フランシスコ教皇きょうこう死去しきょ 各国かっこくで追悼ついとう 新しん教皇きょうこうはコンクラーベで

新あたらしい教皇きょうこうは、枢機卿すうききょうたちによるコンクラーベと呼よばれる選挙せんきょで選えらばれます。

アルゼンチン出身しゅっしんのフランシスコ教皇きょうこうは、2013年ねんに中南米ちゅうなんべい出身しゅっしん者しゃとして初はじめて教皇きょうこうに選えらばれ、2019年ねんには、日本にっぽんを訪おとずれ、被爆ひばく地ちの広島ひろしまや長崎ながさきでスピーチを行おこない、核兵器かくへいきの廃絶はいぜつを訴うったえました。

ことし2月つきから1か月かげつ余あまりにわたり入院にゅういんするなど、健康けんこうへの懸念けねんも広ひろがっていましたが、20日にちには、キリストの復活ふっかつを祝いわうイースターにあわせて姿すがたをみせていました。

ローマ教皇きょうこう庁ちょうは、教皇きょうこうが21日にち午前ごぜん7時半じはんすぎに亡なくなったと発表はっぴょうし、その後そのご、死因しいんについて、脳卒中のうそっちゅうと心不全しんふぜんだったと明あきらかにしました。

バチカンにあるサンピエトロ広場ひろばでは、21日にち夜よる、信者しんじゃなど大勢たいせいの人々ひとびとが集あつまり、追悼ついとうの祈いのりをささげました。

また、フランス・パリにあるノートルダム大だい聖堂せいどうや、イギリス・ロンドンのウェストミンスター大だい聖堂せいどうなどでも祈いのりがささげられ、世界せかい各地かくちでその死しを悼いたむ動うごきが広ひろがっています。

ローマ教皇きょうこう庁ちょうによりますと、教皇きょうこうの遺体いたいは23日にちにもサンピエトロ大だい聖堂せいどうに移うつされ、最後さいごの別わかれのために信者しんじゃなどが訪おとずれることができるようになる見通みとおしで、こうした動うごきは、教皇きょうこうに次つぐ地位ちいにある枢機卿すうききょうたちが22日にちに開ひらく会議かいぎを経へた上うえで正式せいしきに決きまるということです。

また、新あたらしい教皇きょうこうは、枢機卿すうききょうたちによるコンクラーベと呼よばれる選挙せんきょで選えらばれます。

ロイター通信ろいた-つうしんによりますと、コンクラーベは、通常つうじょう、教皇きょうこうが亡なくなってから15日にちから20日にち後ごに行おこなわれるということで今後こんご、新あたらしい教皇きょうこうに誰だれが選えらばれるのかについても関心かんしんが高たかまりそうです。

各国かっこくから悼いたむ声こえ

教皇きょうこうが亡なくなったことを受うけ、ローマ・カトリック教会きょうかいの枢機卿すうききょうの1人にん、菊地きくち功いさおさんがメッセージを発表はっぴょうしました。

菊地きくちさんは、フランシスコ教皇きょうこうが明確めいかくなリーダーシップを持もっていて、愛あいといつくしみに満みちた力強ちからづよい存在そんざいを失うしなったと追悼ついとうしました。

そのうえで「長崎ながさき、広島ひろしま、東京とうきょうにおいて多おおくの方々かたがたと出会であう中なかで、世界せかいに向むけて核兵器かくへいき廃絶はいぜつによる平和へいわの確立かくりつと、すべてのいのちを守まもることの重要じゅうよう性せいを力強ちからづよく発信はっしんされました」と強調きょうちょうしました。

また、菊地きくちさんがローマを訪問ほうもんした際さい、教皇きょうこうと直接ちょくせつ会話かいわを交かわしたことを振り返ふりかえり「権威けんいに基もとづいて命めいじるのではなく、耳みみを傾かたむけともに歩あゆもうとする教皇きょうこうフランシスコの姿勢しせいに私わたしたちは多おおくを学まなびました」と述のべ、謝意しゃいを示しめしました。

アメリカのトランプ大統領だいとうりょうは21日にち、SNSに「安やすらかにお眠ねむりください。

また「メラニアと私わたしはフランシスコ教皇きょうこうの葬儀そうぎに参列さんれつする。

キリスト教徒きりすときょうとが人口じんこうの多数たすうを占しめる南米なんべいのブラジルのルーラ大統領だいとうりょうは21日にち、声明せいめいを発表はっぴょうし「人類じんるいは他者たしゃへの尊重そんちょうと慈いつくしみの声こえを失うしなった。

そのうえで「教皇きょうこうはその簡素かんそさ、勇気ゆうき、共感きょうかんを通をつうじて、気候きこう変動へんどうの問題もんだいをバチカンに持ち込もちこんだ。

専門せんもん家か「次つぎの教皇きょうこうが誰だれになるかで世界せかいの雰囲気ふんいき変かわる」

国際こくさい政治せいじが専門せんもんで、ローマ教皇きょうこうに詳くわしい日本にっぽん大学だいがくの松本まつもと佐保さほ教授きょうじゅは、教皇きょうこうが亡なくなったことについて「20日にちはイースターサンデーで世界せかいに14億おく人にんいるカトリック信者しんじゃにとってクリスマスよりも重要じゅうような日ひだった。

そのうえで、気きさくで親したしみやすい人柄ひとがらで知しられたフランシスコ教皇きょうこうについて「一般いっぱんの信者しんじゃに寄り添よりそうという態度たいどを非常ひじょうに強つよく取とってきた。

