일본어 뉴스: オミクロン株に専門家が感染初期症状から重症化どう感じた？

新型しんがたコロナウイルスのオミクロン株かぶは比較的ひかくてき重症じゅうしょう化かしにくいとされ、中なかには季節きせつ性せいのインフルエンザと変かわらないのではないかという意見いけんを述のべる人ひともいます。

しかし、そのオミクロン株かぶに感染かんせんして重症じゅうしょう化かし、人工じんこう呼吸こきゅう器きが必要ひつようになった専門せんもん家かがいます。

新型しんがたコロナウイルス対策たいさくにあたる政府せいふの分科ぶんか会かいのメンバーで、東邦とうほう大学だいがくの舘田たてだ一博かずひろ教授きょうじゅ（61）です。

初期しょきにはのどがむずむずするくらいで、高熱こうねつも出でなかったのに、気きづいたらせきがひどくなり、肺炎はいえんになっていました。

およそ3週間しゅうかんの入院にゅういん治療ちりょうを経へて回復かいふくした舘田たてださんに話はなしを聞ききました。いつも感染かんせん対策たいさくを呼よびかけてきた専門せんもん家か自身じしんが感染かんせんして感かんじたことは。

※以下いか「」は舘田たてださんのコメント

第だい6波はのピーク時じに感染かんせん

舘田たてださんが新型しんがたコロナウイルスに感染かんせんしたのは、第だい6波はがほぼピークの状態じょうたいだった2月つき4日にちごろ。

そのころ東京とうきょう都とでは一いち日にちの新規しんき感染かんせん者しゃ数すうが2万まん人にんを超こえ、全国ぜんこくでは10万まん人にんを超こえていました。

感染かんせん症しょう学がくが専門せんもんで、去年きょねんまでは感染かんせん症しょう学会がっかいの理事りじ長ちょうもつとめた舘田たてださん。

大学だいがくで教おしえるだけでなく、厚生こうせい労働ろうどう省しょうの専門せんもん家か会合かいごうや新型しんがたコロナ対策たいさくに当あたる政府せいふの分科ぶんか会かいに出でて意見いけんを述のべ、助言じょげんを行おこなうなど、多忙たぼうな日々ひびを送おくっていました。

初期しょき症状しょうじょうは...

当初とうしょはのどがむずむずするくらいで高熱こうねつもなく、抗原こうげん検査けんさを2日にち連続れんぞくで受うけても、いずれも陰性いんせいだったと言いいます。

しかし、2月つき9日にちごろから強つよく乾かわいたせきが続つづき、38度ど以上いじょうの発熱はつねつも。

そして、病院びょういんでPCR検査けんさを受うけたところ、新型しんがたコロナへの感染かんせんが判明はんめいしました。

オミクロン株かぶへの感染かんせんでした。

「最初さいしょは、のどがむずむずするくらいで高たかい熱ねつが出でるわけでもない。花粉かふん症しょうか何なにか、ちょっと違和感いわかんがあるという感かんじだった。いったん軽快けいかいするのかなと思おもうような兆候ちょうこうがあって、何なんとなく治なおるのかなと少すこし油断ゆだんした部分ぶぶんもあったかもしれない」

「今いま、冷静れいせいに考かんがえると、なぜもっと早はやめ早はやめに、PCR検査けんさをやらなかったのかと思おもう」

いきなり肺炎はいえん即そく入院にゅういんそして人工じんこう呼吸こきゅう器きに

舘田たてださんは、血液けつえき中ちゅうの酸素さんその値ねが低ひくくなり、CT検査けんさではすりガラスすりがらす状じょうの白しろい影かげが映し出うつしだされ、肺炎はいえんになっていることもわかりました。

その日ひから即そく、入院にゅういんになりました。

主治医しゅじいからは人工じんこう呼吸こきゅう器きを使つかった治療ちりょうを行おこなうと告つげられました。

「PCR陽性ようせいとか、サチュレーション（血液けつえき中ちゅうの酸素さんそ飽和ほうわ度ど）が下さがってるとか、CTで肺炎はいえん像ぞうがあるとか、そのときは意識いしきがもうろうとしているような状況じょうきょうでした。まともに自分じぶんの感染かんせんの状態じょうたいとかリスクを評価ひょうかできるような、そういった状態じょうたいじゃなかったんじゃないかなと思おもいます。どういう形かたちで検査けんさの結果けっかが出でて、どういう形かたちで話はなしを受うけて、どうなっていったかというのはあまり記憶きおくにないです」

重症じゅうしょう化かの要因よういんは...

