国連こくれん総会そうかい 事務じむ総長そうちょう 国際こくさい法ほう違反いはん“処罰しょばつされない世界せかい”問題もんだいと指摘してき

グテーレス事務じむ総長そうちょうは、ウクライナやガザ地区ちくなどで激はげしい戦闘せんとうが続つづくなか、ことしの一般いっぱん討論とうろん演説えんぜつを迎むかえたことについて、「戦争せんそうは終結しゅうけつの見通みとおしが立たたないまま激化げきかし、核兵器かくへいきによる威嚇いかくや新あらたな兵器へいきが暗くらい影かげを落おとしている。私わたしたちは想像そうぞうを絶ぜっする事態じたいへと近ちかづきつつあり、世界せかいを巻き込まきこむ火薬かやく庫このような危険きけん性せいをはらんでいる」と強つよい危機きき感かんを示しめしました。

そしてこの危機ききの原因げんいんの一ひとつとして、国際こくさい法ほう違反いはんや国連こくれん憲章けんしょうの根幹こんかんを脅おびやかす行為こういが「処罰しょばつされない世界せかい」になっていることが問題もんだいだと指摘してきしました。

グテーレス事務じむ総長そうちょうは「いまやますます多おおくの政府せいふや組織そしきが処罰しょばつされないカードを手てにしていると感かんじている。彼かれらは国際こくさい法ほうを踏ふみにじり、国連こくれん憲章けんしょうを侵害しんがいし、国際こくさい法廷ほうていの判決はんけつに目めをつぶり、国際こくさい人道じんどう法ほうを平然へいぜんと無視むしすることもできる。他国たこくを侵略しんりゃくし、社会しゃかい全体ぜんたいを荒廃こうはいさせ、自じ国民こくみんの福祉ふくしを完全かんぜんに無視むしすることもできる。でも何なにも起おこらない」と述のべ、具体ぐたい的てきな国名こくめいはあげませんでしたが国際こくさい法ほうを無視むしする国々くにぐにを批判ひはんしました。

そして「ますます多おおくの国々くにぐにが地政学ちせいがく的てきな分裂ぶんれつを利用りようして説明せつめい責任せきにんを問とわれることなく、やりたい放題ほうだいにしているときだからこそ、国連こくれん憲章けんしょうを再さい確認かくにんし、国際こくさい法ほうを尊重そんちょうし、国際こくさい法廷ほうていの決定けっていを実施じっしし、人権じんけんを強化きょうかすることがあらゆる場所ばしょでこれまで以上いじょうに重要じゅうようだ」と訴うったえました。

またグテーレス事務じむ総長そうちょうはガザ地区ちくについて「地域ちいき全体ぜんたいを巻き込まきこむおそれがある悪夢あくむが続つづいている。それはレバノンを見みれば明あきらかだ」とした上うえで、「われわれは事態じたいの悪化あっかを警戒けいかいしなければならない。レバノンはいま瀬戸際せとぎわに立たたされている。世界せかいの人々ひとびとはレバノンがもう一ひとつのガザ地区ちくになるのを許ゆるすわけにはいかない」と強調きょうちょうし、緊張きんちょうの緩和かんわを呼よびかけました。

バイデン大統領だいとうりょう レバノン情勢じょうせい「外交がいこう的てきな解決かいけつまだ可能かのう」

アメリカのバイデン大統領だいとうりょうは24日にち、国連こくれん総会そうかいで演説えんぜつし、ガザ地区ちくでの停戦ていせんや緊張きんちょうが高たかまるレバノン情勢じょうせいの外交がいこう的てきな解決かいけつなどを訴うったえました。

演説えんぜつの中なかでバイデン大統領だいとうりょうは、去年きょねん10月つき7日にち、イスラム組織そしきハマスがイスラエルに越境えっきょう攻撃こうげきをしかけたことに触ふれ「どんな国くにもこのような攻撃こうげきが二度にどと起おきないようにする権利けんりと責任せきにんがあるはずだ」と述のべ、イスラエルの自衛じえい権けんを支持しじしました。

