物価ぶっか高だかで消費しょうひ現場げんばは 節約せつやく志向しこうと“プチぜいたく”

11月つきの消費しょうひ者しゃ物価ぶっか指数しすうは、生鮮せいせん食品しょくひんを除のぞいた指数しすうが去年きょねんの同おなじ月つきより2.7％上昇じょうしょうし、節約せつやく志向しこうも強つよまっています。

出費しゅっぴが増ふえるこの時期じき、消費しょうひの現場げんばはどうなっているのか取材しゅざいしました。

年の瀬としのせのアメ横あめよこ 仕入れ値しいれね上昇じょうしょうの食材しょくざいも

正月しょうがつ向むけの食材しょくざいなどを扱あつかう東京とうきょう・上野うえののアメ横あめよこ商店しょうてん街がいです。

仕入れ値しいれねが上昇じょうしょうしている食材しょくざいも多おおい中なか、年末ねんまつ年始ねんしに向むけて消費しょうひが活発かっぱつになることを期待きたいする声こえが聞きかれました。

このうち、カニを中心ちゅうしんに扱あつかう店みせでは、カニの仕入れ値しいれねが上昇じょうしょう傾向けいこうにあることから、相場そうばが下さがる時期じきに大量たいりょうに仕入しいれることで、販売はんばい価格かかくを例年れいねん並なみに抑おさえているということです。

大橋おおはし磨みがく州しゅう 社長しゃちょう

「水産物すいさんぶつは物価ぶっか高だかという以上いじょうにどんどん値段ねだんが上あがっていて、値ね付づけはギリギリのところで頑張がんばっている。いいものにお金おかねを使つかおうという傾向けいこうは店頭てんとうで実感じっかんしているので、お正月おしょうがつこそはふだん控ひかえていた魚さかなを食たべようという消費しょうひのしかたに変かわっていくのではないか」

また、乾物かんぶつを扱あつかう店みせでは、仕入れ値しいれねの上昇じょうしょうを受うけて、かつお節かつおぶしを削けずって袋ふくろ詰づめにする際さい、1袋ふくろあたりの量りょうを減へらすことで価格かかくを据え置すえおいたほか、昆布こんぶは去年きょねんに比くらべて2割わりから3割わりほど値上ねあげしたということです。

オーナー 山崎やまざき若菜わかなさん

「必要ひつようなものを必要ひつようなだけ買かっていく消費しょうひ者しゃが多おおい。簡単かんたんに料理りょうりに使つかえる商品しょうひんや手てに取とりやすい価格かかくにするため小分こわけにした商品しょうひんも用意よういしているので、正月しょうがつには日本にっぽんの味あじを楽たのしんでもらいたい」

消費しょうひ者しゃからは… 「給料きゅうりょうより出費しゅっぴのほうが多おおい」

正月しょうがつ用ようのカニやイクラを買かいに訪おとずれた60代だいの女性じょせい

「ふだんは給料きゅうりょうよりも出費しゅっぴのほうが多おおくなるなど、物価ぶっか高だかの影響えいきょうは厳きびしい。年末ねんまつは、子こどもたちが帰かえってくるのにあわせてその分ぶんの予算よさんは別べつで考かんがえていてみんなでおいしいものを食たべたい」

千葉ちば県けんから訪おとずれた80代だいの男性だんせい

「少すこしずつモノの値段ねだんが上あがっているけれどそれはしかたがない。1年ねんに1回かいくらいはふだんよりお金おかねを使つかって1年ねんを終おえたい」

クリスマス商戦しょうせんでは“プチぜいたく”？

消費しょうひ者しゃの節約せつやく志向しこうが続つづく中なかでも、にぎわっている現場げんばがあります。

全国ぜんこくで43店舗てんぽを展開てんかいする大手おおて家電かでん量販りょうはん店てんのおもちゃ売り場うりばではクリスマス商戦しょうせんが本格ほんかく化かしていて、都内とないの店舗てんぽには子こどもなどへのプレゼントを選えらぼうと多おおくの人ひとが訪おとずれています。

運営うんえい会社かいしゃによりますと、11月つきの全国ぜんこくの店舗てんぽでのおもちゃの売り上うりあげは、去年きょねんの同おなじ月つきを上回うわまわっていて、12月つきに入はいってからも同様どうようの傾向けいこうが続つづいているほか、1万まん円えんを超こえるような高こう価格かかく帯たいの商品しょうひんの売れ行うれゆきも好調こうちょうだということです。

おもちゃメーカー「バンダイ」の調査ちょうさでは、子こどもへのことしのクリスマスプレゼントの予算よさんは物価ぶっか高だかなどを背景はいけいに平均へいきんで8138円えんと去年きょねんより420円えん増ふえているということです。

5歳さいの息子むすこと訪おとずれた女性じょせい

「クリスマスに向むけて、毎日まいにち少すこしずつ節約せつやくしています。子こどものために親おやが頑張がんばるところかなと思おもっています」

6歳さいのおいへのプレゼントを買かいに来きた男性だんせい

「ふだんは少すこしでも安やすいものを買かっています。いまの時期じきくらいは少すこしでも前向まえむきに明あかるくしたいので、きょうだけは景気けいきがいいです」

「ビックカメラ有楽町ゆうらくちょう店てん」栗山くりやま由佳ゆか 主任しゅにん

「クリスマスの時期じきはお子おこさまが喜よろこぶことを第だい一いち優先ゆうせんに、いつもより奮発ふんぱつして商品しょうひんを購入こうにゅうする傾向けいこうがあります。店頭てんとうでの商品しょうひん選えらびも楽たのしんでもらいたいです」

