国立天文台によりますと、31日は全国で同じ時刻の午後8時48分ごろから月が欠け始め、午後9時51分ごろからおよそ1時間17分にわたって月全体が地球の影に隠れる皆既月食の状態になります。
影に隠れ暗くなった月には、地球の大気の層で屈折したわずかな光が当たり「赤銅色」と呼ばれる赤黒い色に輝きますが、大気中のちりが少なければ月はより明るいオレンジ色に近づき、ちりが多ければ黒っぽく見えます。
再び元の満月に戻るのは1日午前0時11分ごろです。
日本で観測できる皆既月食は平成27年4月以来およそ3年ぶりです。
民間の気象会社ウェザーニューズによりますと、31日夜は低気圧の影響で全国的に厚い雲が広がり、観測には厳しい条件になるということですが、北海道のオホーツク海側では晴れるほか、北海道の東部や岩手県、それに青森県の一部でも雲ごしや雲の切れ間から観測できるチャンスがあるということです。
今夜は「スーパー ブルー ブラッドムーン」
今回の皆既月食を、NASA=アメリカ航空宇宙局は非常に珍しい「スーパーブルーブラッドムーン」だと紹介しています。
「スーパームーン」は、月が地球に近づいてふだんよりも大きく明るく見える満月。
「ブルームーン」とは、ひと月で2回目の満月のことだそうです。
また皆既月食の月は赤黒く輝くことから、血の色の月、「ブラッドムーン」と呼ばれ、今回の皆既月食はこの3つの現象が重なることから「スーパーブルーブラッドムーン」という、特別な「皆既月食」だとしています。
色は毎回変化
皆既月食の月は、赤黒い赤銅色と呼ばれる色になりますが、その色合いは毎回微妙に異なります。
皆既月食では、月は地球の影に完全に隠れ、太陽からの光が直接届かなくなりますが、太陽光のうち、地球の大気を通過する波長の長い赤い色だけが屈折して地球の影に入った月を照らすようになります。
赤銅色はこの光によって生まれるものですが、国立天文台によりますと、地球の大気に含まれるちりの量で色合いが変化するということです。
ちりが少ないと多くの光が大気を通り抜けて赤銅色の中でも明るいオレンジ色に近くなり、逆にちりが多いと黒っぽくなるということです。
このため大きな火山活動があると火山灰などの影響で月の色も変わります。
1982年の皆既月食の時には真っ暗な月が観測され、同じ年に起きたメキシコのエルチチョン火山の噴火の影響と考えられました。
1993年には灰色にわずかに赤みがかった月が観測され、その2年前に起きたフィリピンのピナツボ火山の噴火の影響と考えられています。
継続時間も毎回変わる
今回の皆既月食はおよそ1時間17分続きますが、前回日本で観測できた3年前にはわずか12分でした。
皆既月食の継続時間は毎回変わります。
継続時間が長くなるには、月が地球の影の中心近くを通ることと、地球から離れているときに月食が起こることが必要で、平成12年7月16日には継続時間が1時間47分という史上最長クラスの皆既月食が観測されました。
国立天文台の研究者によりますと、計算上、皆既月食の継続時間は1時間47分17秒が最長だと言うことで、次に1時間47分以上の皆既月食が見られるのは1769年後だということです。