日本新聞: SBI子会社に業務停止命令「事実と異なる説明で勧誘」金融庁

SBI子会社こがいしゃに業務ぎょうむ停止ていし命令めいれい「事実じじつと異ことなる説明せつめいで勧誘かんゆう」金融きんゆう庁ちょう

Jun 8, 2021 18:06

Furigana

ネット金融きんゆう大手おおて、「SBIホールディングス」の子会社こがいしゃが投資とうし家かから集あつめた資金しきんの融資ゆうし先さきに対にたいし事業じぎょうの確認かくにんを適切てきせつに行おこなわず、事実じじつと異ことなる説明せつめいで投資とうし家かを勧誘かんゆうしていたとして、金融きんゆう庁ちょうはSBIの子会社こがいしゃに対にたいし、すべての業務ぎょうむを1か月かげつ間かん停止ていしするよう命めいじる行政ぎょうせい処分しょぶんを出だしました。

SBIホールディングスの子会社こがいしゃ「SBIソーシャルレンディング」は、投資とうし家かから集あつめた資金しきんを太陽光たいようこう発電はつでんなどの分野ぶんやに融資ゆうしし、収益しゅうえきを投資とうし家かに還元かんげんする金融きんゆうサービスを手てがけてきましたが、投資とうし家かからの資金しきんをもとに事業じぎょう者しゃに融資ゆうしした129億おく円えんが計画けいかくどおりに使つかわれていなかったことが、ことし4月つき、第三者だいさんしゃ委員いいん会かいによる調査ちょうさで明あきらかになりました。

この問題もんだいで金融きんゆう庁ちょうは、SBIソーシャルレンディングが融資ゆうし先さきの事業じぎょうについて適切てきせつな確認かくにんや管理かんりを行おこなわず、事実じじつと異ことなる説明せつめいで投資とうし家かを勧誘かんゆうしていたことは金融きんゆう商品しょうひん取引とりひき法ほう違反いはんに当あたると判断はんだんし、8日にち、会社かいしゃに対にたいし業務ぎょうむ停止ていし命令めいれいを出だしました。

経営けいえい管理かんり態勢たいせいと業務ぎょうむ運営うんえい態勢たいせいに重大じゅうだいな不備ふびがあると厳きびしく指摘してきしたうえで、顧客こきゃく保護ほごの対応たいおうを除のぞくすべての業務ぎょうむを8日にちから来月らいげつ7日にちまで停止ていしするよう命めいじています。

また、業務ぎょうむ改善かいぜん命令めいれいも出だして、原因げんいんの究明きゅうめいと責任せきにんの所在しょざいの明確めいかく化か、それに適切てきせつな管理かんり態勢たいせいの再さい構築こうちくなども求もとめました。

SBI子会社こがいしゃ「深ふかくおわび申し上もうしあげます」

金融きんゆう庁ちょうから業務ぎょうむ停止ていし命令めいれいを受うけたことについて、SBIソーシャルレンディングは「今回こんかいの行政ぎょうせい処分しょぶんを厳粛げんしゅくに受け止うけとめ、投資とうし家かの皆様みなさまをはじめ、関係かんけいする皆様みなさまに多大ただいなるご迷惑めいわくとご心配しんぱいをおかけしましたことを、あらためて深ふかくおわび申し上もうしあげます。引き続ひきつづき投資とうし家かの皆様みなさまの保護ほごに万全ばんぜんの措置そちを講こうじてまいります」とコメントしています。

また、親会社おやがいしゃのSBIホールディングスも「あらためて深ふかくおわび申し上もうしあげます。再発さいはつ防止ぼうしと信頼しんらい回復かいふくに努つとめてまいります」とするコメントを出だしました。

SBIは、顧客こきゃくの投資とうし家かに対にたいし、出資しゅっしした元本がんぽんに相当そうとうする金額きんがくを返かえす方針ほうしんで、今後こんご、この子会社こがいしゃは自主じしゅ廃業はいぎょうし、ソーシャルレンディングの事業じぎょうから撤退てったいするということです。

問題もんだいの子会社こがいしゃとは

SBIホールディングスの子会社こがいしゃ「SBIソーシャルレンディング」は、インターネットを通をつうじて投資とうし家かから集あつめた資金しきんを、太陽光たいようこう発電はつでんや不動産ふどうさんなどの分野ぶんやに融資ゆうしし、貸し付かしつけ先さきから得えられる利息りそくなどを投資とうし家かに還元かんげんする金融きんゆうサービスを手てがけてきました。

社名しゃめいにもなっている「ソーシャルレンディング」とは、こうした金融きんゆうサービスの名称めいしょうで、個人こじんや企業きぎょうがネットを通をつうじて資金しきんを集あつめる「クラウドファンディング」の一いち種しゅです。

会社かいしゃは2011年ねんにサービスを開始かいしし、ことし3月末げつまつ時点じてんの顧客こきゃく数すうは個人こじん投資とうし家かを中心ちゅうしんに6万まん1000人にん余あまり、集あつめたお金おかねは総額そうがくで1693億おく円えんに上のぼります。

1万まん円えんから投資とうしすることができ、年間ねんかんの想定そうていの利回りまわりで2.5％から10％の分配ぶんぱい金きんを毎月まいつき受うけられることなどを、SBIグループの信用しんよう力りょくとともにPRしていました。

しかし、この子会社こがいしゃを巡めぐって、SBIホールディングスはことし2月つき「貸し付かしつけ先さきの事業じぎょう運営うんえいに重大じゅうだいな懸案けんあん事項じこうが生しょうじている可能かのう性せいがある」として、弁護士べんごしらによる第三者だいさんしゃ委員いいん会かいを設置せっちし、詳くわしい調査ちょうさを行おこなうと発表はっぴょう。

第だい三さん者しゃ委員いいん会かいは、ことし4月つき、調査ちょうさ結果けっかをまとめ、SBIソーシャルレンディングが太陽光たいようこう発電はつでんなどを手てがける事業じぎょう者しゃに融資ゆうしした129億おく円えんが計画けいかくどおりに使つかわれず、プロジェクトの工事こうじの大幅おおはばな遅おくれが相次あいついでいることを明あきらかにしました。

これを受うけてSBIは、投資とうし家かの勧誘かんゆうにあたり「虚偽きょぎの表示ひょうじ」など、金融きんゆう商品しょうひん取引とりひき法ほうに違反いはんしていた疑うたがいがあるとして、幹部かんぶの解任かいにんや降格こうかくといった社内しゃない処分しょぶんを行おこないました。

今後こんご、この子会社こがいしゃは自主じしゅ廃業はいぎょうし、SBIはソーシャルレンディングの事業じぎょうから撤退てったいするということです。

関係かんけい者しゃによりますと、今回こんかい問題もんだいとなった貸付かしつけ先さきは横浜よこはま市しの太陽光たいようこう発電はつでん関連かんれん会社かいしゃ「テクノシステム」で、2つの金融きんゆう機関きかんにうその書類しょるいを提出ていしゅつし、融資ゆうし金きん合あわせて11億おく円えん余あまりをだまし取だましとったとして、社長しゃちょうら3人にんが先月せんげつ詐欺さぎの疑うたがいで東京とうきょう地検ちけん特捜とくそう部ぶに逮捕たいほされました。