Japanese News: 再値上げ、再々値上げ…物価の高騰いつまで続く？専門家分析は

再さい値上ねあげ、再々さいさい値上ねあげ…物価ぶっかの高騰こうとういつまで続つづく？専門せんもん家か分析ぶんせきは

Jan 16, 2023 20:01

Furigana

ことしに入はいっても相次あいついでいる、値上ねあげ。

消費しょうひ者しゃにとってつらい状況じょうきょうが続つづいていますが、値上ねあげを決断けつだんする企業きぎょうにも厳きびしい事情じじょうが…

その背景はいけいにあるのは、企業きぎょうの間まで取り引とりひきされる“モノの価格かかく”の上昇じょうしょうです。原材料げんざいりょう費ひの上昇じょうしょう分ぶんを販売はんばい価格かかくに転嫁てんかする動うごきが広ひろがっています。

この状況じょうきょうは一体いったいいつまで続つづくのか。専門せんもん家かに今後こんごの見通みとおしを聞ききました。

“再々さいさい値上ねあげ”に客きゃく「悲かなしいがしかたない」「結構けっこうきつい」

原材料げんざいりょう価格かかくの高騰こうとうなどを理由りゆうに食品しょくひんなどで値上ねあげの動うごきが相次あいつぐなか、大手おおてハンバーガーチェーンの日本にっぽんマクドナルドは、16日にちから店頭てんとうで販売はんばいする商品しょうひんのおよそ8割わりを値上ねあげしました。

価格かかくはいずれも税込ぜいこみで、ハンバーガーが150円えんから170円えんに、チーズバーガーが180円えんから200円えんに、フライドポテトのMサイズが290円えんから330円えんに値上ねあげされました。

この会社かいしゃでは、原材料げんざいりょう価格かかくの高騰こうとうなどを理由りゆうに去年きょねん3月つきと9月つきにもハンバーガーなど主力しゅりょくの商品しょうひんを値上ねあげしています。

東京とうきょう・豊島としま区くの店舗てんぽを訪おとずれた客きゃくに話はなしを聞ききました。

週しゅうに2、3回かい利用りようするという20代だいの女性じょせいは「値上ねあげをすると聞きいて少すこし悲かなしくなりましたが、いろいろなものが値上ねあがりしている世の中よのなかなので仕方しかたないのではないかと思おもいます」と話はなしていました。

週しゅうに1回かいほど通かよっているという30代だいの男性だんせいは「20円えん値上ねあげしただけでも学生がくせいなどには厳きびしいのではないか。よく店みせを利用りようするので安やすいほうがうれしいです」と話はなしていました。

また20代だいの女性じょせいはハンバーガーが値上ねあげされたことについて「高たかいですが、しょうがないかなとも思おもいます。給料きゅうりょうは増ふえていないのに、どんどん物価ぶっかが上あがるので結構けっこうきつくなりますね」と話はなしていました。

電気でんき代だい2.4倍ばいも…価格かかく転嫁てんかが難むずかしい

原材料げんざいりょうやエネルギー価格かかくの高騰こうとうに対にたいし、企業きぎょうの間までは製品せいひんへの価格かかく転嫁てんかが十分じゅうぶんにできない実情じつじょうもあります。

トラックの部品ぶひんなどを手てがける神奈川かながわ県けん座間ざま市しにある従業じゅうぎょう員いんおよそ60人にんの金属きんぞく加工かこうメーカーでは、原材料げんざいりょうとなる鉄てつやステンレスの仕入しいれ価格かかく、それに生産せいさん設備せつびを動うごかす電気でんき代だいの上昇じょうしょうが収益しゅうえきを圧迫あっぱくしています。

このうち、原材料げんざいりょうの仕入しいれ価格かかくは、3年ねん前まえに比くらべておよそ2倍ばいに高騰こうとうしましたが、取引とりひき先さきの理解りかいを得えながら製品せいひんへの価格かかく転嫁てんかを進すすめてきました。その一方いっぽうで、価格かかく転嫁てんかが難むずかしいのが電気でんき代だいの上昇じょうしょう分ぶんだといいます。原材料げんざいりょうとは違ちがって、製品せいひんごとに電気でんき代だいの上昇じょうしょう分ぶんを計算けいさんすることが難むずかしいためです。取引とりひき先さきに対にたいして、明確めいかくな説明せつめいができず理解りかいを得えられないとして、これまで自社じしゃでコストを吸収きゅうしゅうしてきました。

ただ、電気でんき代だいは、3年ねん前まえの11月つきには1か月かげつの支払しはらいが168万まん円えんでしたが、去年きょねん11月つきには410万まん円えんまで上昇じょうしょうし、2.4倍ばいにまで膨ふくらんでいます。先月せんげつには消費しょうひ電力でんりょくが従来じゅうらいの半分はんぶんで済すむ最新さいしんの加工かこう機械きかいを導入どうにゅうするなど節電せつでんの取り組とりくみも進すすめていますが、限界げんかいに近ちかづいているといいます。

