日本新闻: 髪長姫 - Todaii: Easy Japanese

髪長姫かみながひめ

Feb 10, 2025 16:02

Furigana

念願ねんがんの子宝こだからを授さずかったものの、産うまれた女おんなの子こはいつまでたっても髪かみが生うえなかった。

両親りょうしんが不思議ふしぎに思おもっていた頃ころ、沖おきの向むこうで不思議ふしぎな光ひかりが発はっせられるようになり、漁りょうができなくなってしまった。そこで両親りょうしんはその光ひかりを確たしかめるために船ふねで沖おきへ出でた。母親ははおやが海うみに潜もぐると光ひかっているところに観音様かんのんさまが埋うまっていた。それをとろうとした母親ははおやは観音像かんのんぞうを守まもっていたうつぼに襲おそわれ、助たすけようとした父親ちちおやは死しんでしまった。母親ははおやも観音様かんのんさまを抱かかえて浜はまに戻もどると息いきを引ひき取とった。村人むらびとたちは観音様かんのんさまを丘おかの上うえに祀まつり、娘むすめは親切しんせつな人ひとに引ひき取とられて暮くらしていた。

ある夜よる、娘むすめが寝ねていると観音様かんのんさまが夢枕ゆめまくらに現あらわれて両親りょうしんの願ねがいを叶かなえてやるという。翌朝娘よくあさむすめが起おきてみると見事みごとに黒くろい髪かみが生うえていた。こうして娘むすめは美うつくしい黒髪くろかみとともに成長せいちょうし、その見事みごとな黒髪くろかみの娘むすめは髪長姫かみながひめと呼よばれるようになった。娘むすめは髪かみを梳くしけずる時ときに抜ぬけた毛けを大事だいじに一本いっぽんずつ庭にわの木きの枝えだに掛かけておいた。

その頃ころ、帝みかどの住すむ京きょうの御所ごしょで軒下のきしたの小鳥ことりの巣すに見事みごとな黒くろい髪かみが垂たれ下さがっているのを見みつけ、これほどの美うつくしい髪かみの女性じょせいはさぞ美うつくしいに違ちがいないと、国中くになかに命めいじてその髪かみの持のち主ぬしを探さがさせた。
その髪かみこそ髪長姫かみながひめのもので、姫ひめは帝みかどの招まねきにより京きょうの御所迎ごしょむかえられることになった。髪長姫かみながひめは両親りょうしんの墓はかに別わかれをつげ、帝みかどのもとで可愛かわいい赤子あかごを産うみいつまでも幸しあわせに暮くらした。