文部科学省の
幹部らが
元幹部の
大学への
再就職をあっせんしていた
問題で、
調査に
当たった
政府の「
再就職等監視委員会」は
調査結果を
公表し、
人事課職員が
元幹部とともに
履歴書を
作成して
大学に
送るなど
法律に
違反する
行為をしていたことや、
文部科学省が
組織的な
天下りを
38件行っていたことなどを
明らかにしました。これを
受けて
文部科学省は
事務次官を
含む
幹部や
職員合わせて
7人を
懲戒処分にしました。
文部科学省の
幹部らが
元高等教育局長の
早稲田大学への
再就職をあっせんしていた
問題で、
官僚の
天下りを
監視する
政府の「
再就職等監視委員会」は
20日午前、
調査結果を
公表しました。
それによりますと、人事課の職員は、元高等教育局長が在職中のおととし7月に元局長の履歴書を作成し早稲田大学に送付したほか、元局長も採用面接を受けていたということです。
委員会は、これらの行為はいずれも再就職を目的に利害関係のある団体に対して、在職中の職員が就職活動したり職員がほかの職員の情報を提供したりすることを禁じた、国家公務員法に違反すると判断しました。
また、文部科学省が違反行為の発覚を免れるため、人事課の職員が早稲田大学の担当者に口裏を合わせるよう依頼していたことも明らかにしました。
さらに委員会は、文部科学省が天下りの規制が厳しくなった平成21年ごろから、省内と天下り先とを仲介するOBを使った組織的な天下りを行っていたことを明らかにしました。
こうした天下りは平成25年から確認できただけで38件行われ、このうち10件は法律に違反するということです。
委員会は文部科学省に対して詳しい調査を指示しました。
一方、文部科学省はこうした調査結果を受けて、20日に松野大臣が記者会見し、一連の問題に関わったとして、前川喜平事務次官や当時の人事課長など合わせて7人の幹部や職員を停職や減給の懲戒処分にしたことを明らかにしました。
また、省内に新たな部署を設けて、今後も調査を行い、再発防止を徹底する考えを示しました。
処分の事務次官「認識なかった」
処分を受け依願退職した前川喜平事務次官は20日夕方、報道陣の取材に対し、「国民の信頼を損ねたことについては大変申し訳なく思っている。あとは残った人たちで文部科学省の立て直しを図ってほしい」と話しました。
そのうえで、自身の関与や認識について聞かれると、「監視委員会が認定したとおりのことを受け止めるしかない。その時点で認識はなかったが、監視委員会が認定したので、それはしかたない」と話しました。
事務次官に20日付けで就任した戸谷一夫氏は、20日午後に総理大臣官邸で開かれた次官連絡会議に出席したあと、記者団に対し、文部科学省の元幹部の再就職をめぐる問題について「大変残念だ」としたうえで、「しっかりやるしかないと思っている」と述べました。
OB使い「マッチング」
監視委員会は、国家公務員法が改正され、天下りの規制が厳しくなった平成21年ごろから、文部科学省が法律に違反せずに天下りを組織的に行うためにOBの職員を使っていたと指摘しました。
このOBは文部科学省と大学の間を仲介する役割をしていました。
まず、みずからも在籍していた文部科学省の人事課から、退職予定者の名前や住所、職歴などの個人情報の提供を受けます。
OBは大学などから集めた求人情報を人事課に提供するとともに、退職予定者が希望する勤務地や年収などをもとにマッチングしていました。
そして、大学などに対して、条件に適した退職予定者を紹介していたということです。
監視委員会は、こうしたOBを使ったあっせん行為は違法とはいえないものの、法律違反を免れる意図で行われていたと指摘しました。
萩生田官房副長官は記者会見で、文部科学省の幹部らによる再就職あっせん問題を受け全府省庁を対象に行う調査について、まずは各府省庁が実施したうえで、疑わしい事案があれば、再就職等監視委員会が重ねて調査する考えを示しました。
この中で萩生田官房副長官は、この問題を受け全府省庁を対象に行う調査について、「第三者機関である再就職等監視委員会と、どういう視点やどういう項目、どういう形で調査すべきかについてフォーマット、ひな形となるものを作り、各省が自分たちの尺度で判断するのではなく、同じ尺度で調査した結果を報告してもらう」と述べました。
そのうえで、萩生田副長官は「まずは各省で確認してもらい、疑わしき事案があった場合には再就職等監視委員会に連絡し、さらに調査をしてもらう仕組みをとっていきたい。各省に丸投げで『調査してください』というお願いではない」と述べました。