ロシアによる
軍事侵攻の
おそれが
あると
欧米が
警戒を
強め
緊張が
続くウクライナ。
国民はどのような日々を過ごしているのか?そして、国境周辺に大規模な部隊を集結させているロシアに対してどんな思いを抱いているのでしょうか?
1月下旬、現地で取材した記者の報告です。
(モスクワ支局長・権平恒志)
ウクライナを巡って何が起きている?
去年11
月ごろからロシア
軍がウクライナ
国境周辺に
大規模な
部隊を
展開しています。
その規模は
およそ10
万人とされ、
アメリカ政府などが、ロシアがウクライナへの
軍事侵攻を
計画しているのではと
警戒感を
強めています。
ロシアは「侵攻する意図はない」と繰り返し主張していますが、8年前(2014年)にはウクライナ南部のクリミアを一方的に併合しました。また、ウクライナ東部ではロシアが後ろ盾となっている武装勢力とウクライナ政府軍の間で衝突に発展し、その後も散発的に戦闘が続いています。
現地の街の様子は?
まず、ウクライナの
中央に
位置する
首都キエフを
訪れました。
混乱した様子は見られず、朝、市民は氷点下の寒さの中、ふだんどおり足早に職場や学校へ向かっていました。人出も交通量も変わった様子はなく、中心部の広場も穏やかでした。
子どもたちは
幹線道路脇の
土手に
積もった
雪を
滑り台にして、
歓声をあげながら、そり
滑りを
楽しんでいました。
中心部にあるショッピングモールでは、お茶を飲みながら会話を楽しむカップルの姿や、ウクライナ伝統の弦楽器バンドゥーラを弾きながら美しい旋律で民謡を歌う女性2人の姿もありました。
店は開いているの?
キエフでは
レストランや
店舗は
どこも
変わらず
営業していました。
市内最大規模のスーパーマーケットには、ウクライナの伝統的なスープ「ボルシチ」に欠かせないビーツをはじめ、生鮮食料品など豊富な食材が並べられていました。
食料品などの買い占めは起きていない?
実は、ウクライナのゼレンスキー
大統領は、
取材に
訪れる前の1
月19
日、
国民向けのテレビ
演説で「
買い占めに
走らないで」と
呼びかけていました。
具体的に
挙げたのは、
マッチ、
それに、ウクライナの
家庭料理で
よく使われる、
そばの
実でした。
「カーシャ」と
呼ばれる、
そばの
実の「かゆ」の
食材として
親しまれています。
スーパーにはそばの実を売るコーナーがあり、新型コロナの感染拡大の第1波の時にはいわゆる「巣ごもり需要」として棚からなくなったのだそうです。
今回取材に訪れると在庫は十分で、買い占めも起きていませんでした。
そばの
実を
買い求める人たちからは「
いつもと
買う量は
変わりません」という
声が
多く
聞かれました。
その一方で「国境周辺のロシア軍は脅しにすぎないと願いますが、ニュースを見ていて今後は備蓄用に多めに買うかも知れません」という人もいました。
なかには「パニックになる必要はありませんが、状況は緊迫しているので、そばの実だけは、いつもより多めに、3キロの袋を買うことにしました」と話す人もいました。
ウクライナの市民はロシアの侵攻は現実にあると思っている?
人々の
話しぶりは
驚くほど
冷静でしたが、「ロシアは
その気になれば“
大義名分”を
見つけて、
いつでも新たに
攻めてくる」という
警戒感もあるようです。
何人かの
人が「ロシアは2014
年から
ずっとウクライナを
攻撃しているんですよ」という
言葉を
口にしていたのが
印象的でした。
この言葉には、ウクライナの
現状が
よく表れています。8
年前、ロシアは、
軍事力を
背景にウクライナ
南部クリミア半島を
一方的に
併合。ウクライナ
東部では、ロシアを
後ろ盾とする
武装勢力と
政府軍との
戦闘がいまも
続いています。
私は8年前、東部の中心都市ドネツクで取材しましたが、政府軍との戦闘では多くの市民が巻き込まれて犠牲になり、女性や子ども、高齢者を中心に、多くの人たちが戦火を逃れて、着の身着のまま列車に飛び乗り避難する様子を目にしました。
市民の警戒感は高まっている?
