日本新聞: トンガの火山灰 3000キロ以上離れたオーストラリアに到達

トンガの火山灰かざんばい 3000キロ以上いじょう離はなれたオーストラリアに到達とうたつ

Jan 17, 2022 18:01

Furigana

南太平洋みなみたいへいよう・トンガの火山かざん島とうで15日にち発生はっせいした大だい規模きぼな噴火ふんかの火山灰かざんばいが、3000キロ以上いじょう離はなれたオーストラリアに達たっしていることが衛星えいせいの画像がぞうなどで確認かくにんされ、現地げんちの当局とうきょくが航空こうくう機きの航行こうこうなどに注意ちゅういを呼よびかけています。

気象庁きしょうちょうによりますと、日本にっぽん時間じかんの15日にち午後ごご1時じごろ、トンガ諸島しょとうの火山かざん島とう「フンガ・トンガフンガ・ハアパイ」で大だい規模きぼな噴火ふんかが発生はっせいし、噴煙ふんえんが高たかさ1万まん6000メートルまで上あがりました。

オーストラリア・ダーウィンの航空こうくう路ろ火山灰かざんばい情報じょうほうセンターによりますと、日本にっぽん時間じかんの17日にち午前ごぜん11時半じはんごろまでにオーストラリアの北東ほくとう部ぶに火山灰かざんばいが到達とうたつしたということです。

衛星えいせいの画像がぞうや付近ふきんを飛行ひこう中ちゅうの航空こうくう機きからの報告ほうこくなどをもとに確認かくにんした結果けっか、火山灰かざんばいの高度こうどは上空じょうくうおよそ12キロから19キロ、時速じそく92キロほどの速はやさで西にしへ進すすんでいるということです。

また火山灰かざんばいの広ひろがりを6時間じかんごとに予想よそうした結果けっかを公表こうひょうし、日本にっぽん時間じかんの17日にち午後ごご9時半じはんごろには北部ほくぶのダーウィン周辺しゅうへんにまでおよぶとしています。

18日にちの午前ごぜん3時半じはんごろには火山灰かざんばいはさらに西にしへと進すすみ、午前ごぜん9時半じはんごろはオーストラリアの北きた半分はんぶんを覆おおうと予想よそうしています。

気象きしょう衛星えいせい「ひまわり」の画像がぞうでも17日にち午前ごぜん11時じごろ観光かんこう地ちのケアンズなどがあるオーストラリア北東ほくとう部ぶ付近ふきんに茶色ちゃいろっぽい雲くものような影かげがかかり、しだいに西にしへと移うつっていく様子ようすが確認かくにんできます。

ダーウィンの航空こうくう路ろ火山灰かざんばい情報じょうほうセンターは航空こうくう機きへの影響えいきょう度どを示しめす「航空こうくう用ようカラーコード」で4段階だんかい中ちゅう、2番目ばんめに影響えいきょうが大おおきい「オレンジ」を発表はっぴょうし、航空こうくう機きの航行こうこうなどに注意ちゅういを呼よびかけています。

専門せんもん家か「火山灰かざんばい南半球みなみはんきゅうの広ひろ範囲はんいにおよぶおそれ」

トンガの火山かざん島とうで発生はっせいした大だい規模きぼな噴火ふんかによる影響えいきょうについて、東京とうきょう大学だいがく火山かざん噴火ふんか予知よち研究けんきゅうセンターの鈴木すずき雄治郎ゆうじろう准じゅん教授きょうじゅは上空じょうくうを流ながれる火山灰かざんばいが今後こんご、南半球みなみはんきゅうの広ひろ範囲はんいにおよぶおそれがあると指摘してきしています。一方いっぽう、日本にっぽん付近ふきんにただちに到達とうたつする可能かのう性せいは低ひくいということです。

鈴木すずき准じゅん教授きょうじゅによりますと、今回こんかいの噴火ふんかでは噴き上ふきあげられた火山灰かざんばいなど大量たいりょうの噴出ふんしゅつ物ぶつが上昇じょうしょうして出来できる、大だい規模きぼな噴火ふんかに特徴とくちょう的てきな「傘かさ型がた噴煙ふんえん」が形成けいせいされました。

衛星えいせいの画像がぞうなどから、火山灰かざんばいは上空じょうくう16キロ付近ふきんに達たっしたあと「貿易ぼうえき風ふう」に流ながされて西にしへと進すすみ、3000キロ以上いじょう離はなれたオーストラリアまで到達とうたつしたということです。

さらに火山灰かざんばいは今後こんご、「貿易ぼうえき風ふう」に乗のって南半球みなみはんきゅうのさらに広範囲こうはんいにおよぶとみられるほか、赤道あかみち付近ふきんのインドネシアやシンガポールなど東南アジアとうなんあじあの各地かくちに広ひろがる可能かのう性せいがあると指摘してきしています。

一方いっぽう、日本にっぽんへの影響えいきょうについては、距離きょりが離はなれているうえ、北きた半球はんきゅうの中なか緯度いど帯たいでは「偏西風へんせいふう」が吹ふいていることから、火山灰かざんばいがただちに到達とうたつする可能かのう性せいは低ひくいということです。

鈴木すずき准じゅん教授きょうじゅは、「火山灰かざんばいは風かぜに乗のって運はこばれる間まに粒つぶの大おおきなものは、すでに海うみに落おちているとみられるため、火山灰かざんばいが及およぶ地域ちいきで地表ちひょうに降り積ふりつもる可能かのう性せいは低ひくいと考かんがえられる。ただ、航空こうくう機きのエンジンが火山灰かざんばいを吸い込すいこむと最悪さいあくの場合ばあい、止とまってしまうおそれがあり、付近ふきんを運航うんこうする航空こうくう機きは十分じゅうぶんな注意ちゅういが必要ひつようだ」と指摘してきしています。

さらに、火山灰かざんばいが気候きこう変動へんどうに与あたえる影響えいきょうについては、「噴煙ふんえんの高たかさなどから現時点げんじてんでは大おおきな影響えいきょうを与あたえるほどではないと見みているが、噴火ふんかのメカニズムなど分わかっていないことが多おおく、今後こんご、詳くわしく調しらべる必要ひつようがある」と話はなしています。