有罪判決が取り消されたのは、黒人男性のムハンマド・アジズさん(83)と、2009年に74歳で亡くなったハリル・イスラムさんの2人です。
マルコムXは、アメリカで黒人差別の撤廃を求める公民権運動の活動家として注目されていた1965年、ニューヨークで演説中に銃で暗殺されました。
この事件をめぐっては、3人が殺人罪で起訴され、このうち、アジズさんとイスラムさんは終身刑になったものの、一貫して無罪を主張し、罪を認めたもう1人も2人の関与を否定していました。
こうした中、検察当局は去年1月、再捜査に乗り出し、その結果、2人が暗殺に関与していないことを示す証拠が見つかったほか、捜査当局が証拠の一部を隠蔽していたことが新たに分かりました。
検察当局が起訴の取り下げを申し立てたことを受けて、ニューヨークの裁判所は18日、事件から半世紀余りを経て、2人の有罪判決を取り消し、裁判官は「失われた長い年月を取り戻すことができないことを残念に思う」と述べました。

法廷では、検察当局が重大な法律違反があったとして謝罪したのに対し、アジズさんは「私たちが法廷に立つに至った出来事は、決してあってはならないことだった」と述べ、有罪判決が取り消された瞬間、傍聴席から大きな拍手がわき起こりました。
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