「第12海兵連隊」は、沖縄本島の「キャンプ・ハンセン」に司令部を置く砲兵を中心とした2000人規模の部隊で、高機動ロケット砲システム「ハイマース」などを装備しています。
これを改編して沖縄に配備される「第12海兵沿岸連隊」は、対艦ミサイルや防空ミサイルなどを備えて機動的に展開する新たな部隊です。
防衛省によりますと、いまと同じ「キャンプ・ハンセン」に司令部が置かれ、2000人規模になる見通しです。
海兵隊の新たな運用構想を実行する中核の部隊とされ、戦闘が起きる前から離島などに分散し、ミサイルなどによる攻撃が想定される場所で相手の艦艇などの進出を防ぐ任務などにあたるとみられています。
今回の共同発表では、日本における最適化されたアメリカ軍の戦力態勢が、同盟の抑止力および対処力を実質的に強化することを確認したとしています。 防衛省は、日米両政府が2012年に発表した在日アメリカ軍の再編計画の基本原則は維持され、沖縄全体で海兵隊を1万人程度とする規模に変更はないとしています。
また今回の協議で日米の施設の共同使用を拡大することや共同演習や訓練を増やすことも確認されたことについて「かねてから沖縄の米軍基地の整理縮小、さらなる基地の返還を求めている中、日米の施設の共同使用や共同演習・訓練の増加により、これ以上の基地負担が生じることはあってはならない」としています。 そのうえで「今後、政府において詳細な説明や協議の機会を設けて頂きたい」としています。
また、同じ那覇市の60代男性は「戦争につながらない、けん制という意味では悪くないと思いますが、中国に刺激を与えることになるのでまずは外交努力をしてほしいと思います」と話していました。 さらに南風原町の19歳の女性は「沖縄の基地が県外のためにいいように使われている気がします。戦争に対する将来の不安も感じます」と話していました。
場所は「横浜ノース・ドック」で、横浜市神奈川区の瑞穂ふ頭にあるおよそ52万3000平方メートルの港湾施設です。 終戦後の昭和21年に、接収されて以来、アメリカ軍の物資の運送などに使用され、これまで横浜市は国に全面返還を求めてきましたが、返還されたのは一部にとどまっています。 直近では、2021年3月に「横浜ノース・ドック」に続く貨物列車の線路部分およそ1400平方メートルが返還されています。
防衛省によりますと、これまでは船舶を運用するために随時派遣されていた要員を常時配置し、13隻の船舶とおよそ280人で編成されるとしています。 船舶は、すでに配置されているものを使用するため増加はなく、新編に伴って追加される要員は、神奈川県内のアメリカ軍施設などに居住するとしています。 防衛省は、小型揚陸艇について、港湾がない場所や破壊された場所でも接岸できるため、南西諸島を含む必要な場所に迅速に展開が可能となり、自然災害を含むさまざまな緊急事態で日米が連携して対応する能力が向上するとしています。
理由については「厳しい安全保障環境に対応するため」と説明があったということです。 県からは具体的なスケジュールや周辺への影響などについて、より詳しい情報を提供し、必要な対策を取るよう申し入れたとしています。 神奈川県の黒岩知事は「横浜ノース・ドックは横浜港の中心に位置し、影響をできるだけ少なくするための対策が必要だ。県民の安全安心のために、関係自治体とも連携して、必要な対応を国に求めていきたい」とコメントを出しました。
市では、適時適切な情報提供や市民生活の安全・安心の確保を防衛省に申し入れたということです。 横浜市の山中竹春市長は「小型揚陸艇部隊の新編は、わが国の安全保障上、必要であることは理解するが、基地の恒久化につながるおそれがあり、『横浜ノース・ドック』の早期返還を求めている横浜市としては、遺憾と言わざるを得ない。市民生活の安全・安心に影響を及ぼすことのないよう、国に対し要請するとともに、引き続き早期返還を求めていく」とコメントしています。