またフランシスコ教皇きょうこうは、ユダヤ教きょうやイスラム教いすらむきょうなど他たの宗教しゅうきょうとの対話たいわを重視じゅうししてきたとしたうえで「実際じっさいに中東ちゅうとうのUAE＝アラブ首長しゅちょう国こく連邦れんぽうやイラクも訪問ほうもんした。

そして世界せかいで対立たいりつや、移民いみんの排斥はいせきなどが増ふえる中なか、仲介ちゅうかい役やくを務つとめようとしたと指摘してきし、「他者たしゃに対にたいする排除はいじょということに対にたいして少すこしでも寛容かんようになるべきだというメッセージを送おくることが、自身じしんの使命しめいだと考かんがえていたのではないか」と述のべました。

さらに次つぎの教皇きょうこうが決きまるまで、教皇きょうこうがいない状態じょうたいになることについて「14億おく人にんの信者しんじゃにとっては望のぞましいことではないので、なるべく早はやく新あたらしい精神せいしん的てきな指導しどう者しゃである教皇きょうこうを選えらぶことが求もとめられる」と指摘してきしました。

また、松本まつもと教授きょうじゅは「フランシスコ教皇きょうこうは環境かんきょう問題もんだいについても非常ひじょうに多おおくの発言はつげんをしてきた。

教皇きょうこう選挙せんきょ “コンクラーベ” 3分ぶんの2以上いじょう獲得かくとくまで投票とうひょう

新あたらしい教皇きょうこうは、教皇きょうこうに次つぐ地位ちいにある枢機卿すうききょうたちによって「コンクラーベ」と呼よばれる選挙せんきょで選えらばれます。

コンクラーベとは、ラテン語らてんごで「鍵かぎがかかった」という意味いみで、13世紀せいきに教皇きょうこうの選出せんしゅつが紛糾ふんきゅうして3年ねんにわたって空位くういが続つづいた際さいに、怒おこった市民しみんが枢機卿すうききょうたちを閉じ込とじこめ、新あたらしい教皇きょうこうを選出せんしゅつさせたことがその由来ゆらいとされています。

コンクラーベは、教皇きょうこうの死去しきょや辞任じにんの後のち、原則げんそくとして15日にちから20日にちの間まに始はじまることになっていますが、枢機卿すうききょうが集合しゅうごうしていれば開始かいしを早はやめることも可能かのうです。

投票とうひょう総数そうすうの少すくなくとも3分ぶんの2を獲得かくとくした枢機卿すうききょうが就任しゅうにんを受諾じゅだくすれば新あたらしい教皇きょうこうに選えらばれますが、要件ようけんを満みたす枢機卿すうききょうが出でなければ、翌日よくじつからは午前ごぜんと午後ごごに合あわせて4回かい、投票とうひょうが繰り返くりかえされます。

初日しょにちを含ふくめて3日間にちかん、新あたらしい教皇きょうこうが選えらばれない場合ばあいは、最長さいちょうで1日にちの祈いのりなどの期間きかんを設もうけてから再ふたたび投票とうひょうを始はじめます。

期間きかん中ちゅうは外部がいぶに連絡れんらくできず 投票とうひょう結果けっかは煙けむりの色いろで

コンクラーベの期間きかん中ちゅう、枢機卿すうききょうたちは専用せんようの宿泊しゅくはく施設しせつに寝泊ねとまりしますが、選挙せんきょの間まは厳きびしく秘密ひみつが保たもたれ、緊急きんきゅう時じを除のぞいて外部がいぶとの連絡れんらくを禁きんじられるほか、新聞しんぶんを読よんだりテレビを見みたりすることもできなくなります。

投票とうひょうの結果けっか、新あたらしい教皇きょうこうが決きまらない場合ばあいは煙突えんとつから黒くろい煙けむりがあがることになっていて、新あたらしい教皇きょうこうが決きまると礼拝れいはい堂どうの煙突えんとつから白しろい煙けむりがあがり鐘かねが鳴ならされることになっています。

教皇きょうこうが新あたらしく選えらばれると、大勢たいせいの信者しんじゃたちが見守みまもる中なか、バチカンのサンピエトロ大だい聖堂せいどうのバルコニーに姿すがたを見みせ、世界せかいに向むけてメッセージを送おくることになっています。

20世紀せいき以降いこうのコンクラーベ 最速さいそくは2日にちで決定けってい 14回かい投票とうひょうも

コンクラーベは、20世紀せいき以降いこう、10回かい行おこなわれています。

コンクラーベは、3分ぶんの2以上いじょうの票ひょうを得える枢機卿すうききょうが出でるまで繰り返くりかえし投票とうひょうを行おこなうことになっていて、過去かこ10回かいで最もっとも早はやいケースは2日にち目めに教皇きょうこうが決きまっています。

1939年ねんのピオ12世せいはこれまでで最もっとも早はやい2日にち目めに3回かい目めの投票とうひょうで選えらばれたほか、1978年ねんのヨハネ・パウロ1世せいと、前々回ぜんぜんかい・2005年ねんのベネディクト16世せいは、いずれも2日にち目めに4回かい目めの投票とうひょうで選えらばれました。

また前回ぜんかい・2013年ねんは、2日にち目めに5回かい目めの投票とうひょうでフランシスコ教皇きょうこうが選えらばれました。

一方いっぽう、20世紀せいき以降いこう最もっとも時間じかんがかかったのは1922年ねんにピオ11世せいが選えらばれたコンクラーベで、5日にち目めに14回かい目めの投票とうひょうで決きまりました。