日本新闻: 埼玉道路陥没「損傷大きければ完全復旧に2、3年の可能性も」

今回こんかいの道路どうろ陥没かんぼつを受うけて復旧ふっきゅうに向むけた検討けんとうを進すすめるため、埼玉さいたま県けんは、大学だいがく教授きょうじゅなどで作つくる「復旧ふっきゅう工法こうほう検討けんとう委員いいん会かい」を設置せっちしています。

委員いいん長ちょうを務つとめる日本にっぽん大学だいがくの森田もりた弘昭ひろあき教授きょうじゅが、NHKの取材しゅざいに応おうじ、今後こんごの見通みとおしについて下水道げすいどう管かんの損傷そんしょうが大おおきければ、完全かんぜんな復旧ふっきゅうには2、3年ねんかかる可能かのう性せいもあると指摘してきしました。

現場げんば付近ふきんは硫化りゅうか水素すいそが発生はっせいしやすかった可能かのう性せい

埼玉さいたま県けんは、道路どうろが陥没かんぼつしたのは、下水道げすいどう管かんが破損はそんしてそこに土砂どしゃが入り込はいりこみ土どの中なかに空洞くうどうができたことが原因げんいんとみています。

破損はそんの理由りゆうとして考かんがえられているのが硫化りゅうか水素すいそです。下水道げすいどう管かんを流ながれる汚水おすいに含ふくまれる生なまゴミなどの有機物ゆうきぶつから硫化りゅうか水素すいそが発生はっせいし、空気くうきに触ふれることで硫酸りゅうさんとなり、コンクリート製せいの管かんの腐食ふしょくを引き起ひきおこします。

腐食ふしょくで穴あなが開ひらくと、そこに土砂どしゃが流れ込ながれこむことで、下水道げすいどう管かんの上うえに空洞くうどうができていた可能かのう性せいがあるということです。加くわえて、この地域ちいきは地下ちか水すいを含ふくむ砂地すなじのため、空洞くうどうが大おおきくなりやすい特性とくせいがあったとしています。

森田もりた教授きょうじゅは、こうした点てんに加くわえて、現場げんば付近ふきんでは、下水道げすいどう管かんの構造こうぞう上じょう、硫化りゅうか水素すいそが発生はっせいしやすかったのではないかと指摘してきしています。

具体ぐたい的てきには現場げんばの10メートルほど上流じょうりゅう部ぶで汚水おすいが巨大きょだいなマンホールに入はいったあと陥没かんぼつの原因げんいんとみられる直径ちょっけい4.75メートルの管かんに流れ込ながれこむ構造こうぞうですが、このマンホールに入はいる際さいに水みずが勢いきおいよく流ながれてかき混かきまぜられることになるため腐食ふしょくの原因げんいんにつながる硫化りゅうか水素すいそが発生はっせいしやすい状況じょうきょうになっているということです。

森田もりた教授きょうじゅは「マンホールに落下らっかした汚水おすいが管かんの高低こうてい差さによってかき回かきまわされることで硫化りゅうか水素すいそが発生はっせいしやすい。現場げんば付近ふきんの天井てんじょう部分ぶぶんに硫化りゅうか水素すいそが付着ふちゃくして硫酸りゅうさんとなり、穴あながあいたと考かんがえられる。この下水道げすいどう管かんは、1983年ねんから使つかわれているが、当時とうじは硫化りゅうか水素すいそが発生はっせいすることでコンクリートが腐食ふしょくするとはあまり知しられていなかった。何なに十じゅう年ねんもかけて空洞くうどうが大おおきくなったのではないか」と指摘してきしています。

「完全かんぜんな復旧ふっきゅうには2、3年ねんかかるのではないか」

また、復旧ふっきゅう作業さぎょうについては、下水道げすいどう管かんの損傷そんしょう部分ぶぶんを確認かくにんしたあと、ほかの部分ぶぶんにも硫化りゅうか水素すいそによる腐食ふしょくが進すすんでいないか、調査ちょうさする必要ひつようがあるとしています。

