかけて放牧ほうぼくしているうし世話係せわがかりだったが、まだまだあそびたい年頃としごろだった。

そんななかくろ子牛こうしまれた。くろ子牛こうしがすくすくそだのがうれしくて、すっかりはたらものになってうし世話せわ両親りょうしん手伝てつだいやかおせずやっていた。ひとふゆしたある母牛ははうし病気びょうきんでしまった。これををきっかけに、むすめますますくろ子牛こうし大切たいせつそだてた。

それから2年目ねんめなつ子牛こうし立派りっぱ若牛わかうし黒毛くろげ雄牛おうし)に成長せいちょうした。2ほんかく立派りっぱえそろい、4ほんあしもたくましく大地だいちり、毛並けなくろぐろ々とやかにひかっていた。むすめ黒牛くろうしにまたがり、やまなかけまわってらしていた。

あるよるむすめ黒牛くろうし一緒いっしょに、月夜つきよきれい加茂湖かもこった。かえさいかえったむすめまえに、たくましい若者わかものっていた。「わたしはあんたにそだててもらった黒牛くろうしだ。なつつき加茂湖かもこうつあいだだけ、わたし人間にんげん姿すがたなることができるんだ。わたしはあんたがだ。」

そのからむすめは、毎夜毎夜まいよまいよ加茂湖かもこえる月夜つきよばんに、若者わかもの黒牛くろうし)とようになった。むすめにとってはじめてはげしいこいだった。

そのとしふゆ立派りっぱそだった黒牛くろうし両親りょうしんことにしたが、むすめ反対はんたいした。そこでむすめているあいだ早朝そうちょうに、こっそりうしりにためれてった。づいてむすめいかけたが、とうげのがけしたで、くちからながしてんでしまった。

翌年よくねんはるむすめんでいた大倉峠おおくらとうげ一本いっぽん石楠花しゃくなげ)がえてきた。

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