そのうえで、イスラエルとハマスの間まで続つづく停戦ていせんと人質ひとじちの解放かいほうに向むけた協議きょうぎについて「今いまこそ当事者とうじしゃたちが条件じょうけんで合意ごういし、人質ひとじちを帰還きかんさせ、ガザ地区ちくでの苦くるしみを和やわらげて戦争せんそうを終結しゅうけつさせる時ときだ」と述のべ、双方そうほうに協議きょうぎを前進ぜんしんさせるよう求もとめました。

また、イスラエル軍ぐんがレバノンでハマスに連帯れんたいするイスラム教いすらむきょうシーア派は組織そしきヒズボラへの空爆くうばくを続つづけていることについて「全面ぜんめん戦争せんそうは誰だれの利益りえきにもならない。情勢じょうせいが激化げきかしたとしても、外交がいこう的てきな解決かいけつはまだ可能かのうだ」として、さらなる戦闘せんとうの拡大かくだいを防ふせぐため、外交がいこう的てきな解決かいけつを目指めざす姿勢しせいを強調きょうちょうしました。

さらに、バイデン大統領だいとうりょうはロシアによるウクライナ侵攻しんこうについて「われわれは疲つかれてはいけない。目めを背そむけてはいけない。ウクライナへの支援しえんを緩ゆるめることはない」と述のべ、国際こくさい社会しゃかいに連帯れんたいを訴うったえました。

また、中国ちゅうごくをめぐっては、両国りょうこくの競争きょうそう関係かんけいが衝突しょうとつに発展はってんしないよう責任せきにんを持もって管理かんりすると強調きょうちょうしました。

その一方いっぽうで「アメリカは不ふ公正こうせいな経済けいざい競争きょうそうや、南シナ海みなみしなかいにおける他国たこくへの軍事ぐんじ的てき威圧いあつに反対はんたいし、台湾たいわん海峡かいきょうの平和へいわと安定あんていを維持いじする」と述のべて中国ちゅうごくをけん制けんせいしたうえで、インド太平洋たいへいよう地域ちいきの協力きょうりょく関係かんけいを強化きょうかする考かんがえを示しめしました。

中東ちゅうとう各国かっこくの首脳しゅのうたち イスラエルに対にたいし激はげしい非難ひなん

国連こくれん総会そうかいの一般いっぱん討論とうろん演説えんぜつでは、中東ちゅうとう各国かっこくの首脳しゅのうたちからイスラエルに対にたいして激はげしい非難ひなんが続つづきました。

このうち、トルコのエルドアン大統領だいとうりょうは「イスラエルの攻撃こうげきの結果けっか、ガザは女性じょせいや子こどもたちの世界せかい最大さいだいの墓場はかばと化かした」と非難ひなんした上うえで、「即時そくじで恒久こうきゅう的てきな停戦ていせんと人質ひとじちなどの交換こうかんが不可欠ふかけつだ。ガザへの人道的じんどうてきな支援しえんは妨害ぼうがいや中断ちゅうだんされずに届とどけられなければならない」と訴うったえました。

また、イスラエルとイスラム組織そしきハマスとの停戦ていせん協議きょうぎの仲介ちゅうかい役やくを務つとめているカタールのタミム首長しゅちょうは「イスラエルはレバノンでの戦争せんそうを仕掛しかけ、誰だれもどこまでエスカレートするかわからない。これはガザでの残虐ざんぎゃくな戦争せんそうが終おわらなければ直面ちょくめんすると私わたしたちが繰り返くりかえし警告けいこくしてきたことなのだ」と述のべました。

その上うえで「戦争せんそうの終結しゅうけつは、イスラエルの指導しどう者しゃたちがよく理解りかいしているとおり、迫せまられた選択せんたくなのだ。ガザへの攻撃こうげきをやめろ。レバノンへの攻撃こうげきをやめろ」と強つよく訴うったえました。

さらに、早はやくからイスラエルと国交こっこうを結むすぶなど、アラブ諸国しょこくの中なかでも比較的ひかくてき、穏健おんけんな路線ろせんをとってきたヨルダンのアブドラ国王こくおうも「イスラエルに対にたいする国際こくさい社会しゃかいの不満ふまんは長ながく高たかまってきたが、これほどまでに表面ひょうめん化かしたことはない。激はげしい怒いかりの声こえが世界中せかいじゅうに響ひびきわたっている。どの都市としでも大だい規模きぼな抗議こうぎ活動かつどうが起おき、イスラエルへの制裁せいさいを求もとめる声こえが大おおきくなっている」と述のべ、イスラエルは耳みみを傾かたむけるべきだと主張しゅちょうしました。