今後こんごの見通みとおしについては「下水道げすいどう管かんの天井てんじょう部分ぶぶんに穴あながあいているだけであれば、半はん円形えんけいのパイプを上うえからかぶせるなどしてから埋うめ戻もどすことで対応たいおうできるが、損傷そんしょうが大おおきければ、新あらたに別べつのルートを探さがして、バイパスを作つくる必要ひつようがあり、その場合ばあい、完全かんぜんな復旧ふっきゅうには2、3年ねんかかるのではないか」としています。

現場げんば近ちかくの卓球たっきゅう場じょうでキャンセル相次あいつぐ

陥没かんぼつ現場げんば近ちかくにある卓球たっきゅうの練習れんしゅう場じょうでは、利用りようのキャンセルが相次あいついでいて経営けいえいへの影響えいきょうを心配しんぱいする声こえが聞きかれました。

現場げんばから300メートルほどの場所ばしょにある八潮やしお市しの卓球たっきゅうの練習れんしゅう場じょうでは、あわせて3台だいの卓球たっきゅう台だいを設置せっちしていて事故じこのあとも建物たてものやライフラインに影響えいきょうはなく通常つうじょう通どおり卓球たっきゅう教室きょうしつなどを開ひらいています。

しかし、およそ8割わりを占しめる市外しがいから訪おとずれる利用りよう客きゃくを中心ちゅうしんに事故じこの後のち「通かようための道路どうろを通とおるのが不安ふあんだ」とか「家族かぞくに練習れんしゅうに行いくのを止とめられた」といった理由りゆうでキャンセルが相次あいつぎ今月こんげつの予約よやくは先月せんげつに比くらべて1割わりほど減へっているということです。

卓球たっきゅう場じょうを運営うんえいする会社かいしゃ「卓球たっきゅう家か840」正せい海うみ三さん弘ひろし社長しゃちょう

「長期ちょうき化かすると経営けいえいへの影響えいきょうが非常ひじょうに大おおきくなるので心配しんぱいです。運転うんてん手しゅが救出きゅうしゅつされるのが第だい一いちですが、通常つうじょう通どおり営業えいぎょうしているため、安心あんしんして来きてほしいです」

陥没かんぼつ事故じこから2週間しゅうかん地域ちいきへの影響えいきょう続つづく

陥没かんぼつ事故じこ発生はっせいから11日にちで2週間しゅうかんがたちますが、地域ちいきへの影響えいきょうは続つづいています。

【近隣きんりん住民じゅうみんの避難ひなん】

崩落ほうらくが相次あいつぐ中なか、県けんは本格ほんかく的てきな捜索そうさくに向むけて妨さまたげになっていたコンクリート製せいの管かんの撤去てっきょ工事こうじにともなって、さらに広ひろい地域ちいきで崩落ほうらくのおそれがあるとして、陥没かんぼつ現場げんば近ちかくの16世帯せたいおよそ40人にんに避難ひなんを要請ようせいしました。県けんは希望きぼうする人ひとに八潮やしお市内しないや周辺しゅうへんの自治体じちたいのホテルを確保かくほしています。

また、八潮やしお市しは陥没かんぼつ現場げんばから半径はんけい50メートルの範囲はんいに住すんでいる人ひとたちに不安ふあんに感かんじる場合ばあいは避難ひなんを呼よびかけていて、市しの体育館たいいくかん「エイトアリーナ」を開放かいほうし避難ひなん所しょを設置せっちしています。

県けんや市しによりますと、11日にちの時点じてんで体育館たいいくかんに5世帯せたい7人にんが、県けんが用意よういしたホテルに8世帯せたい12人にんが、それぞれ避難ひなんしているということです。

【節水せっすい呼よびかけ】

節水せっすいの呼よびかけも続つづいています。

埼玉さいたま県けんは下水道げすいどう管かんに流れ込ながれこむ汚水おすいの量りょうを減へらすため県内けんないの12と市しと町まちの住民じゅうみんに節水せっすいして排水はいすい量りょうを減へらすよう求もとめています。対象たいしょうとなるのは、八潮やしお市し、さいたま市し緑みどり区くと岩槻いわつき区く、川口かわぐち市しの一部いちぶ、春日部かすかべ市しの旧きゅう庄和しょうわ町まちを除のぞく地域ちいき、草加そうか市し、越谷こしがや市し、蓮田はすだ市し、幸手さって市し、白岡しらおか市し、伊奈いな町まち、宮代みやしろ町まち、杉戸すぎと町まちです。