中国ちゅうごく 天安門てんあんもん事件じけん35年ねん 北京ぺきんは厳戒げんかい態勢たいせい 追悼ついとうや抗議こうぎ活動かつどうを警戒けいかい

現場げんばとなった天安門てんあんもん広場ひろばや犠牲ぎせい者しゃの一部いちぶが眠ねむる墓地ぼちでは厳重げんじゅうな警備けいび態勢たいせいが敷しかれ、追悼ついとうの動うごきや抗議こうぎ活動かつどうを警戒けいかいしています。

35年ねん前まえの1989年ねん6月つき4日にちに起おきた天安門てんあんもん事件じけんでは、民主みんしゅ化かを求もとめて北京ぺきんの天安門てんあんもん広場ひろばやその周辺しゅうへんに集あつまっていた学生がくせいや市民しみんに対にたいして軍ぐんが発砲はっぽうするなどして鎮圧ちんあつし、中国ちゅうごく政府せいふの発表はっぴょうでは319人にんが死亡しぼうしたとされていますが、犠牲ぎせい者しゃの数かずははるかに多おおいという指摘してきもあります。

現場げんばとなった天安門てんあんもん広場ひろばやその周辺しゅうへんは、4日にち朝あさ、ふだんどおり観光かんこう客きゃくでにぎわう一方いっぽうで多おおくの警察官けいさつかんが配置はいちされ、犠牲ぎせい者しゃを追悼ついとうする動うごきや抗議こうぎ活動かつどうを警戒けいかいしていました。

また、遺族いぞくが毎年まいとし墓参はかまいりに訪おとずれる北京ぺきん郊外こうがいの墓地ぼちをNHKの記者きしゃが取材しゅざいのため訪おとずれたところ、警察官けいさつかんから制止せいしされ、すぐに立ち去たちさるよう求もとめられました。

中国ちゅうごくでは、天安門てんあんもん事件じけんに関にかんする情報じょうほうが厳きびしく規制きせいされていて、4日にち朝あさ、NHKの海外かいがい向むけテレビ放送ほうそう「ワールド・プレミアム」で、事件じけんのニュースを伝つたえた際さいカラーバーとともに「信号しんごうの異常いじょう」などの文字もじが表示ひょうじされ、放送ほうそうが一時いちじ中断ちゅうだんしました。

中国ちゅうごく政府せいふは、当時とうじの学生がくせいらの動うごきを「動乱どうらん」だと結論けつろんづけて対応たいおうは正ただしかったとする立場たちばを崩くずしておらず、習近平ちから指導しどう部ぶのもとで当局とうきょくによる統制とうせいが厳きびしくなる中なか、事件じけんの真相しんそう究明きゅうめいを求もとめる遺族いぞくの声こえや政府せいふへの批判ひはんは徹底的てっていてきに封じ込ふうじこめられています。

遺族いぞくのグループ 「YouTube」に声明せいめいも投稿とうこう

天安門てんあんもん事件じけんから35年ねんとなるのを前まえに、事件じけんの遺族いぞくでつくるグループ「天安門てんあんもんの母はは」は、中国ちゅうごく当局とうきょくの統制とうせいが及およばないとされる動画どうが投稿とうこうサイト「YouTube」に動画どうがによる声明せいめいも投稿とうこうしました。

10分ふん余あまりの動画どうがには、事件じけんで犠牲ぎせいになったとする83人にんの遺影いえいがうつされていて、女性じょせいの声こえで声明せいめいが読み上よみあげられています。

この中なかでは、「35年ねん前まえの6月つき4日にちを忘わすれることはできない」としたうえで、事件じけん当時とうじについて「銃弾じゅうだんで倒たおれた若わかい人ひとたちを、市民しみんは助たすけようとしたが軍人ぐんじんらはそれを許ゆるさないどころか、けが人けがにんに対にたいしてさらに銃剣じゅうけんを突き立つきたてた」などと主張しゅちょうしています。

そのうえで「35年ねんたった今いまも、政府せいふは沈黙ちんもくを続つづけ、事実じじつに反はんする言い逃いいのがれを繰り返くりかえしているのは到底とうてい受け入うけいれられない」として遺族いぞくには当時とうじの軍ぐんの対応たいおうなど真相しんそうを知しる権利けんりがあると訴うったえています。

さらに、「事件じけんが起おきて以来いらい、政府せいふは遺族いぞくの正当せいとうな要求ようきゅうを無視むしし、あらゆる手段しゅだんを使つかって遺族いぞくの日常にちじょう生活せいかつに絶たえず干渉かんしょうし続つづけてきた」として、政府せいふは、事件じけんの真相しんそう究明きゅうめいを求もとめる遺族いぞくらを抑え込おさえこんできたと非難ひなんしています。

中国ちゅうごく外務省がいむしょう「中国ちゅうごく政府せいふは明確めいかくな結論けつろん出だしている」

天安門てんあんもん事件じけんからことしで35年ねんとなるのを前まえに、中国ちゅうごく外務省がいむしょうの毛もう寧やすし報道ほうどう官かんは3日にちの記者きしゃ会見かいけんで「1980年代ねんだい末まつに起おきたあの政治せいじ的てきな騒さわぎについて、中国ちゅうごく政府せいふはとっくに明確めいかくな結論けつろんを出だしている」と述のべ、事件じけんの遺族いぞくらが求もとめる真相しんそうの究明きゅうめいは必要ひつようないというこれまでの立場たちばを重かさねて示しめしました。

