Actualités japonaises: 長距離移動が負担に “地域の実情に合った報酬体系を”

15年ねん後ごの2040年ねん。

65歳さい以上いじょうの高齢こうれい者しゃは3928万まん人にんと、人口じんこうの3割わりあまりを占しめると推計すいけいされています。

しかし介護かいごサービスの需要じゅようは、山間さんかん部ぶや人口じんこう減少げんしょう地域ちいきではすでに減少げんしょうに転てんじています。

厚生こうせい労働ろうどう省しょうの検討けんとう会かいは、こうした地域ちいきで新あらたな報酬ほうしゅう体系たいけいの導入どうにゅうを検討けんとうするべきだとする案あんをまとめました。

移動いどうが100キロ超こえる日ひも “利用りよう者しゃ減げんで負担ふたん増ぞう”

訪問ほうもん介護かいごなどのサービスを維持いじすることが難むずかしくなっている地域ちいきの1つを取材しゅざいしました。

山間さんかん部ぶに位置いちし、人口じんこう減少げんしょうが進すすむ島根しまね県けん吉賀よしか町まちです。

人口じんこうおよそ5500人にんで高齢こうれい化か率りつが46％あまり、3人にんに1人にんが75歳さい以上いじょうの後期こうき高齢こうれい者しゃで町内ちょうないで訪問ほうもん介護かいごのサービスを提供ていきょうしている事業じぎょう所しょは社会しゃかい福祉ふくし協議きょうぎ会かいだけです。

8人にんのスタッフが働はたらき、利用りよう者しゃは現在げんざいは高齢こうれい者しゃ58人にんですが5年ねん前まえから比くらべて20人にん程度ていど減へっています。

山間さんかん部ぶで利用りよう者しゃの家いえが点在てんざいしているため、移動いどう距離きょりが1人にん100キロを超こえることもあり、1日にちに訪問ほうもんできるのは事業じぎょう所しょ全体ぜんたいで最大さいだい15件けん程度ていどです。

この日ひは、20キロ以上いじょう離はなれた地域ちいきに暮くらす84歳さいの女性じょせいの自宅じたくをホームヘルパーが車くるまでおよそ30分ふんかけて訪問ほうもんしました。

女性じょせいは脳のう梗塞こうそくで足あしに後遺症こういしょうがあり、ホームヘルパーから入浴にゅうよくの介助かいじょを週しゅう2回かい受うけています。

女性じょせいは高齢こうれいの夫おっととふたり暮くらしで、長年ながねん住み慣すみなれたこの地域ちいきで暮くらし続つづけるためには「サービスがないと困こまる」と話はなしていました。

移動いどうにかかる時間じかんやガソリン代だいなどのコストは訪問ほうもん介護かいごの報酬ほうしゅうなどの収入しゅうにゅうでまかなっているため、移動いどうしている途中とちゅうに突然とつぜんキャンセルの連絡れんらくが入はいると報酬ほうしゅうはゼロで事業じぎょう者しゃ側がわの負担ふたんになります。

昨年度さくねんどのガソリン代だいは2月つきまででおよそ90万まん円えんで、利用りよう者しゃ数すうは減少げんしょうする一方いっぽうで移動いどう距離きょりは変かわらないため移動いどうの負担ふたんは年々ねんねん増ふえていると言いいます。

昨年度さくねんどの国くにの報酬ほうしゅう改定かいていで訪問ほうもん介護かいごの基本きほん報酬ほうしゅうが引き下ひきさがったことも影響えいきょうして、2月末げつまつ時点じてんまででこの事業じぎょう所しょの訪問ほうもん介護かいご事業じぎょうは年間ねんかん25万まん円えんの赤字あかじになっています。

担い手にないて不足ふそくも深刻しんこくで、事業じぎょう所しょでは職員しょくいん4人にんとパート従業じゅうぎょう員いん4人にんが働はたらいていますが平均へいきん年齢ねんれいは56歳さい。

募集ぼしゅうをかけても応募おうぼがなくサービスを維持いじするには厳きびしい現状げんじょうだといいます。

吉賀よしか町まち社会しゃかい福祉ふくし協議きょうぎ会かい吉賀よしか町まちホームヘルパーステーション前川まえかわ千登世ちとせ所長しょちょう

「町まちで唯一ゆいいつの訪問ほうもん介護かいご事業じぎょうを担になっているので、なくてはならないサービスだと思おもっているが赤字あかじが続つづいている。

移動いどう距離きょりがかかるなど都市とし部ぶとは違ちがう山間さんかん部ぶの状況じょうきょうなどの実情じつじょうを考慮こうりょした報酬ほうしゅうのあり方ありかたを国くにには考かんがえてもらいたい」

