「あと2年ねんだけ生いかしてください」母はは・早紀さき江こうさんが語かたったこと

東京とうきょうで2日にちから始はじまった写真しゃしん展てん。

横田よこためぐみさんの思い出おもいでの品しなを前まえに、母親ははおやの早はや紀江のりえさんが話はなしたことばです。

87歳さいになった早紀さき江こうさん、娘むすめとの再会さいかいまでもう時間じかんがないとの切迫せっぱく感かんがこれまでになく強つよまっています。

めぐみさんの写真しゃしんや洋服ようふくなど約やく170点てんが会場かいじょうに

東京とうきょうで2日にちに始はじまった横田よこためぐみさんの写真しゃしん展てん。

会場かいじょうには、めぐみさんとの再会さいかいを果はたせないまま3年ねん前まえに亡なくなった父親ちちおやの滋しげるさんが撮影さつえいした写真しゃしんやめぐみさんが身みにつけていた洋服ようふく、それに親友しんゆうとの交換こうかんノートなどおよそ170点てんが展示てんじされていて今月こんげつ14日にちまで開ひらかれています。

拉致らち被害ひがい者しゃ家族かぞくの思おもいは

初日しょにちは、政府せいふが認定にんていしている拉致らち被害ひがい者しゃのうち安否あんぴが分わかっていない12人にんの親おやで健在けんざいな横田よこた早紀さき江こうさん（87）と、ヨーロッパで拉致らちされた有本ありもと恵子けいこさんの父親ちちおやの明弘あきひろさん（95）が会場かいじょうを訪おとずれ娘むすめたちへの思おもいを語かたりました。

「私わたしが生いきている間まに結果けっかを」

この中なかで、早紀さき江こうさんは「めぐみは非常ひじょうに明あかるく元気げんきな子こできょう展示てんじしてあるものも帰かえってきた時ときに必かならず『みんな、あなたがこれを着きていたのよ』、『こんな物ものを持もっていたのよ』と見みせてあげたいです。元気げんきでいると信しんじて必かならず日本にっぽんの土どを踏ふませてあげたいです。日本にっぽん政府せいふには私わたしが生いきている間まに結果けっかをだしていただきたい」と述のべ政府せいふの取り組とりくみを求もとめました。

また、明弘あきひろさんは「恵子けいこは子こども同士どうしでけんかをすると、親おやの膝ひざにパッと座すわってくる子こでした。外国がいこくで英語えいごの職業しょくぎょうにつきたいという気持きもちがいっぱいあり、根性こんじょうのある子こでした」と思い出おもいでを語かたりました。

親しん世代せだいで健在けんざいなのは2人にんだけに

北朝鮮きたちょうせんによる拉致らちから40年ねん以上いじょうがたつ中なか、政府せいふが認定にんていしている拉致らち被害ひがい者しゃのうち安否あんぴが分わかっていない12人にんの親おやで、今いまも健在けんざいなのは横田よこた早紀さき江こうさんと有本ありもと明弘あきひろさんの2人にんだけです。

このうち、横田よこた早紀さき江こうさんはともに救出きゅうしゅつ活動かつどうの先頭せんとうに立たってきた夫おっとの横田よこた滋しげるさんを3年ねん前まえに亡なくしました。

その後そのごも1日にちも早はやく娘むすめを取り戻とりもどすため集会しゅうかいなどに足あしを運はこんでいます。

去年きょねん10月つきの集会しゅうかいでは「めぐみちゃんたちが北朝鮮きたちょうせんでどのように過すごしているのかと朝あさから晩ばんまで悲かなしい思おもいをしながら、それでも『必かならず助たすけてあげるから』と夫婦ふうふで頑張がんばってきましたが、夫おっとは力尽ちからつきて先さきに天国てんごくへ召めされていきました。残のこされた被害ひがい者しゃを早はやく救い出すくいだし、日本にっぽんの土どを踏ふませてあげたい」と訴うったえました。

「娘むすめとの再会さいかいまでもう時間じかんはない」

亡なくなった滋しげるさんと同おなじ87歳さいとなった早紀さき江こうさんはことしの春はるに体調たいちょうを崩くずして初はじめて入院にゅういんしました。

死しを意識いしきしたという早紀さき江こうさんは、7月つきの集会しゅうかいでそのときのことを振り返ふりかえりました。

早紀さき江こうさん

「朝あさ、食事しょくじのあと真っ白まっしろになって何なにも見みえなくなりました。玄関げんかんによろよろしながら座すわりこんでしまい、『あと2年ねんだけは生いかしてください。一生いっしょう懸命けんめい頑張がんばりますから、お願おねがいですから』と言いいました」

娘むすめとの再会さいかいまでもう時間じかんはないという切迫せっぱく感かんはこれまでになく強つよまっています。

体調たいちょうの不安ふあん抱かかえながら活動かつどうも

一方いっぽう、有本ありもと明弘あきひろさんも妻つまの嘉代子かよこさんを3年ねん前まえに亡なくしました。

それ以降いこうも、神戸こうべ市しの自宅じたくからたびたび車くるまいすで上京じょうきょうし、集会しゅうかいに参加さんかしたり政府せいふ関係かんけい者しゃに面会めんかいしたりして娘むすめの恵子けいこさんら拉致らち被害ひがい者しゃの1日にちも早はやい帰国きこくを求もとめ続つづけてきました。

明弘あきひろさんも7月つきに95歳さいとなり、老おいと体調たいちょうへの不安ふあんを抱かかえながら救出きゅうしゅつ活動かつどうを続つづけています。

「親おや世代せだいが存命ぞんめいのうちに全員ぜんいんの帰国きこく実現じつげんを」家族かぞく会かい

拉致らち問題もんだいの解決かいけつが時間じかんとの闘たたかいとなる中なかで、家族かぞく会かいは「親おや世代せだいが存命ぞんめいのうちに全員ぜんいんの帰国きこくが実現じつげんするなら、政府せいふが北朝鮮きたちょうせんに人道じんどう支援しえんを行おこなうことに反対はんたいしない」と初はじめて人道じんどう支援しえんにまで踏み込ふみこんだメッセージを発信はっしんし、早期そうき解決かいけつに向むけた政府せいふの取り組とりくみとキム・ジョンウン（金きむ正ただし恩おん）総そう書記しょきの決断けつだんを求もとめています。

松野まつの官房かんぼう長官ちょうかん　早期そうき帰国きこくに向むけ全力ぜんりょくで取り組とりくむ

こうした中なか、写真しゃしん展てんの会場かいじょうには北朝鮮きたちょうせんによる拉致らち問題もんだいを担当たんとうする松野まつの官房かんぼう長官ちょうかんも訪おとずれました。

松野まつの官房かんぼう長官ちょうかんは記者きしゃ会見かいけんで「当たり前あたりまえの家族かぞくの幸しあわせを突然とつぜん奪うばわれた怒いかり、その後そのご46年間ねんかん、会あうことも声こえを聞きくこともできない悲かなしみ、苦くるしみに思おもいを致いたし、胸むねが締め付しめつけられる思おもいだった。滋しげるさんが存命ぞんめいのうちに帰国きこくがかなわなかったことを改あらためて申し訳もうしわけなく思おもった」と述のべました。

その上うえで「拉致らち問題もんだいは一刻いっこくの猶予ゆうよもないという思おもいを新あらたにした。被害ひがい者しゃ家族かぞくも高齢こうれいとなるなか、ひとときも揺ゆるがせにできない」と述のべ、すべての被害ひがい者しゃの早期そうき帰国きこくに向むけ全力ぜんりょくで取り組とりくむことを強調きょうちょうしました。