「嘉手納弾薬庫地区」は、沖縄本島中部の嘉手納基地に隣接するアメリカ軍の施設で、広大な敷地の中に弾薬庫などが点在しています。 自衛隊は、平成15年から地区の一部を共同使用していて、現在は6棟の弾薬庫を使用しています。 防衛省によりますと、今回の共同発表では、新たに3棟の弾薬庫を共同使用するとしていて、改修工事などを行った上で令和7年度以降に使用を開始する予定だということです。
その上で「南西諸島における日米共同訓練を実施しながら、相互運用性の強化を図っていきたい」と述べ、アメリカ軍との訓練を通じてさらに連携を深めていく考えを示しました。 また、横浜市にことしの春ごろ、アメリカ陸軍の「小型揚陸艇部隊」が設けられることについては、「我々も小型の船舶を予算要求するなど、輸送部隊の準備を進めている。アメリカ軍と連携することによって迅速かつ分散した機動展開がますます容易になると思っている」と述べました。
このうち、那覇市に司令部がある陸上自衛隊の第15旅団は、地上での戦闘などを行う隊員数百人の普通科連隊を現在の1つから2つに増やして「師団」に改編し、指揮官の階級を陸将補から陸将に格上げするとしています。 防衛省関係者によりますと、指揮官は現地のアメリカ軍との調整も担うということです。 また、弾薬や燃料などを集積する補給拠点を沖縄本島にある陸上自衛隊の訓練場内に設置することを検討しています。 さらに日本最西端の与那国島の駐屯地に新たに地対空ミサイルの部隊の配備を検討していて、来年度予算には土地の取得費用などが盛り込まれています。 沖縄では2017年に航空自衛隊の部隊が増強されたほか、与那国島や宮古島に陸上自衛隊の駐屯地が相次いで開設され、今年度末には石垣島でも新たに駐屯地が置かれます。
また、沖縄の海兵隊の一部を「海兵沿岸連隊」に改編することについては、「日本が南西諸島を重視する方針と合致しているので、日米の戦術的な連携がより深まっていくのではないか。演習や訓練などさまざまな面でアメリカ軍の活動が活発に見えるようになると思う」と分析しています。 その上で「日米の一体化が進むのは間違いない。これは日本がアメリカの戦略に巻き込まれるというよりは、アメリカの戦略的な関心がインド太平洋地域において日本と類似していると考えるべきだと思う。同盟関係にある2か国の戦略が 同じ方向を向くというのは非常に自然なことだ」と指摘しています。
また、沖縄の海兵隊の一部を「海兵沿岸連隊」に改編することについては、「南西諸島の防衛を強化することは国民からある程度の理解が得られると思うが、反撃能力という名の敵基地攻撃能力の保有と一体となって周辺国に受け取られると、非常に挑発的だと思われる可能性がある。そこは一番気をつけなければいけない」と指摘しています。 その上で「すでに決めてしまったことは覆らないと思うが、それでも中身についてしっかりと議論をして国民の理解を得る努力をする必要がある。十分な理解が得られないものについては、あまり急がずに見直しができるものは見直すという柔軟な姿勢で臨んでもらいたい」と話しています。
沖縄県 玉城知事「影響を見極める必要」
沖縄 住民 「まずは外交努力」「戦争に対する不安も」
横浜にも新部隊
小型揚陸艇部隊を新編
神奈川県 黒岩知事「必要な対応を国に求めたい」
横浜市 山中市長「遺憾と言わざるを得ない」
嘉手納弾薬庫地区 自衛隊も追加で共同使用
陸上幕僚長「“海兵沿岸連隊” 島しょ防衛に極めて有効」
自衛隊も沖縄の部隊強化の方針
拓殖大 佐藤丙午教授「具体的な内容に踏み込んだ」
流通経済大 植村秀樹教授「国民の理解得る努力を」