Japanese News: 北朝鮮弾道ミサイル EEZ外に落下と推定防衛相「強く非難」

岸きし防衛ぼうえい大臣だいじんは、北朝鮮きたちょうせんが27日にち朝あさ、少すくなくとも1発はつの弾道だんどうミサイルを発射はっしゃし、日本にっぽんのEEZ＝排他はいた的てき経済けいざい水域すいいきの外側そとがわに落下らっかしたと推定すいていされることを明あきらかにしました。

そのうえで、ロシアによるウクライナへの軍事ぐんじ侵攻しんこうが続つづく中なかでの発射はっしゃについて「この間隙かんげき（かんげき）を縫ぬって行おこなわれたものであれば、断だんじて容認ようにんできない」と述のべました。

ウクライナ侵攻しんこうの間隙かんげき縫ぬうものであれば「断だんじて容認ようにんできず」

防衛ぼうえい省しょうによりますと、27日にち朝あさ7時じ51分ふんごろ、北朝鮮きたちょうせんが少すくなくとも1発はつの弾道だんどうミサイルを北朝鮮きたちょうせんの西岸せいがん付近ふきんから東ひがし方向ほうこうに発射はっしゃしました。

弾道だんどうミサイルは、最高さいこう高度こうどがおよそ600キロで、300キロ程度ていどの距離きょりを飛ひしょうし、北朝鮮きたちょうせんの東岸とうがん付近ふきんの、日本にっぽんのEEZ＝排他はいた的てき経済けいざい水域すいいきの外側そとがわに落下らっかしたと推定すいていされています。

現時点げんじてんで、日本にっぽんの航空こうくう機きや船舶せんぱくへの被害ひがいは確認かくにんされていないということです。

岸きし防衛ぼうえい大臣だいじんは、午前ごぜん9時半じはんすぎ、記者きしゃ団だんに対にたいし「わが国わがくにや地域ちいき、国際こくさい社会しゃかいの平和へいわと安全あんぜんを脅おびやかすものであり、断だんじて容認ようにんできない。国連こくれん安保理あんぽり決議けつぎにも違反いはんするものであり、強つよく非難ひなんする」と述のべ、北朝鮮きたちょうせんに対にたいし、大使館たいしかんルートを通をつうじて抗議こうぎしたことを明あきらかにしました。

そのうえで、岸きし大臣だいじんは「北朝鮮きたちょうせんは、ことしに入はいってから、巡航じゅんこうミサイルの発射はっしゃ発表はっぴょうも含ふくめれば8回かいに及およぶ高たかい頻度ひんどで、新あらたな態様たいようでの発射はっしゃを繰り返くりかえしている。北朝鮮きたちょうせんが急速きゅうそくかつ着実ちゃくじつに関連かんれん技術ぎじゅつや運用うんよう能力のうりょくの向上こうじょうを図はかっていることは明あきらかで、断だんじて許ゆるされず、見過みすごすことはできない」と述のべました。

また、ロシアによるウクライナへの軍事ぐんじ侵攻しんこうが続つづく中なかでの北朝鮮きたちょうせんの弾道だんどうミサイル発射はっしゃについて「仮かりに国際こくさい社会しゃかいがロシアによるウクライナ侵略しんりゃくに対応たいおうしている中なかで、この間隙かんげきを縫ぬって行おこなわれたものであれば、断だんじて容認ようにんできない」と述のべました。

弾道だんどうミサイルの発射はっしゃを受うけて、岸田きしだ総理そうり大臣だいじんは、情報じょうほうの収集しゅうしゅうと分析ぶんせきに全力ぜんりょくを挙あげ、国民こくみんに対にたいし、迅速じんそく・的確てきかくな情報じょうほう提供ていきょうを行おこなうこと、航空こうくう機きや船舶せんぱくなどの安全あんぜん確認かくにんを徹底てっていすること、それに不測ふそくの事態じたいに備そなえ、万全ばんぜんの態勢たいせいをとることを指示しじしました。