忘年ぼうねん会かい需要じゅよう 大だい人数にんずうでの予約よやくの回復かいふく顕著けんちょ

そして、年の瀬としのせといえば、忘年ぼうねん会かいです。

居酒屋いざかやチェーンの中なかには、ことしの忘年ぼうねん会かい需要じゅようの盛り上もりあがりに期待きたいを寄よせるところもあります。

居酒屋いざかやチェーンを運営うんえいする「ワタミ」によりますと、12月つきにコース料理りょうりを予約よやくした客きゃくの数かずは、コロナ禍か前まえを上回うわまわった去年きょねんの同おなじ月つきからさらに6％増ふえ、売り上うりあげも10％増ふえると見込みこんでいます。

このうち、東京とうきょう・港みなと区くにある店舗てんぽでは、12月つきのほとんどの日程にっていが予約よやくで埋うまっているということで、取材しゅざいに訪おとずれた17日にちには、午後ごご6時じごろから続々ぞくぞくと客きゃくが訪おとずれて、料理りょうりやアルコールなどを楽たのしんでいました。

会社かいしゃの同僚どうりょうと訪おとずれた50代だいの男性だんせい

「頑張がんばってきた仲間なかまと1年ねんの最後さいごに飲のめるお酒さけは格別かくべつです」

20代だいの女性じょせい

「新あたらしい部署ぶしょに配属はいぞくされてまだ3か月かげつなので、いろいろな人ひとと飲のんで、仲なかよくなれたらうれしい」

50代だいの男性だんせい

「最近さいきんは忘年ぼうねん会かいの回数かいすうが少すくなくなったと感かんじます。忘年ぼうねん会かいに行いく時ときは、盛り上もりあがって飲のみたいので財布さいふのひもも緩ゆるみます」

会社かいしゃによりますと、コロナ禍かの影響えいきょうで忘年ぼうねん会かいを少しょう人数にんずうで行おこなうケースが増ふえましたが、ことしは企業きぎょうなどによる大だい人数にんずうでの予約よやくの回復かいふくが顕著けんちょで、12月つきの予約よやくのおよそ8割わりが7人にん以上いじょうのグループだということです。

また、5000円えん以上いじょうのコースを頼たのむ割合わりあいが去年きょねんは17％でしたが、ことしは30％に増加ぞうかしていて、会社かいしゃでは2次じ会かいを行おこなわない分ぶん、1次じ会かいに多おおくの予算よさんをかける傾向けいこうが強つよまっているのではないかと分析ぶんせきしています。

居酒屋いざかやチェーン運営うんえい会社かいしゃ 坂本さかもとまゆさん

「物価ぶっか上昇じょうしょうの影響えいきょうで、忘年ぼうねん会かいの予約よやくがどの程度ていど入はいるのか心配しんぱいしましたが、例年れいねん以上いじょうの盛り上もりあがりとなり、安心あんしんしています。1年ねんの締しめくくりとして楽たのしんでもらいたいです」

来年らいねんの物価ぶっかと個人こじん消費しょうひはどうなる？

今後こんご、物価ぶっかと消費しょうひの動向どうこうはどうなるのか。

みずほリサーチ＆テクノロジーズの酒井さかい才さい介かいチーフ日本にっぽん経済けいざいエコノミストに聞ききました。

物価ぶっかと個人こじん消費しょうひの現状げんじょう

「実質じっしつ的てきな所得しょとく環境かんきょうは徐々じょじょに改善かいぜんしてきているが、足元あしもとではコメや野菜やさいなど頻繁ひんぱんに購入こうにゅうする生活せいかつ必需ひつじゅ品ひんの価格かかく高騰こうとうが続つづいているため、消費しょうひ者しゃが感かんじる体感たいかん物価ぶっかは上あがっており、節約せつやく志向しこうも強つよまっている」

節約せつやくから変化へんかの動うごきも

「年末ねんまつ年始ねんしは、今いままで我慢がまんしてきた分ぶん、『プチぜいたく』をして楽たのしみを見みいだす動うごきが出でてきているのではないかと思おもう。冬ふゆのボーナスが好調こうちょうな伸のびとなっていることも消費しょうひを後押あとおししている要因よういんの1つと考かんがえられる」

来年らいねんの物価ぶっかや個人こじん消費しょうひの見通みとおし

「実質じっしつ賃金ちんぎんが改善かいぜんしていってもプラス幅はばは決けっして大おおきくなく、物価ぶっか高だかや円えん安やすが落ち着おちつくことも考かんがえにくい。消費しょうひ者しゃの節約せつやく志向しこうは来年らいねんも強つよいままだと予想よそうされ、個人こじん消費しょうひの回復かいふくペースも緩ゆるやかなものとなるだろう。来年らいねんもその先さきも、賃金ちんぎんが持続じぞく的てきに物価ぶっかを上回うわまわって上昇じょうしょうするという期待きたいを抱いだける環境かんきょうを実現じつげんすることが重要じゅうようだ」