警視庁は、事件後に処分した疑いがあるとみて調べるとともに、指紋やDNA型を分析して容疑者と特定したうえで、殺人未遂の疑いで書類送検する方針です。
その上で「今回の襲撃が個人を標的としたものなのか無差別なのか大きな議論があるが、それによって問題、事件の筋読みが違ってくる。そういう意味でも容疑者が亡くなったことはかなり残念だ。日本社会にどういう動機を持つ人物がいるのかどういう人たちが何をどう受け取るのかを分析するのに役立つはずだった。今後、どれだけ動機がわかるのか興味をもっている」と話していました。
また、男が自殺した去年12月の様子について「12月はじめにはリフォーム業者が来て住宅2階の窓に中が見えないように目隠しをつける工事をしていました。その1週間ほど後の12月中旬ごろには夕方に住宅の1階の電気がすべてついていたことがありました。いつもは家にいても一部の電気しかつかないので珍しいなと思っていましたが、その翌日に救急車や警察が来ていたので何かあったのかと思っていました。今考えるとそのころに男性が自殺したのだろうと思います」と話していました。
宮台さん「容疑者が亡くなったことは かなり残念」
近所の人「男性はあいさつを返さない おとなしそうな印象」
去年11月、東京都立大学 南大沢キャンパスで、この大学の教授で社会学者の宮台真司さんが刃物で切りつけられ、全治6週間の重傷を負った事件で、警視庁は、事件の翌月に相模原市南区の自宅で死亡していたことが分かった41歳の無職の男が、事件に関わったとみて捜査しています。
これまでの捜査で、男の自宅から袋に入ったおのが見つかり、警視庁は、現場の目撃証言や被害者の傷と矛盾がないことなどから、襲撃に使われた可能性があるとみて調べています。
その後の調べで、男が事件のあと、新たにナイフを購入していたことが、捜査関係者への取材で分かりました。ナイフは山林での作業に使われるもので、事件から1週間ほどたって母親から3万円をもらい購入したとみられますが、自宅に届いたのは男の死亡後だったため、未開封の状態で保管されていたということです。
警視庁は、男が宮台さんを襲撃したあとに新たに別の襲撃を計画していた疑いがあるとみて詳しく調べています。
また自宅には、父親が購入した、宮台さんが共著者となった書籍があったということで、事件の動機と関わりがあるのかについても捜査しています。