レバノン情勢じょうせい受うけて安保理あんぽり緊急きんきゅう会合かいごう開催かいさいへ

イスラエル軍ぐんがレバノンのイスラム教いすらむきょうシーア派は組織そしきヒズボラに対にたいして大だい規模きぼな空爆くうばくを行おこない、大勢たいせいの死傷ししょう者しゃが出でている事態じたいを受うけて国連こくれんの安全あんぜん保障ほしょう理事りじ会かいの緊急きんきゅう会合かいごうが25日にちに開催かいさいされることになりました。

この緊急きんきゅう会合かいごうはレバノンの旧きゅう宗主そうしゅ国こくでいまも政治せいじや経済けいざいに影響えいきょう力りょくを持もつフランスが開催かいさいを要請ようせいしていたものです。

安保理あんぽりで議長ぎちょう国こくを務つとめるスロベニアによりますと、緊急きんきゅう会合かいごうは現地げんち時間じかんの25日にちの午後ごご6時じから（日本にっぽん時間じかんの26日にち午前ごぜん7時じから）始はじまる予定よていで、冒頭ぼうとう、国連こくれんのグテーレス事務じむ総長そうちょうが状況じょうきょうを説明せつめいします。

イスラエル軍ぐんがレバノンの各地かくちで空爆くうばくを続つづけ、ヒズボラもロケット弾だんで応酬おうしゅうするなか、事態じたいのエスカレートを食い止くいとめるため、安保理あんぽりが一致いっちできるかが注目ちゅうもくされます。

ゼレンスキー大統領だいとうりょう 各国かっこくに平和へいわサミットへの参加さんかを呼よびかけ

ウクライナのゼレンスキー大統領だいとうりょうは、国連こくれんの安全あんぜん保障ほしょう理事りじ会かいの首脳しゅのう級きゅう会合かいごうで演説えんぜつし「ロシアの戦争せんそうを止とめたければ、ともに団結だんけつして行動こうどうすることが重要じゅうようだ」と訴うったえ、各国かっこくにウクライナの和平わへい案あんを話し合はなしあう平和へいわサミットへの参加さんかを呼よびかけました。

ニューヨークの国連こくれん本部ほんぶでは、国連こくれん総会そうかいの一般いっぱん討論とうろん演説えんぜつと並行へいこうしてウクライナ情勢じょうせいをめぐる安保理あんぽりの首脳しゅのう級きゅう会合かいごうが24日にち、開ひらかれ、ウクライナのゼレンスキー大統領だいとうりょうが去年きょねんに続つづき対面たいめんで出席しゅっせきしました。

この中なかで、ゼレンスキー大統領だいとうりょうは「きょうもまたロシアの爆弾ばくだんが住宅じゅうたくに直撃ちょくげきし、普通ふつうのパン工場こうじょうが標的ひょうてきになった。パンを焼やくことが、ロシアに何なにの脅威きょういなのか。プーチン大統領だいとうりょうは何なにも答こたえない」と述のべ、軍事ぐんじ侵攻しんこうを続つづけるロシアを非難ひなんしました。

また、ロシアがこの秋あきにウクライナの原子力げんしりょく発電はつでん所しょを標的ひょうてきにしようと準備じゅんびしている情報じょうほうがあるとして、ロシアによるインフラ施設しせつへの攻撃こうげきを強つよくけん制けんせいしました。

その上うえでロシア軍ぐんの撤退てったいや領土りょうどの回復かいふくなどウクライナの和平わへい案あんを話し合はなしあう「平和へいわサミット」について触ふれ「私わたしたちは、ロシアの戦争せんそうを本当ほんとうに止とめたいのであれば、何なにをすべきかを知しっている。最もっとも重要じゅうようなことは、ともに団結だんけつして行動こうどうすることだ」と述のべ、各国かっこくに、ことし11月つきの開催かいさいを目指めざす2回かい目めの平和へいわサミットへの参加さんかを呼よびかけました。