最高さいこう裁判所さいばんしょ裁判官さいばんかんの国民こくみん審査しんさ 6人にん全員ぜんいんが信任しんにん【専門せんもん家かQAも】

一方いっぽう、罷免ひめんすべきという票ひょうの割合わりあいがこの20年ねんで最もっとも高たかくなり、専門せんもん家かは「SNSで情報じょうほうを集あつめるなど有権者ゆうけんしゃの投票とうひょう行動こうどうが変かわってきたのではないか」としています。

国民こくみん審査しんさは、最高さいこう裁判所さいばんしょの裁判官さいばんかんを信任しんにんするかどうか国民こくみんが審査しんさする制度せいどで、前回ぜんかい、2021年ねんの衆議院しゅうぎいん選挙せんきょのあとに任命にんめいされた6人にんについて、27日にち投票とうひょうが行おこなわれました。

総務そうむ省しょうによりますと、開票かいひょうの結果けっか、審査しんさを受うけた6人にんの裁判官さいばんかんはいずれも罷免ひめん・やめさせるべきだとする票ひょうが過か半数はんすうに達たっしなかったことから全員ぜんいんが信任しんにんされました。

投票とうひょう率りつは前回ぜんかいより2.05ポイント低ひくい53.64％でした。

国民こくみん審査しんさは1949年ねんに初はじめて行おこなわれ、今回こんかいが26回かい目めですが、これまでに罷免ひめんすべきだとする票ひょうが過か半数はんすうに達たっしたことはありません。

一方いっぽう、今回こんかいは6人にん中ちゅう4人にんに対にたいして罷免ひめんすべきとする票ひょうの割合わりあいが、8回かい前まえの2000年ねん以来いらい、10％を超こえるなど、この20年ねんで最もっとも高たかい傾向けいこうとなりました。

国民こくみん審査しんさに詳くわしい明治めいじ大学だいがく政治せいじ経済けいざい学部がくぶの西川にしかわ伸一しんいち教授きょうじゅは「これほど×の割合わりあいが高たかいとは思おもわず驚おどろいた。これまでは情報じょうほうが限かぎられ、形骸けいがい化かしているという指摘してきもあったが、最近さいきんはSNSが発達はったつし、メディアも特設とくせつサイトをつくり始はじめている。情報じょうほうを集あつめて意識いしき的てきに臨のぞむなど、有権者ゆうけんしゃの投票とうひょう行動こうどうが変かわってきたのではないか」と分析ぶんせきしています。

裁判官さいばんかん6人にん “罷免ひめんすべき”票ひょうの割合わりあいは

審査しんさの対象たいしょうとなった6人にんの裁判官さいばんかんについて、罷免ひめんすべきという票ひょうが投とうじられた割合わりあいです。

▽最高さいこう裁判所さいばんしょ長官ちょうかんで裁判官さいばんかん出身しゅっしんの今崎いまさき幸彦さちひこ裁判官さいばんかん（66）11.46％。

▽裁判官さいばんかん出身しゅっしんの尾島おじま明あきら裁判官さいばんかん（66）11.00％。

▽弁護士べんごし出身しゅっしんの宮川みやがわ美津子みつこ裁判官さいばんかん（64）10.52％。

▽行政ぎょうせい官かん出身しゅっしんの石いし兼けん公博きみひろ裁判官さいばんかん（66）10.01％。

▽裁判官さいばんかん出身しゅっしんの平木ひらき正洋まさひろ裁判官さいばんかん（63）9.97％。

▽裁判官さいばんかん出身しゅっしんの中村なかむら愼裁判官さいばんかん（63）9.82％。

結果けっかはいずれも、速報そくほう値ちとなります。

【QA】専門せんもん家かは今回こんかいの結果けっかをどう見みる？

今回こんかいの結果けっかについて、国民こくみん審査しんさに詳くわしい明治めいじ大学だいがく政治せいじ経済けいざい学部がくぶの西川にしかわ伸一しんいち教授きょうじゅに聞ききました。

【“罷免ひめんすべき”10％超ちょうが4人にん】

Q.結果けっかについて、率直そっちょくな受け止うけとめは。

A.びっくりしました。4人にんは罷免ひめんすべきとする率りつが10％を超こえましたが、近年きんねんにはなかったことです。

Q.なぜこのような結果けっかになったと思おもいますか。

A.1人にんに集中しゅうちゅうして「×」がついたわけではないので、今回こんかいは投票とうひょうする人ひとが、裁判官さいばんかん1人にん1人にんを意識いしきして「×」をつけたということだと思おもいます。

【SNS普及ふきゅうが影響えいきょうか】

Q.過去かこと比くらべて何なにか変化へんかがあったのでしょうか。

A.これまで国民こくみん審査しんさの情報じょうほうは公報こうほうで知しるぐらいで、政見せいけん放送ほうそうもなく、情報じょうほうが非常ひじょうに限かぎられていました。しかしSNSが発達はったつし、メディアも特設とくせつサイトをつくり始はじめています。投票とうひょうする側がわが、それぞれの裁判官さいばんかんについて情報じょうほうをかなりつかみ、それに基もとづいて国民こくみん審査しんさに臨のぞむことができ、投票とうひょう行動こうどうが変かわってきたのではないかと思おもいます。

Q.こうした状況じょうきょうをどのように考かんがえますか。

A.国民こくみん審査しんさのあるべき姿すがたに一いち歩ほ近ちかづいたかなと思おもいます。おざなりの投票とうひょうではいけないと考かんがえてくれたのではないでしょうか。

Q.長官ちょうかんの「×」の率りつが1番ばん高たかいようですが。

A.長官ちょうかんということで今いまの最高さいこう裁判所さいばんしょのあり方ありかたに疑問ぎもんを持もつ人ひとがつけた可能かのう性せいは考かんがえられます。

【裁判官さいばんかんは“国民こくみんの声こえ”自覚じかくを】

Q.今回こんかいの結果けっかを最高さいこう裁判所さいばんしょの裁判官さいばんかんたちはどのように受け止うけとめるべきでしょうか。

A.この結果けっかによって個別こべつ意見いけんを書かかなくなるなど、裁判官さいばんかんが萎縮いしゅくすることはあってはなりません。ただ、独善どくぜん的てきにならない材料ざいりょうとして「自分じぶんはこう見みられているんだ」という参考さんこうにしてほしいと思おもいます。罷免ひめんされなかったからいいではなく、こういった国民こくみんの声こえがある、国民こくみんとつながっているんだということを改あらためて自覚じかくしてもらいたいです。

Q.私わたしたち有権者ゆうけんしゃが考かんがえることは？

A.これまでは「×」の割合わりあいがおおむね6％台だいで形骸けいがい化かも指摘してきされていましたが、多おおくの有権者ゆうけんしゃにとっても今回こんかいは転機てんきになったのではないでしょうか。最高さいこう裁判所さいばんしょの判決はんけつは、私わたしたちの国民こくみん生活せいかつに大おおきな影響えいきょうを及およぼすこともあります。国民こくみん審査しんさは決けっしてセレモニーではなく、自分じぶん事ごととして考かんがえるいい機会きかいなので、政治せいじ家かに投票とうひょうするのと同おなじ熱量ねつりょうで今後こんごも臨のぞんでもらいたいです。一ひとつの「×」が積み重つみかさなれば裁判官さいばんかんは必かならず参考さんこうにすると思おもいます。