香港ほんこんでも犠牲ぎせい者しゃ追悼ついとう難むずかしく

天安門てんあんもん事件じけんの犠牲ぎせい者しゃを追悼ついとうすることは、中国ちゅうごく本土ほんどだけでなく、香港ほんこんでもますます難むずかしくなっています。

中国ちゅうごく本土ほんどで事件じけんについて公おおやけに語かたることがタブー視しされる一方いっぽう、香港ほんこんでは「一いち国こく二に制度せいど」のもと言論げんろんや集会しゅうかいの自由じゆうが認みとめられ、およそ30年ねんにわたり、犠牲ぎせい者しゃを追悼ついとうする集会しゅうかいが開ひらかれてきました。

この集会しゅうかいは毎年まいとし6月つき4日にちの夜よるに開ひらかれ、多おおい時ときには18万まん人にんが参加さんかし、ろうそくに火ひをともして犠牲ぎせい者しゃを悼いたむとともに、中国ちゅうごく政府せいふに事件じけんの真相しんそう究明きゅうめいを求もとめてきました。

しかし、4年ねん前まえ、反はん政府せいふ的てきな動うごきを取り締とりしまる香港ほんこん国家こっか安全あんぜん維持いじ法ほうが施行しこうされ、追悼ついとう集会しゅうかいを主催しゅさいしてきた市民しみん団体だんたいの幹部かんぶらが相次あいついで逮捕たいほ・起訴きそされるなどしたため、集会しゅうかいは2019年ねんを最後さいごに開ひらかれなくなりました。

さらに香港ほんこんでは、ことし3月つき、香港ほんこん国家こっか安全あんぜん維持いじ法ほうを補完ほかんする「国家こっか安全あんぜん条例じょうれい」も施行しこうされ、社会しゃかいの統制とうせいが一段いちだんと強つよまっていて、3日にちまでにSNSに天安門てんあんもん事件じけんに関係かんけいする投稿とうこうをした8人にんが「中国ちゅうごく政府せいふなどへの憎悪ぞうおをあおった」として逮捕たいほされました。

こうした状況じょうきょうについて、ほぼ毎年まいとし、香港ほんこんでの追悼ついとう集会しゅうかいに参加さんかしてきたという、民主みんしゅ派はの元もと区く議会ぎかい議員ぎいん、朱しゅ江こう※イさん（47）は「香港ほんこんで追悼ついとうするのが難むずかしくなっても、私わたしには、香港ほんこんでまだ多おおくの人ひとが事件じけんを忘わすれていないと伝つたえる責任せきにんがある」と話はなし、ことしも自分じぶんなりのやり方やりかたで犠牲ぎせい者しゃを追悼ついとうしたいとしています。

※イ＝王おうへんに韋

台湾たいわん 頼よりゆき総統そうとう SNSに投稿とうこう「六ろく四よんの記憶きおく 消きえ去さることはない」

台湾たいわんの頼よりゆき清徳せいとく総統そうとうは4日にち、「六ろく四よん（ろくよん）35周年しゅうねんを記念きねんする」というメッセージをSNSに投稿とうこうしました。

「六ろく四よん」は、1989年ねん6月つき4日にちに起おきた天安門てんあんもん事件じけんを意味いみします。

この中なかで頼よりゆき総統そうとうは「真しんに尊敬そんけいされる国くにとは、人民じんみんが大おおきな声こえで話はなしができる国くにのことだ。いかなる政権せいけんも、人民じんみんの声こえ、とりわけ若わかい世代せだいの声こえに、勇敢ゆうかんに向き合むきあうべきだ」としています。

そして「民主みんしゅと自由じゆうがあってこそ、真しんに人々ひとびとを守まもることができる」と強調きょうちょうし「六ろく四よんの記憶きおくが歴史れきしの大おおきな流ながれの中なかで消え去きえさることはない。この歴史れきしの記憶きおくを長ながく人々ひとびとの心こころに残のこし、中国ちゅうごくの民主みんしゅを気きにかけるひとりひとりの心こころを動うごかせるよう、私わたしたちは努力どりょくを続つづける」と記しるしています。

また台湾たいわんについて「先人せんじんたちの犠牲ぎせいと貢献こうけんによって権威けんい主義しゅぎ体制たいせいから民主みんしゅ化かに進すすんだ」としたうえで「私わたしたちは今後こんごも、あらゆる力ちからを結集けっしゅうして、台湾たいわんの民主みんしゅ主義しゅぎを深化しんかさせるとともに、理念りねんの近ちかい国々くにぐにと協力きょうりょくしてよりよい世界せかいをつくりあげていく」としています。

林はやし官房かんぼう長官ちょうかん「中国ちゅうごくの人権じんけん状況じょうきょうに関にかんする懸念けねんを表明ひょうめいしてきている」

林はやし官房かんぼう長官ちょうかんは記者きしゃ会見かいけんで「日本にっぽん政府せいふとしては、自由じゆうと基本きほん的てき人権じんけんの尊重そんちょう、法ほうの支配しはいは国際こくさい社会しゃかいにおける普遍ふへん的てき価値かちであり、中国ちゅうごくでも保障ほしょうされることが重要じゅうようだと考かんがえており、こうした立場たちばを一貫いっかんして中国ちゅうごく政府せいふに直接ちょくせつ、伝達でんたつしてきている。国連こくれんの場ばも含ふくめ中国ちゅうごくの人権じんけん状況じょうきょうに関にかんする懸念けねんを表明ひょうめいしてきており、引き続ひきつづき国際こくさい社会しゃかいと緊密きんみつに連携れんけいして中国ちゅうごく側がわに強つよく働はたらきかけていく」と述のべました。