防衛ぼうえい省しょうでは、警戒けいかい・監視かんしに万全ばんぜんを期きすとともに、情報じょうほう収集しゅうしゅうと分析ぶんせきを進すすめています。

日本にっぽん関係かんけい船舶せんぱくに被害ひがいの情報じょうほうなし海保かいほ

北朝鮮きたちょうせんから弾道だんどうミサイルが発射はっしゃされたことを受うけ、海上かいじょう保安庁ほあんちょうが日本にっぽん周辺しゅうへんの海域かいいきで被害ひがいなどの確認かくにんを進すすめていますが、これまでのところ日本にっぽんに関係かんけいする船舶せんぱくへの被害ひがいの情報じょうほうは入はいっていないということです。

政府せいふ緊急きんきゅう参集さんしゅうチームを招集しょうしゅう

政府せいふは総理そうり大臣だいじん官邸かんていの危機きき管理かんりセンターに設置せっちしている官邸かんてい対策たいさく室しつに関係かんけい省庁しょうちょうの担当たんとう者しゃをメンバーとする緊急きんきゅう参集さんしゅうチームを招集しょうしゅうし、情報じょうほうの収集しゅうしゅうと被害ひがいの確認かくにんなどにあたっています。

林はやし外務がいむ大臣だいじんはNHKの日曜にちよう討論とうろんで「われわれは今回こんかいのウクライナの事態じたいは欧州おうしゅうのみにとどまらず、世界せかい、とりわけインド太平洋たいへいよう地域ちいきや東アジアひがしあじあにも影響えいきょうを与あたえうると申し上もうしあげ、G7でも一致いっちしてメッセージを出だしてきた。今回こんかいの発射はっしゃがそれと関連かんれんし、どういう意図いとで行おこなわれたかはまだ情勢じょうせいを分析ぶんせきしていないが、こうした事態じたいにはしっかり備そなえを持もっておかなければいけないという思おもいを新あらたにしている」と述のべました。

また、林はやし外務がいむ大臣だいじんは27日にち午前ごぜん、東京とうきょう都内とないでNHKの取材しゅざいに対にたいし「先月せんげつ30日にちのIRBM＝中距離ちゅうきょり弾道だんどうミサイル級きゅうの発射はっしゃに続つづくもので、極きわめて遺憾いかんだ。詳細しょうさいは現在げんざい、分析ぶんせき中ちゅうだが、外務省がいむしょうとしては、発射はっしゃ直後ちょくごから米国べいこくや韓国かんこくと緊密きんみつな連携れんけいを確認かくにんしており、引き続ひきつづき情報じょうほうの収集しゅうしゅうと分析ぶんせきに全力ぜんりょくをあげ日本にっぽんの平和へいわと安定あんていの確保かくほに万全ばんぜんを期きしていきたい」と述のべました。

韓国かんこく緊急きんきゅうの国家こっか安全あんぜん保障ほしょう会議かいぎを開催かいさい

韓国かんこく政府せいふは、緊急きんきゅうのNSC＝国家こっか安全あんぜん保障ほしょう会議かいぎを開ひらき「ウクライナ情勢じょうせいのため世界せかいが全力ぜんりょくを挙あげる中なかでの発射はっしゃで、朝鮮ちょうせん半島はんとうの平和へいわや安定あんていにとって望のぞましくない」と深ふかい憂慮ゆうりょを表明ひょうめいし、発射はっしゃを直ただちにやめるよう北朝鮮きたちょうせんに求もとめました。

北朝鮮きたちょうせんは、北京ぺきんオリンピックが開ひらかれた今月こんげつは26日にちまで1度ども発射はっしゃせず、後うしろ盾たての中国ちゅうごくへの配慮はいりょだとする見方みかたも出でていましたが、大会たいかい閉幕へいまく後ごに再ふたたび発射はっしゃに踏み切ふみきることで、核かく・ミサイル開発かいはつを推し進おしすすめる姿勢しせいに変かわりはないと改あらためて強調きょうちょうした形かたちです。

また27日にちは、物別ものわかれに終おわった2回かい目めの米べい朝ちょう首脳しゅのう会談かいだんが開ひらかれてから3年ねんに当あたり、ロシアによるウクライナへの軍事ぐんじ侵攻しんこうを受うけて対応たいおうに追おわれるアメリカを強つよくけん制けんせいするねらいがあるとみられます。

