日本新聞: 知床観光船遭難専門家が当時の状況分析 ”波が急速に高く”

知床しれとこ観光かんこう船せん遭難そうなん専門せんもん家かが当時とうじの状況じょうきょう分析ぶんせき ”波なみが急速きゅうそくに高たかく”

Apr 30, 2022 16:04 3

Furigana

観光かんこう船せんが遭難そうなんした当時とうじの知床しれとこ半島はんとう周辺しゅうへんの波なみの状況じょうきょうを専門せんもん家かが詳くわしくシミュレーションしたところ、午後ごごになると「カシュニの滝たき」付近ふきんの知床しれとこ半島はんとうの先端せんたんで波なみが急速きゅうそくに高たかくなっていた様子ようすが確認かくにんできました。

専門せんもん家かは「知床しれとこ半島はんとうは先さきに行いくほど海底かいていの地形ちけいが急きゅうしゅんになるため午後ごごの早はやい段階だんかいで小型こがた船せんの運航うんこうは厳きびしい状況じょうきょうだった」と指摘してきしています。

高波たかなみや高潮こうちょうなど、気象きしょうと海うみの関係かんけいについて詳くわしい京都きょうと大学だいがく防災ぼうさい研究所けんきゅうじょの森もり信人のぶひと教授きょうじゅは、気象庁きしょうちょうの予報よほうデータや地形ちけいデータをもとに遭難そうなん事故じこ当日とうじつの波なみの様子ようすを詳細しょうさいに再現さいげんしました。

午前ごぜん中ちゅうは、知床しれとこ半島はんとう全体ぜんたいの波なみは1メートル以下いかでしたが、昼ひるすぎになると低てい気圧きあつが発達はったつした影響えいきょうで急激きゅうげきに荒あれていくようすが確認かくにんできます。

特とくに「カシュニの滝たき」付近ふきんの沖合おきあいなど知床しれとこ半島はんとうの先端せんたんになるほど波なみが高たかくなり、観光かんこう船せんから異変いへんを知しらせる連絡れんらくが入はいった午後ごご1時じすぎには2メートルほどに達たっし、午後ごご2時じごろには3メートル前後ぜんごに達たっしていたとみられます。

さらに、波なみが高たかくなるにつれ波なみの「周期しゅうき」も長ながくなっていて、船ふねがゆっくりと大おおきく揺ゆれる状況じょうきょうになっていた可能かのう性せいが高たかいとしています。

さらに風かぜも強つよく、午後ごご1時じには風速ふうそく15メートル以上いじょうの強つよい風かぜが吹き荒ふきあれていたとみられるということです。

森もり教授きょうじゅは「知床しれとこ半島はんとうは先さきに行いくほど海底かいていの地形ちけいが急きゅうしゅんになるため小型こがた船せんが運航うんこうするのはかなり厳きびしかったのではないか。運航うんこうにあたっては、天候てんこう予測よそくを踏ふまえた判断はんだんとどのような船ふねを持もっていて、どの程度ていどまで運航うんこうできるかという状況じょうきょう判断はんだんの2つが重要じゅうようだったと思おもう」と話はなしていました。