舘田たてださんが重症じゅうしょう化かしたのには、1つ、要因よういんがあります。

実じつは、アレルギー体質たいしつで、新型しんがたコロナのワクチンを接種せっしゅできていなかったのです。

このため舘田たてださんは日頃ひごろから、マスクの着用ちゃくようの徹底てっていや人ひととの距離きょりをとること、接触せっしょくする時間じかんを短みじかくすること、それに換気かんきの徹底てっていといった感染かんせん対策たいさくを取とっていたと言いいます。

「アレルギーがある体質たいしつで、ワクチンを受うけられてなかったんですね。ですから当然とうぜんコロナにかかってしまうと、重症じゅうしょう化かしてしまうリスクが高たかいとわかっていました。この後のちどういうふうな形かたちで治療ちりょうが行おこなわれて、その治療ちりょうに（自分じぶんの体からだが）反応はんのうしてくれるのか、やっぱり不安ふあんですよね。不安ふあんな状況じょうきょうというのがありました」

「主治医しゅじいの先生せんせいが提案ていあんしてくれた挿管かん、人工じんこう呼吸こきゅう器きにつなげましょうという選択肢せんたくしを受け入うけいれざるをえない、受け入うけいれないという選択肢せんたくしはないという、そういう状態じょうたいだったと思おもいます」

「ワクチンを受うけていない人ひと、そして新型しんがたコロナウイルス感染かんせん症しょうの肺炎はいえんを合併がっぺいして低てい酸素さんその状態じょうたいになっている、そういう意味いみではかなり厳きびしい状況じょうきょうになりつつあるんだろうなって思おもいました。その中なかで人工じんこう呼吸こきゅう器きにつながるわけですから、さらに呼吸こきゅうの状態じょうたいが悪わるくなる、予期よきせぬ合併症がっぺいしょうを発症はっしょうしてしまうと、さらに厳きびしい状況じょうきょうになる。そういう可能かのう性せいが高たかまってきてるんだろうなっていうことを感かんじました」

意識いしきがほぼない10日間にちかんも...

舘田たてださんが人工じんこう呼吸こきゅう器きを使つかった治療ちりょうを受うけ始はじめたのは2月つき10日にち。

その後そのご、10日にち近ちかくにわたってほぼ意識いしきがありませんでした。

新型しんがたコロナで重症じゅうしょう化かした人ひとでは、免疫めんえきの仕組しくみが暴走ぼうそうし、体からだ中ちゅうに炎症えんしょうを引き起ひきおこす「サイトカインストーム」が起おきます。

この間このかん、舘田たてださんは、人工じんこう呼吸こきゅう器きとともに免疫めんえきの過剰かじょうな働はたらきを止とめる薬くすりを使つかった治療ちりょうを受うけました。

そして舘田たてださんは、2月つき20日にちごろになって意識いしきが戻もどり、医療いりょうスタッフと話はなせるようになりました。

ただ、時間じかんや日付ひづけの感覚かんかくはなくなっていました。

「いろいろ聞きいてきましたけど、実際じっさいに自分じぶんで体感たいかんするのは初はじめてでしょ。挿管かんされるときは、麻酔ますいがかかってる訳わけですよね。意識いしきがない中なかで、いつも夢ゆめを見みてるような、そういった感かんじでした。それから現実げんじつになったり夢ゆめになったり、どこまでが本当ほんとうなのか、幻覚げんかくを見みているみたいな状態じょうたいになるわけですよ。だんだん意識いしきが戻もどってくるにしたがって現実げんじつの部分ぶぶんが多おおくなってきて、主治医しゅじいの先生せんせいの顔かおが目めの前まえに出でてきたり、あるいはその先生せんせいとお話おはなししたりする時間じかんが長ながくなってきて、だんだん意識いしきが戻もどってくるようなそういうイメージでした」

「ただ、死しなずにすんだなということは何なんとなくわかりました。あんまり冷静れいせいには考かんがえてなかったかもしれないけれども、ああ意識いしきが戻もどってきたんだな、それで（人工じんこう呼吸こきゅう器きを）抜管かんするんだなっていうことはわかりました」

