(格助)
〔上代語〕
(1)動作・作用の時間的・空間的起点を示す。 から。
「はしけやし我家(ワギエ)の方~雲居立ち来(ク)も/古事記(中)」「天地の遠き初め~世の中は常なきものと語り継ぎ流らへ来れ/万葉 4160」
(2)動作の行われる場所・経由地を示す。
「大和へに行くは誰が夫(ツマ)隠り水(ズ)の下~延(ハ)へつつ行くは誰が夫/古事記(下)」「旅にして妹に恋ふればほととぎす我が住む里にこ~鳴き渡る/万葉 3783」
(3)動作の手段を示す。 で。
「浅小竹原(アサジノハラ)腰泥(ナヅ)む空は行かず足~行くな/古事記(中)」
(4)比較の基準を示す。 より。
「雲に飛ぶ薬食(ハ)む~は都見ばいやしき我(ア)が身またをちぬべし/万葉 848」
〔(1)上代には, この語とほとんど同じ用法をもつ格助詞として, 「ゆ」「ゆり」「より」がある。 これらの語の語源に関しては, 「ゆり」「より」からその省略形として「ゆ」「よ」ができたとする説と, 「ゆ」「よ」から「ゆり」「より」が派生したとする説とがある。 (2)この語は, 「古事記・歌謡」と「万葉集」にのみ用例がみられる〕
→ より(格助)
→ ゆ(格助)
→ ゆり(格助)