「訪問ほうもん介護かいご」事業じぎょう所しょの倒産とうさん・廃業はいぎょうなど529件けん調査ちょうさ開始かいし以降いこう最多さいたに

民間みんかんの信用しんよう調査ちょうさ会社かいしゃ、東京商工リサーチとうきょうしょうこうりさ-ちによりますと去年きょねん、「訪問ほうもん介護かいご」の事業じぎょう所しょで倒産とうさんや廃業はいぎょうなどした件数けんすうは529件けんと前まえの年としから100件けんあまり増ふえ平成へいせい22年ねんに調査ちょうさを始はじめて以降いこう最もっとも多おおくなりました。

ことしに入はいってからも3月つき末まつまでの「訪問ほうもん介護かいご」の事業じぎょう所しょが倒産とうさんした件数けんすうは22件けんと去年きょねんの同おなじ時期じきを上回うわまわるペースで推移すいいしています。

東京商工リサーチとうきょうしょうこうりさ-ちは倒産とうさんの要因よういんについて、訪問ほうもん介護かいごの基本きほん報酬ほうしゅうが昨年度さくねんど引き下ひきさげられたことやホームヘルパーの人手ひとで不足ふそくなどが影響えいきょうしたことが考かんがえられるとしています。

移動いどう時間じかんやコストなど考慮こうりょした報酬ほうしゅう体系たいけいを厚あつ労ろう省しょうの検討けんとう会かいで案あん

きのう、2040年ねんに向むけた介護かいごなどの訪問ほうもんサービスの提供ていきょう体制たいせいを考かんがえる厚生こうせい労働ろうどう省しょうの検討けんとう会かいが開ひらかれ、需要じゅようが減へった地域ちいきでの訪問ほうもん介護かいごは、利用りよう者しゃも事業じぎょう所しょも減へった影響えいきょうで移動いどう距離きょりが長ながくなっている問題もんだいが発生はっせいしていることが指摘してきされました。

現在げんざい、訪問ほうもん介護かいごなどの報酬ほうしゅう体系たいけいは訪問ほうもんした「回数かいすう」で算出さんしゅつされ、移動いどうにかかる時間じかんやコストは報酬ほうしゅうに反映はんえいされていません。

こうした現状げんじょうについて検討けんとう会かいでは、現在げんざい、全国ぜんこく一律いちりつの基準きじゅんとなっている報酬ほうしゅうの算出さんしゅつ方法ほうほうについて、山間さんかん部ぶや人口じんこう減少げんしょう地域ちいきでは地域ちいきのニーズに応おうじて移動いどう時間じかんやコストなども考慮こうりょした「包括ほうかつ的てきな評価ひょうか」の仕組しくみを導入どうにゅうすることを検討けんとうすべきだとする案あんをまとめました。

厚生こうせい労働ろうどう省しょうは今回こんかいの案あんについて専門せんもん家かによる審議しんぎ会かいに報告ほうこくし、必要ひつような法ほう改正かいせいなどについて議論ぎろんする方針ほうしんです。

専門せんもん家か“事業じぎょう所しょの経済けいざい基盤きばん担保たんぽするような議論ぎろんを”

介護かいごの問題もんだいに詳くわしい淑徳しゅくとく大学だいがくの結城ゆうき康博やすひろ教授きょうじゅは山間さんかん部ぶや人口じんこう減少げんしょう地域ちいきのサービスについて「訪問ほうもん介護かいごの事業じぎょう所しょの中なかには経営けいえいが厳きびしく、採算さいさんがあわないため、遠とおい場所ばしょに住すむ高齢こうれい者しゃへの訪問ほうもんを断ことわるケースや、赤字あかじ覚悟かくごで訪問ほうもんしているケースは珍めずらしいことではない。

自治体じちたいにひとつも訪問ほうもん介護かいごの事業じぎょう所しょがないところもあり、そうした地域ちいきに住すむ高齢こうれい者しゃは介護かいご保険ほけん料りょうを支払しはらっていてもサービスを受うけられないという状態じょうたいになりつつある」と指摘してきします。

その上うえで今回こんかい、山間さんかん部ぶや人口じんこう減少げんしょう地域ちいきでの移動いどうの負担ふたんを考慮こうりょした報酬ほうしゅう体系たいけいについて案あんが示しめされたことについて「介護かいご報酬ほうしゅうはサービスを提供ていきょうした単価たんかで評価ひょうかするという形かたちだが山間さんかん部ぶの地域ちいきのいちばんの課題かだいは移動いどうに時間じかんがかかり非行ひこう率りつなところで、それについてしっかり対応たいおうしなければいけないとした点てんは評価ひょうかできる。

報酬ほうしゅうや補助ほじょ金きんなどを使つかい山間さんかん部ぶの事業じぎょう所しょの体力たいりょくがしっかり強化きょうかされる議論ぎろんにならなければ十分じゅうぶんな介護かいごサービスは提供ていきょうできないため、事業じぎょう所しょが移動いどうのコストにも対応たいおうできる経済けいざい基盤きばんを担保たんぽするような議論ぎろんを進すすめて欲ほしい」と話はなしていました。

長距離ちょうきょり移動いどうが負担ふたんに “地域ちいきの実情じつじょうに合あった報酬ほうしゅう体系たいけいを”