声こえも出でず歩あるけない衰弱すいじゃく著いちじるしく

舘田たてださんはその後そのご、一般いっぱん病棟びょうとうに移うつりリハビリを受うけました。

しかし、10日間にちかん人工じんこう呼吸こきゅう器きの治療ちりょうを受うけた影響えいきょうは大おおきく、声こえも出でず、足あしの筋肉きんにくも衰おとろえて歩あるけない状態じょうたいでした。

2、3日にちたってからは話はなすことや食事しょくじはできるようになりましたが、回復かいふくには想像そうぞうしていた以上いじょうに時間じかんがかかると感かんじています。

「足腰あしこしが弱よわって、シャワーも自分じぶんで浴あびられないし、疲つかれてしまって、髪の毛かみのけも自分じぶんで洗あらえないわけですよ。そういうふうな状態じょうたいから、少すこしずつ行動こうどう範囲はんいを広ひろげていくような状況じょうきょうでした。僕ぼくぐらいの年齢ねんれいであっても10日間にちかんの人工じんこう呼吸こきゅう器きにつながれるだけで、これだけ厳きびしい状況じょうきょうになってしまうわけですから、もう少もうすこしお年としの方ほう、あるいは基礎きそ疾患しっかんのある方ほうがもう少もうすこし長ながい期間きかん人工じんこう呼吸こきゅう器きにつながってしまったら、これはなかなか日常にちじょう生活せいかつに戻もどるのは大変たいへんなんだろうなっていうことを改あらためて感かんじました」

舘田たてださんは3月つき2日にち、およそ3週間しゅうかんの入院にゅういん治療ちりょうを終おえ、退院たいいんしました。

しかし、自宅じたくに帰かえることはできたものの、通常つうじょうの生活せいかつに戻もどるにはさらにリハビリが必要ひつようだと感かんじています。

＜舘田たてださんの症状しょうじょう・治療ちりょうの経過けいか＞

▽2/4ごろ

のどの違和感いわかんを覚おぼえる。37度ど5分ふん前後ぜんごの微熱びねつ。2日にち連続れんぞくで抗原こうげん検査けんさ受うけるも陰性いんせい。

▽2/9

せきが出で始はじめる。38度ど以上いじょうの発熱はつねつ。解熱剤げねつざい飲のんで対処たいしょ。

▽2/10

強つよく乾かわいたせきが止とまらなくなる。血液けつえき中ちゅうの酸素さんその値ねが83％、PCR検査けんさで新型しんがたコロナ陽性ようせいが判明はんめい。

CT画像がぞうで「すりガラスすりがらす状じょう」のコロナの肺炎はいえん。ICUに移動いどうし、夜よるに挿管かん、人工じんこう呼吸こきゅう器き使つかった治療ちりょう開始かいし。

▽2/10以降いこう

人工じんこう呼吸こきゅう器き使つかった治療ちりょうと並行へいこうして、免疫めんえきの過剰かじょうな働はたらきを止とめる薬くすりを使つかった治療ちりょう。10日間にちかんにわたって、ほぼ意識いしきなし。

