一日中寝ていて、村人から怠け者と嫌われ、寝太郎と呼ばれている男がいた。さすがに十日にいっぺんは起きて、山の上から小便をするものの、それ以外はもう三年も寝続けていた。
ある年に、村が日照りで田んぼに水がなくなってしまった。村人たちはこれはこの村に罰当たりがいるせいだといい、寝太郎を殺そうとした。
その夜、寝太郎は夜中に起き出して山の上の大きな岩をつかみ、崖下に落とした。岩は大きな山崩れを引き起こし、その下を流れる川の流れを変え、村の近くまで水が届くようになり、田んぼにも水を引くことができた。
寝太郎はただ寝ていたのでなく、どうすれば村が助かるかをずっと考えていたのだった。