
震源から770キロ離れた大阪・住之江区では大阪府の咲洲庁舎で揺れが10分以上続いて最上階の揺れ幅は最大3メートル近くに達し、エレベーターが止まったり壁や天井が崩れたりする被害が出ました。
対象となるのは、気象庁の定める長周期地震動の揺れの大きさを示す4段階のうち、立っているのが困難になる「階級3」と、はわないと動くことが出来ない「階級4」の揺れが予測される地域です。
一方、長周期地震動では震源から遠く離れた地域でも大きく揺れることがあり、一度、震源の近くの地域に速報が発表されたあと、長周期地震動が予測された別の地域に追加で発表されることもあるということです。
現在広く使われている「震度」は、地表の「ガタガタ」とした周期の比較的短い揺れを対象としているため、ゆっくりと長い長周期地震動の揺れは十分に表現できず、新たに「階級」が使われています。
「階級3」は人が立っていることが困難になり、室内ではキャスター付きの器具が大きく動くほか、不安定な家具などは倒れることがあります。
気象庁によりますと、2000年以降「階級3」以上の長周期地震動を伴う地震は、東日本大震災の際の地震に加え2004年の新潟県中越地震や2016年の熊本地震などあわせて33回にのぼります。
長周期地震動のメカニズムや超高層ビルの防災対策に詳しい工学院大学の久田嘉章教授は「基本的には、その場で安全なところにとどまるということが必要だ」と指摘しています。慌てて階段を降りると転落するおそれがあるほか、屋外では落下物に当たってけがをする危険もあるからです。 そのため久田教授は、ビルの中では落下や転倒、それに移動するものから離れ、身の安全を確保することが重要だとしています。特に、キャスターがついているようなコピー機などは大きく動くことがあるため、固定されていない場合は離れることが大切です。机などがあれば下にもぐり、周囲に見あたらない場合は頭を守って、飛ばされないように伏せることも有効だとしています。
久田教授は「超高層建築は安全性の非常に高いビルだが長周期地震動に対しては大きく長く揺れる。そのため、対策をしないと室内にダメージが出てしまうということに注意が必要だ。事前の対策とあわせて落ち着いて行動してほしい」と話しています。
▽棚や動きそうなものからは離れる。 ▽頭を守って、丈夫なテーブルなどに避難。 ▽姿勢を低く、飛ばされないように。 ▽エレベーターは最寄り階で止め、すぐに降りる。
複数の超高層ビルを管理・運営する大手不動産会社では、長周期地震動への対策を進めていて、2013年には独自のシステムを導入し、長周期地震動の揺れを検知した段階で防災センターに音声や画面で知らせるほか、ビルに設置した地震計の観測データから建物に損傷がないかや、どの階が大きく揺れたかを速やかに推定することもできるようになりました。
森ビル災害対策室の細田隆事務局長は「今までより早くお客様に備えてもらうことが可能になっていくので、有効活用をわれわれとしても考えていきたい」と話していました。
緊急地震速報の続報が発表され、強い揺れに警戒を呼びかける地域が追加された場合、画面に地域名や都道府県名が字幕で加えられます。 長周期地震動の際も、とるべき行動に変わりはないため通常の地震の揺れと長周期地震動とを分けずに揺れへの警戒を呼びかけることにしています。 一方、ラジオでは「緊急地震速報」と自動音声で告げたあと、すでに発表されている地域に続いて新たに続報が出された地域名や都道府県名を読み上げます。
2月から何が変わる?
4段階の階級とは?
情報聞いたらどうする?
「日頃の対策していないとダメージ受ける」
長周期地震動の対策
超高層ビルは情報をどう活用?
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