しかし2020年2月。
島根県の4歳の男の子が、認定こども園の節分行事で豆を気道に詰まらせて死亡しました。
この事故をきっかけに、食べさせないよう呼びかける年齢が3歳から5歳に引き上げられました。 5歳以下の子どもが食品をのどに詰まらせた事故は、2020年までの10年間で全国の医療機関から消費者庁に141件報告されていて、大豆やピーナツなどの「豆・ナッツ類」が全体のおよそ2割に当たります。 のどに詰まる、身近で危険な食べ物なんです。
豆は乾物なので、体内の水分を含むとふくらんでしまい、食べる時より大きくなります。 そして、そもそも子どもの空気の通り道「気道」は細いので塞がれやすいのです。 また、幼い子どもは奥の歯など歯が生えそろっていなくてかむ力が弱く、ちょっと噛めなさそうと思うと丸飲みしてしまいます。 さらに、食べながら笑ったり泣いたりと、いろんな動きをします。 笑っているときに思い切り息を吸う瞬間、口の中の食べ物が、空気と一緒に気道に入ってしまいます。 子どもの事故防止に取り組んでいる佐久医療センター小児科の坂本昌彦医師は、大人の場合は、食べ物が気道に入るとせき込んで外に出しますが、子どもはその反応がにぶいと指摘しています。
「子どもはまだせきの反射が弱くて詰まったものを外に出しにくいんです。むせて外に出すという防御反応が働きにくいので力強く吐き出すことができません」。
“豆も砕いたらいいのかな”と思いがちですが、それも危険です。 かけらが軽いので、肺につながる気管支にも入り込むこともあります。
2015年には1歳の子どもが父親から砕いたピーナツを与えられていたところ、気管支にかけらが詰まってせきと高熱が続いたという事故がありました。 特にピーナツはいろんな食品に食材として入っていて事故の報告も多いので注意してください。
伝統行事を体験させることは大事なことだと思います。 ただ、悲しい事故が起きないように、子どもが小さい時期だけリスクがあることを知って対応してほしいと思います。
「幼い子は目の前のものを口に入れてしまいがちです。豆まきは豆のままで投げるのではなく、小袋入りや新聞紙を丸めたものを投げるなど工夫をしてほしいです。年の数の豆を食べる風習がありますが、5歳までは控えてほしいと思います」
子どもが通う園で工夫されているか確認をしてください。 注意喚起の対象が「5歳まで」というのはあくまで目安で、発達の度合いは子どもによって違います。大切なのは、豆にリスクがあることを知っておくことです。 メーカーでも小袋に小分けしたり食べる際の注意喚起をしたりしていますが、子どもの成長をみながら対応してください。
豆 なぜ詰まる?
小さくするのもやめて!
豆まき どうすればいい?