ただ、ヘルソン州のロシア側の支配地域について「状況はまさに壊滅的だ。救助もなく、飲料水も食料もない。医療活動も行われておらず、どれだけの人々が死ぬかも分からない」と述べ、ロシア側は民間人を救助していないなどとして、強く非難しました。
フランス政府によりますと、浄水器や衛生用品、貯水タンクなどを緊急支援物資として現地に届けるということです。 また、ウクライナ大統領府によりますと会談で、ゼレンスキー大統領は、ダムの決壊は、ロシア軍の爆破による結果だと主張し、両首脳は、状況の調査に向けて、国際的な枠組みを活用する可能性を検討したということです。
また、ウクライナのクレバ外相も7日、ストルテンベルグ事務総長と電話会談したことを明らかにし「ストルテンベルグ氏はNATOの枠組みで人道支援を行うことを約束した」としています。
そしてウクライナとロシアがそれぞれ相手側の破壊工作だと主張していることについては「どちらにとってメリットがあったのかということや、決壊のタイミングを考えると、ロシア側が実行したという見方は成り立つ」と述べました。
一方、ロシア側にとってはメリットがあると述べ、その理由として▼ドニプロ川に架かる唯一の橋がダムに併設されていたが、破壊された上、▼下流域が水没して地面がぬかるみ、ウクライナ側が戦車部隊などを進めることが難しくなったと指摘しました。
ウクライナと国境を接するロシア西部の州では、ロシア人などの義勇兵を名乗る「自由ロシア軍」や「ロシア義勇軍」が攻撃を繰り返しています。 2つの組織の役割について兵頭研究幹事は「ロシア側からするとこれまでの1200キロの戦線に加えて、ロシア領内の800キロを新たに守らなくてはならない状況になり、戦線が大きく拡大することになる。このため、特に南部と東部からロシア軍を引き離し、分散させるねらいがあるとみられる。ウクライナ軍の反転攻勢の動きにも何らかの形で連動していると思う」とする見方を示しました。 その上で、ゼレンスキー大統領が義勇兵組織によるロシア領内への攻撃を把握していたかどうかは確認できていないとして「ゼレンスキー大統領がこれらの組織を100%コントロールできておらず、ロシア領内への攻撃が激化し、戦争がエスカレートする可能性もある」と指摘しました。
トルコ大統領府によりますと、エルドアン大統領はゼレンスキー大統領に対して「詳しい調査を行うために、ロシアとウクライナの専門家、それに国連とトルコなどが加わった委員会を設置できる」として、原因究明に向けた調査委員会の設置を提案したということです。
ロシア大統領府によりますと、プーチン大統領は「ウクライナは西側の意向をくんで緊張を高める危険な賭けをしている」と主張したということです。 ゼレンスキー大統領は「ロシアのテロ行為による人道面や環境への影響などについて伝えた」とSNSで明らかにしていて、エルドアン大統領としては、みずから仲介に乗り出すことで事態の打開につなげたい考えとみられます。
【ダム決壊で被害の状況は】
国連報道官「住民に深刻な健康被害が及ぶおそれ」
FAO=国連食糧農業機関「食料安全保障に影響の可能性」
【支援の動き】
仏マクロン大統領 ダム決壊による被災者支援表明
NATO事務総長「8日に緊急会合を開く」
【ダム決壊の原因については】
専門家「“ロシア側が実行”見方は成り立つ」
今後の戦況に与える影響については
【仲介の動き】
トルコ エルドアン大統領が調査委設置提案
FAO=国連食糧農業機関は、ダムの決壊により農作物にも大きな被害が出ていて、食料安全保障にも影響が出る可能性が高いと警告しています。
動画で公開「大規模な洪水で2000人以上が救助」