▽2/20

肺はいの状態じょうたいが改善かいぜんし、人工じんこう呼吸こきゅう器きを外はずす。

▽2/21

一般いっぱん病床びょうしょうに移動いどう。個室こしつでリハビリ。

▽3/2

退院たいいん。

▽3月つき上旬じょうじゅん

少すこし速はやく歩あるくことや入浴にゅうよくでも息いきがすぐ苦くるしくなる状態じょうたい。

感染かんせんを経験けいけんして感かんじたことは？

舘田たてださんは、この経験けいけんを通をつうじて感染かんせん対策たいさくを呼よびかける立場たちばとして感かんじたことがあると言いいます。

1.ワクチンと感染かんせん対策たいさくをとることの重要じゅうよう性せい

1つは、重症じゅうしょう化かを予防よぼうするワクチンと感染かんせん対策たいさくをとることの重要じゅうよう性せいです。

「ワクチンを受うけていない高齢こうれい者しゃが新型しんがたコロナウイルス感染かんせん症しょうにかかってしまうと、重症じゅうしょう化かしやすいというのは明あきらかですから、受うけられる人ひとは3回かい目めの接種せっしゅまでしっかりと受うけられることをお勧すすめしたいと思おもいます。ただ、（私わたしのように）アレルギーがあったりとか、あるいは自分じぶんの信念しんねんで受うけたくないっていう方ほうもいますから、そういう人ひとたちは自分じぶんたちは感染かんせんしたら重症じゅうしょう化かしやすいんだということを改あらためて認識にんしきしていただいて、感染かんせんを避さけるような行動こうどうを普通ふつうの人ひとたち以上いじょうに注意ちゅういしてとっていかれることが大事だいじになると思おもいます」

「ワクチンも（ファイザーやモデルナのような）メッセンジャーRNAワクチンだけじゃなくて、（アストラゼネカなどの）ウイルスベクターワクチンであったり、さまざまなものが開発かいはつされています。こちらのワクチンはアレルギー反応はんのうが起おきるから使つかうべきじゃないけど、こっちのワクチンは使つかえるよねとか、そのときの量りょうを減へらす、あるいは間隔かんかくを空あける、そういった工夫くふうを合あわせるなどして、基礎きそ疾患しっかんがある人ひとたちや高齢こうれい者しゃをいかに重症じゅうしょうのコロナウイルス感染かんせん症しょうから守まもるか、考かんがえていかなければいけないだろうなと思おもいます」

2.いったん回復かいふくしたら終おわりの病気びょうきではない

また、今いまも本ほん調子ちょうしではなく、すぐに息切いきぎれし、筋肉きんにくも戻もどっていないという舘田たてださんは、改あらためてコロナはいったん回復かいふくしたら終おわりの病気びょうきではないと感かんじています。

「呼吸こきゅうが苦くるしい状態じょうたいが続つづくとか、そういった症状しょうじょうが残のこりやすい感染かんせん症しょうの1つですから、高齢こうれいの方かたたちは、コロナ自体じたいは治なおるかもしれないけれども、例たとえば人工じんこう呼吸こきゅう器きにつながれている期間きかんが長ながくなってしまうと、だんだん体からだの筋肉きんにくが萎縮いしゅくしてしまって治なおったあと普通ふつうの生活せいかつに戻もどれない、戻もどるのに非常ひじょうに時間じかんがかかってしまう可能かのう性せいが高たかくなると思おもいます」

3.コロナはまだ危険きけんな感染かんせん症しょう

猛威もういを振ふるったオミクロン株かぶによる感染かんせん拡大かくだいの第だい6波はは、今いま、ピークを越こえ、季節きせつ性せいインフルエンザと同様どうようの扱あつかいにすべきではないかという意見いけんを言いう人ひともいます。

舘田たてださんは自身じしんの体験たいけんからも、まだ安心あんしんできないと考かんがえています。

「60代だい前半ぜんはんで基礎きそ疾患しっかんが特とくにない人ひとが、こういう形かたちで人工じんこう呼吸こきゅう器きを使つかわざるをえないような状況じょうきょうに追い込おいこまれてしまう。そのくらい危険きけんな感染かんせん症しょうであるということは改あらためて感かんじました。ワクチンを打うってないということもありますけれど、これだけ肺炎はいえんを合併がっぺいしやすくて重じゅう篤あつし化かしやすいことを、私わたし自身じしんの一いち例れいですけれども、実感じっかんすることができました。そういう意味いみでは、まだまだ油断ゆだんできるような感染かんせん症しょうではない」

「感染かんせん症しょうを専門せんもんとする医師いしとして、どうすれば感染かんせんを抑おさえることができるのか情報じょうほう発信はっしんしてきたわけですが、感染かんせんしてしまいました。ただ、それがどこで感染かんせんしたのか全まったく思い当おもいあたるものがありません」

「リスクを下さげるよう注意ちゅういしてきましたが、たまたまどこかで感染かんせんのリスクを高たかめるような場面ばめん、シチュエーションが重かさなってしまうようなことが起おきてしまう。そういうリスクが高たかまるような場面ばめんが生しょうじてしまうと、それが一瞬いっしゅんであったとしても感染かんせんが起おきる。それが、この感染かんせん症しょうの非常ひじょうに注意ちゅういしなければいけないところだと感かんじました」