一方いっぽう、北朝鮮きたちょうせんでは、キム・ジョンウン（金きむ正ただし恩おん）総そう書記しょきが出席しゅっせきして朝鮮ちょうせん労働党ろうどうとうの下部かぶ組織そしきの幹部かんぶを集あつめた大会たいかいが26日にちから開ひらかれていて、内部ないぶの結束けっそくを図はかりたい思惑おもわくもありそうです。

米べいがウクライナ対応たいおうに集中しゅうちゅうできないようにするねらいか

北朝鮮きたちょうせんが弾道だんどうミサイルを発射はっしゃしたことについて、海上かいじょう自衛隊じえいたいで司令しれい官かんを務つとめた元もと海うみ将しょうの香田こうだ洋二ようじさんは「北朝鮮きたちょうせんは26日にち、ロシアによるウクライナ侵攻しんこうについて『責任せきにんはアメリカにある』と初はじめて反応はんのうを示しめし、その翌日よくじつの発射はっしゃであることから明あきらかにウクライナでの事態じたいに連動れんどうした動うごきだろう。北朝鮮きたちょうせんが独自どくじに判断はんだんした可能かのう性せいも考かんがえられるが、発射はっしゃに関にかんし、ロシアとの間まで何なんらかのやり取やりとりは交かわされたと考かんがえるのが自然しぜんではないか。アメリカがウクライナ情勢じょうせいへの対応たいおうだけに集中しゅうちゅうできないようにし、複雑ふくざつ性せいを高たかめるねらいがあるとみられる」と指摘してきしています。

そのうえで、日本にっぽん周辺しゅうへんの安全あんぜん保障ほしょう環境かんきょうへの影響えいきょうについて、香田こうださんは「ウクライナ情勢じょうせいへのアメリカの対応たいおうを見みて、こうした事態じたいに対処たいしょする能力のうりょくが落おち『何なにもしない』と北朝鮮きたちょうせんが感かんじたとすれば、大おおきな問題もんだいだ。日本にっぽんとしては、自衛隊じえいたいとアメリカ軍ぐんの行動こうどうを含ふくめ、日にち米べい同盟どうめいの体制たいせいを改あらためて確認かくにんしインド太平洋たいへいよう地域ちいきでは、アメリカは、介入かいにゅうする意図いとや能力のうりょくがあると示しめすことが非常ひじょうに重要じゅうようだ」と話はなしていました。

発射はっしゃはことし8回かい目め

防衛ぼうえい省しょうによりますと、北朝鮮きたちょうせんが弾道だんどうミサイルなどを発射はっしゃしたのは先月せんげつ30日にち以来いらいで、ことしに入はいって8回かい目めです。これまでの7回かいのうち6回かいは弾道だんどうミサイルと推定すいていされています。

先月せんげつ5日にちに発射はっしゃされた1発はつについて防衛ぼうえい省しょうは、通常つうじょうよりも低ひくい最高さいこう高度こうどおよそ50キロで飛ひしょうしたとみられ、距離きょりは通常つうじょうの弾道だんどう軌道きどうだとすれば、およそ500キロだったと推定すいていしています。

これまで北朝鮮きたちょうせんから発射はっしゃされたことのない新型しんがたの弾道だんどうミサイルだと分析ぶんせきしています。

先月せんげつ11日にちに発射はっしゃされたのは弾道だんどうミサイル1発はつで、最高さいこう高度こうどおよそ50キロ、最大さいだい速度そくどおよそマッハ10で飛ひしょうし、左ひだり方向ほうこうへの水平すいへい機動きどうも含ふくめ変則へんそく的てきな軌道きどうだったことから、距離きょりがおよそ700キロに及およぶ可能かのう性せいがあると分析ぶんせきしています。

先月せんげつ14日にちに発射はっしゃされた2発はつは最高さいこう高度こうどがおよそ50キロで、通常つうじょうの弾道だんどう軌道きどうだとすればおよそ400キロ飛ひしょうしたと推定すいていされています。固体こたい燃料ねんりょう推進すいしん方式ほうしきの短距離たんきょり弾道だんどうミサイルで、去年きょねん9月つき15日にちに鉄道てつどうから発射はっしゃされたものと同型どうけいとみられるとしています。