〔古くは「か」といい, 「めか(女鹿)」に対して牡鹿を呼んだものという〕
(1)偶蹄目シカ科の哺乳類の総称。 体重10キログラム以下から800キログラムまで, 多くの種類がみられる。 細長い四肢をもつ優美な外形で, 枝分かれした大きな角が特徴的。 灰色・褐色など体色の変異は大きい。 森林・草原からツンドラまで広く分布する。
(2){(1)}のうち特にニホンジカを指す。 ﹝季﹞秋。
(3)遊女の階級の一つで, 「囲(カコイ)」の異名。 鹿恋(カコヒ)の字を当てるところからいう。
「香こそ愛らし梅(=天神)の花, ~の起きふししをらしく/浮世草子・元禄太平記」
<i>~の角を蜂(ハチ)が刺す</i>
鹿の角を蜂が刺しても鹿は何も感じないように, いっこうに手ごたえがない。 全く平気でいる。 蛙(カエル)の面(ツラ)に水。 鹿(シシ)の角を蜂が刺す。
<i>~を逐(オ)・う</i>
〔史記(淮陰侯伝)「秦失其鹿, 天下共逐之」〕
政権や帝位を得ようとして争う。 中原に鹿を逐う。
<i>~を逐(オ)う=者(=猟師(リヨウシ))は山を見ず</i>
〔淮南子(説林訓)〕
利益を得ようと熱中する者は, 周囲の情勢に気がつかないことのたとえ。
<i>~を指(サ)して馬となす</i>
〔秦の趙高が鹿を二世皇帝に献じて馬であると披露すると, 群臣は趙高の権勢をはばかって反対を唱えなかったという「史記(秦始皇本紀)」の故事から〕
自分の権勢をよいことに, 矛盾したことを押し通す。 また, 人を愚弄する。 白を黒という。 鹿を馬。