同性どうせい婚こん認みとめないのは憲法けんぽう違反いはん 札幌さっぽろ高裁こうさい 2審しんでの違憲いけん判断はんだんは初はつ

札幌さっぽろ市しなど北海道ほっかいどうに住すむ3組くみの同性どうせいのカップルは、同性どうせいどうしの結婚けっこんを認みとめていない民法みんぽうなどの規定きていは、婚姻こんいんの自由じゆうや法ほうの下したの平等びょうどうを定さだめた憲法けんぽうに違反いはんすると主張しゅちょうし、国くにに賠償ばいしょうを求もとめる訴うったえを起おこしました。

3年ねん前まえ、1審しんの札幌さっぽろ地方ちほう裁判所さいばんしょは、法ほうの下したの平等びょうどうを定さだめた憲法けんぽうに違反いはんするという初はじめての判断はんだんを示しめした一方いっぽうで、国くにに賠償ばいしょうを求もとめる訴うったえは退しりぞけ、原告げんこく側がわが控訴こうそしていました。

14日にちの判決はんけつで、札幌さっぽろ高等こうとう裁判所さいばんしょの齋藤さいとう清文きよふみ裁判さいばん長ちょうは「同性愛どうせいあい者しゃは婚姻こんいんによる社会しゃかい生活せいかつ上じょうの制度せいどの保障ほしょうを受うけられておらず著いちじるしい不ふ利益りえきを受うけアイデンティティーの喪失そうしつ感かんを抱いだくなど個人こじんの尊厳そんげんを成なす人格じんかくが損そこなわれる事態じたいになっていて合理ごうり的てきな根拠こんきょを欠かく差別さべつ的てきな扱あつかいだ」などと指摘してきし婚姻こんいんの自由じゆうや法ほうの下したの平等びょうどうなどを保障ほしょうした憲法けんぽうに違反いはんすると判断はんだんしました。

また、「憲法けんぽうは人ひとと人ひととの間まの自由じゆうなむすびつきとしての婚姻こんいんについても定さだめる趣旨しゅしを含ふくむもので、同性どうせい間かんの婚姻こんいんについても異性いせい間かんの場合ばあいと同おなじ程度ていどに保障ほしょうしていると考かんがえるのが相当そうとうだ」と指摘してきし、婚姻こんいんの自由じゆうを保障ほしょうした憲法けんぽうに違反いはんするという初はじめての判断はんだんを示しめしました。

国くにに賠償ばいしょうを求もとめる訴うったえは退しりぞけました。

同様どうようの集団しゅうだん訴訟そしょうは全国ぜんこく5か所かしょで起おこされていますが2審しんで憲法けんぽう違反いはんと判断はんだんされたのは初はじめてです。

原告げんこく 「望のぞんでいた違憲いけん判決はんけつが出でてすごくうれしい」

閉廷へいてい後ご、原告げんこくや支援しえん者しゃたちは裁判所さいばんしょの外そとに集あつまり、「早はやく立法りっぽうすればいいしょ」などと書かかれた横断幕おうだんまくを掲かかげました。

原告げんこくの1人にんの中谷なかたに衣里えりさんは「望のぞんでいた違憲いけん判決はんけつが出でてすごくうれしいです。もしかすると裁判さいばんは続つづくかもしれないので引き続ひきつづき応援おうえんしてほしい」と話はなしていました。

また、原告げんこくの国見くにみ亮あきら佑たすくさんは「思おもった以上いじょうの判決はんけつが出でて、泣ないてしまいました。司法しほうが同性どうせいどうしの婚姻こんいんを積極せっきょく的てきに進すすめようという意思いしをすごく感かんじました。この判決はんけつを国会こっかい議員ぎいんの皆みなさんにも見みてもらい賢明けんめいな判断はんだんをしてほしいです」と話はなしていました。

別べつの原告げんこくの1人にんも「夢ゆめの中なかにいるようで、本当ほんとうによかったです。ありがとうございました」と涙なみだながらに話はなしていました。

同性どうせい婚こんめぐる集団しゅうだん訴訟そしょう 全国ぜんこく5か所かしょで6件けん

同性どうせいのカップルなどが結婚けっこんが認みとめられないのは憲法けんぽうに違反いはんするとして国くにに賠償ばいしょうを求もとめる集団しゅうだん訴訟そしょうは、全国ぜんこく5か所かしょで6件けん、起おこされています。

これまで賠償ばいしょうを認みとめた判決はんけつはありませんが、憲法けんぽう判断はんだんは分わかれていて、14日にちの札幌さっぽろ高等こうとう裁判所さいばんしょと東京とうきょう地方ちほう裁判所さいばんしょを含ふくめて、

▽「違憲いけん」が3件けん、

▽「違憲いけん状態じょうたい」が3件けん、

▽憲法けんぽうに違反いはんしない「合憲ごうけん」が1件けんとなっています。

林はやし官房かんぼう長官ちょうかん「ほかの訴訟そしょうの判断はんだんも注視ちゅうししていきたい」

林はやし官房かんぼう長官ちょうかんは14日にち午後ごごの記者きしゃ会見かいけんで「いずれも現げん段階だんかいでは確定かくてい前まえの判決はんけつであり、ほかの裁判所さいばんしょで同種どうしゅの訴訟そしょうが係属けいぞくしているので、その判断はんだんも注視ちゅうししていきたい」と述のべました。

その上うえで「同性どうせい婚こん制度せいどの導入どうにゅうは国民こくみん生活せいかつの基本きほんに関かかわる問題もんだいであり、国民こくみん1人にん1人にんの家族かぞく観かんとも密接みっせつに関かかわる。各層かくそうの意見いけんや国会こっかいでの議論ぎろんの状況じょうきょう、地方ちほう自治体じちたいのパートナーシップ制度せいどの導入どうにゅうや運用うんよう状況じょうきょうなどを引き続ひきつづき注視ちゅうししていく必要ひつようがある」と述のべました。

専門せんもん家か「婚姻こんいんの平等びょうどうに限かぎりなく近ちかづいた判断はんだんだ」

性的せいてきマイノリティーの問題もんだいに詳くわしい早はや稲田いなだ大学だいがくの棚たの村むら政行まさゆき教授きょうじゅは札幌さっぽろ高等こうとう裁判所さいばんしょの判決はんけつについて、「婚姻こんいん制度せいどの中心ちゅうしんにあるのは同性どうせいか異性いせいかということではなく、人ひとと人ひととの支ささえ合あいを保障ほしょうするものだということを明あきらかにした点てんで非常ひじょうに大おおきな意義いぎがある。同性どうせい間かんで婚姻こんいんが許ゆるされないことで当事者とうじしゃが被こうむる不利益ふりえきの程度ていどもかなり重おもいと強つよく言いっており、印象いんしょう的てきだ。パートナーシップなどの制度せいどではなく婚姻こんいん制度せいどの枠わくに入いれないと性的せいてきマイノリティーの人ひとたちの不ふ利益りえきは解消かいしょうされないということも指摘してきしており、婚姻こんいんの平等びょうどうに限かぎりなく近ちかづいた判断はんだんだ」と評価ひょうかしましたそのうえで、14日にちにあった東京とうきょう地方ちほう裁判所さいばんしょの判決はんけつも含ふくめ、「2つの判決はんけつは重大じゅうだいな不ふ利益りえきを被こうむっている人ひとたちに対にたいして法制ほうせい化かに向むけた議論ぎろんをするべきだと言いっている。国会こっかいは、こうした司法しほうの場ばでの大おおきな流ながれを受け止うけとめて早期そうきに議論ぎろんを開始かいしすべきだ」と話はなしていました。