WHO=世界保健機関によりますと、今月21日までに欧米を中心に12か国から169人で症状が出たと報告されていて、
▼イギリスがほとんどを占め114人、
▼スペイン13人、
▼イスラエルで12人、
▼アメリカで9人、
▼デンマークで6人などとなっています。
子どもたちは肝臓の酵素の値が上がっていて、尿の色が濃くなったり、便の色が薄くなったりするほか、皮膚などが黄色くなるおうだんや、下痢、おう吐、腹痛、関節痛や筋肉痛といった症状が出る一方、発熱した子どもはほとんどいないということです。
症状が出ているのは生後1か月から16歳までの子どもで、およそ10%にあたる17人で肝臓移植が必要になり、1人が亡くなったとしています。
肝炎の原因となる、A型からE型まで5種類の肝炎ウイルスは検出されていませんが、74人からアデノウイルスが検出されていて、18人がアデノウイルスのうち41型と呼ばれるウイルスに感染していたということです。
また、19人についてはアデノウイルスとともに新型コロナにも感染していたということです。
WHOは、アデノウイルスは病気の原因に関わるとみられるものの、それだけでは重症度などについて十分説明ができないとしていて、原因についてさらに詳しく調べています。
一般にアデノウイルスは接触や飛まつを通じて感染し、主に、喉の痛みなど呼吸器の症状が出ますが、アデノウイルス41型は呼吸器の症状とともに下痢やおう吐などの症状が出るということです。
ただ、免疫の状態が落ちている子どもたちが感染した場合に肝炎になったとする報告はあるものの、健康な子どもたちに肝炎の症状が出るという報告はないとしています。
WHOは、
▼新型コロナの感染が世界的に拡大して以降、アデノウイルスの感染が減っていたため、アデノウイルスに感染しやすくなっていることや
▼新たなタイプのアデノウイルスの可能性などを調べる必要があるとしている一方、肝炎の症状が出た子どもの大多数は新型コロナのワクチンを接種していないため、ワクチンの副反応とは考えにくいとしています。
また、イギリスの保健当局によりますと症状が出ている子どもは10歳以下が多いということです。
通常、アデノウイルスに感染しても肝炎の症状は出ないとしていて、別のウイルスの感染や環境的な要因など、ほかの可能性についても調べています。
さらに、アメリカのCDC=疾病対策センターは、21日、全米の医師などに対し、子どもに肝炎が確認された場合は報告するよう、緊急の通知を出しました。
アメリカでは、南部アラバマ州で去年10月以降、1歳から6歳までの9人に同様の症状が出ていたと報告されていて、さらに調査を進めたところ、肝臓に障害が出た子ども5人にアデノウイルス41型の感染が確認されたということです。