冷静に
事態の
推移を
見守っている
人が
多い一方で、
特に危機感が
強いのが、かつて
東部での
戦闘に
何らかの形で
巻き込まれた
人たちです。
その1
人が、
人づてに
出会った、キエフ
市内に
住むナターリヤ・チェレブコ
さんです。
夫と娘、孫の4人暮らしで、そばの実をはじめ多くの食料品や医薬品などを買いだめして部屋のあちこちに保管していました。とりわけ医薬品は、感染対策のアルコール消毒液から抗生剤や止血帯、鎮痛剤まで、2つの箱に詰め込んでいることに驚かされました。
ナターリヤ
さんが
備えを
進めているのは
娘の
体験を
聞いているからです。
8年前、娘のワレリヤさんは東部ドネツクで暮らしていて、戦闘の激化に伴い、息子を連れてキエフで暮らす両親のもとに避難してきました。
ワレリヤさんによれば、当時ドネツクは戦闘の影響で深刻な医薬品不足に陥ったということで、ナターリヤさんは持病の薬をはじめ思いつく医薬品を備えているというのです。
ナターリヤさんはこう話していましたー。
「
有事には
荷物をすぐにまとめて10
分、15
分で
退避できます。ウクライナ
西部のポーランド
国境か、
それでも危険なら
一時的に
国外へ
逃げるかもしれません。
でも、ウクライナが
国民主権の
ある国、
独立した
国であり
続け、
ここに
住み
続けられることを
願っています」
また、キエフ中心部の独立広場で話を聞いた、息子がドネツクでの戦闘で大けがを負ったという女性は「国どうしが元の友好関係に戻るには100年かかる。(1991年の)ソビエト崩壊後、ウクライナにあった核兵器を国が放棄したのは、ロシアが『あなたたちを守りますよ』と約束したから。その約束を破って私たちを攻撃しているロシアと、どうして友人になれますか」と語気を強めていました。
(ウクライナとロシアはかつて「ソビエト連邦」という同じ国でした)。
自衛の動きも出ている?
ウクライナでは、ことし1
月1
日「
国家レジスタンス
基本法」という、
新たな
法律が
施行されました。ロシアの
侵攻に
備えて
国民一丸となって
抵抗しようというのです。
この法律に沿って、有事の際には政府軍の指揮下に入る「領土防衛部隊」を育成したり、隊員が市民を対象に訓練を行ったりする動きが国内各地で広がっています。
その様子を
取材しようと、キエフから
南に
およそ30
キロの
町、ウクラインカを
訪ねました。
1月末に開かれた講習会は、地元の領土防衛部隊が主催し、12人が参加。半数以上は女性でした。
いざという
時、
自分の
身や
家族を
守る必要が
あるという
意識で、
銃の
扱い
方などを
真剣な
表情で
学んでいました。
講師を
務めたのは、
東部で
親ロシア
派との
戦闘に
加わった
経験も
あるアレクセイ・ビドメンコ
さん(43)。
ふだんは運送業を営んでいますが、有事の際には人口1万5000のウクラインカを守り抜くとしたうえで「誰も戦いたくはない。全員の強い気持ちを相手(ロシア)に示すことが抑止力になれば」と力を込めていました。
現地で何を感じた?
ウクライナの
人たちは、
表面上は
落ち着いた
日常を
送っているように
見えても、
一人ひとり話を
聞いていくと、
多くは
不安を
抱えていました。
共通するのは「ロシアのプーチン大統領の真意が分からない」というものでした。
そのプーチン大統領はNATO=北大西洋条約機構をこれ以上、拡大しないことなどを法的に保証するよう求めていて、ロシアが抱く安全保障上の懸念についてアメリカなどに対応を迫っています。
ロシアの脅威にさらされるウクライナ。人々が安心して「そばの実」を食べられるようになることを願います。
(撮影:ヨーロッパ総局・山村充)
台風15号 四国~東北 線状降水帯発生のおそれ 厳重警戒を
台風15号は近畿南部付近の海上にあって、6日にかけて太平洋側を東寄りに進む見込みです。湿った空気や前線の影響により台風の中心から離れたところで雨が強まっていて、四国から東北にかけての各地で線状降水帯が発生して総雨量が多くなるおそれがあり、土砂災害や低い土地の浸水などに厳重に警戒してください。
Source: NHK
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Sep 5, 2025 09:09
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