「赤あか原げん製作せいさく所しょ」の赤あか原はら宗そう一郎いちろう社長しゃちょうは「鋼材こうざいについては価格かかくを転嫁てんかできているが、電気でんき代だいについては1つの製品せいひんに対にたいする具体ぐたい的てきなコストを出だしにくく説明せつめいが難むずかしい。さまざまなコストがあがっているので、人件じんけん費ひをあげるというのも非常ひじょうにハードルが高たかく、政府せいふには現状げんじょうをきちんと認識にんしきしてほしい」と話はなしています。

「企業きぎょう物価ぶっか指数しすう」過去かこ最高さいこうを更新こうしん

原材料げんざいりょう価格かかくの上昇じょうしょうなどを背景はいけいに、企業きぎょうの間まで取り引とりひきされるモノの価格かかくの上昇じょうしょうが続つづいています。

日銀にちぎんが16日にち発表はっぴょうした先月せんげつ、12月つきの企業きぎょう物価ぶっか指数しすうの速報そくほう値ちは、前まえの年としの同おなじ月つきと比くらべて10.2％上昇じょうしょうしました。指数しすうは2020年ねんの平均へいきんを100とした水準すいじゅんで119.5と、9か月かげつ連続れんぞくで過去かこ最高さいこうを更新こうしんし、幅広はばひろい品目ひんもくで値上ねあげが進すすんでいます。

日銀にちぎんによりますと、対象たいしょうとなった515品目ひんもくのうち、88％にあたる454品目ひんもくで値上ねあがりしていて、企業きぎょうの間まで原材料げんざいりょう費ひの上昇じょうしょう分ぶんを販売はんばい価格かかくに転嫁てんかする動うごきが広ひろがっています。

一方いっぽうで「消費しょうひ者しゃ物価ぶっか指数しすう」は、去年きょねん11月つきの生鮮せいせん食品しょくひんを除のぞいた指数しすうで3.7％の上昇じょうしょうとなっています。こちらもおよそ41年ねんぶりという記録きろく的てきな物価ぶっか高だかとなっていますが、企業きぎょう物価ぶっかの上昇じょうしょう率りつとは大おおきな開ひらきがあります。

この差さは、企業きぎょう側がわが原材料げんざいりょうなどの仕入しいれコストの上昇じょうしょう分ぶんを、販売はんばい価格かかくに転嫁てんかしきれていない可能かのう性せいを示しめしています。このため、今後こんご、販売はんばい価格かかくに転嫁てんかする動うごきがさらに加速かそくする可能かのう性せいがあります。

今後こんごの傾向けいこう専門せんもん家かの見方みかたは？【一いち問もん一いち答とう】

こうした傾向けいこうは今後こんごも続つづくのか。明治めいじ安田やすだ総合そうごう研究所けんきゅうじょの小玉こだま祐一ゆういちフェローチーフエコノミストに聞ききました。

Q.なぜ企業きぎょう物価ぶっか指数しすうの高たかい伸のびが続つづいているのか。

A.去年きょねん、急速きゅうそくに円えん安やすが進すすんだが、企業きぎょうは原材料げんざいりょう費ひや燃料ねんりょう費ひなどのコスト上昇じょうしょう分ぶんをまだ自社じしゃの製品せいひんに十分じゅうぶん転嫁てんかできていない状況じょうきょうだ。上昇じょうしょう傾向けいこうが続つづく背景はいけいにはこうした事情じじょうがある。

Q.消費しょうひ者しゃ物価ぶっか指数しすうよりも上昇じょうしょう率りつが大おおきい。この差さをどうみればいいか。

A.企業きぎょう物価ぶっかの上昇じょうしょう率りつのほうがはるかに大おおきいということで、これが企業きぎょう収益しゅうえきを圧迫あっぱくする要因よういんになっている。消費しょうひ者しゃの段階だんかいにまでいくと、価格かかくをめぐる競争きょうそうはかなり厳きびしくなり消費しょうひ者しゃの賃金ちんぎんが上あがっていない状況じょうきょうでは企業きぎょうはなかなか値上ねあげできない。

Q.今後こんご、価格かかく転嫁てんかは、さらに進すすむか。

A.一いち度どに値上ねあげをすると消費しょうひ者しゃ離ばなれにもつながるので同おなじ品目ひんもくが数すうか月かげつに1度ど上あがるということが繰り返くりかえされている。この流ながれは、しばらく続つづくと思おもうし、消費しょうひ者しゃの懐ふところを圧迫あっぱくする状況じょうきょうも続つづくと思おもう。

ただ、企業きぎょう物価ぶっかの上昇じょうしょうの大おおきな要因よういんとなっていた原油げんゆ価格かかくの高騰こうとうはすでに落ち着おちつき、円えん安やすについても、このところ円えん高だか方向ほうこうに動うごいていることを考かんがえると、企業きぎょう物価ぶっかの上昇じょうしょう率りつのピークは近ちかいと感かんじている。再ふたたび円えん安やすが進すすんだり原油げんゆ価格かかくが高騰こうとうしたりするような状況じょうきょうにならなければ、ことし後半こうはんぐらいに消費しょうひ者しゃ物価ぶっかの上昇じょうしょう率りつは落ち着おちついてくるのではないか。