非常に強い台風21号は、31日午前3時には沖縄の南の海上を1時間におよそ20キロの速さで北西へ進んでいます。
中心の気圧は935ヘクトパスカル、中心付近の最大風速は50メートル、最大瞬間風速は70メートルで、中心から半径220キロ以内では風速25メートル以上の暴風となっています。
台風は、非常に強い勢力を維持したまま沖縄の南から台湾付近に進み、31日の昼前から夕方にかけて八重山地方に最も接近する見込みで、石垣島地方気象台は八重山地方に暴風警報を発表しました。
31日の最大風速は、▽八重山地方で25メートル、▽宮古島地方で20メートル最大瞬間風速は▽八重山地方で35メートル、▽宮古島地方で30メートルと予想されています。
また、先島諸島の沿岸では、うねりを伴い猛烈なしけとなっていて、31日予想される波の高さは、▽八重山地方で10メートル、▽宮古島地方で8メートル、▽沖縄本島地方で5メートルとなっています。
気象台は先島諸島では11月1日にかけて高波に厳重に警戒するとともに、八重山地方では31日、暴風に警戒するよう呼びかけています。
また、沖縄本島地方と先島諸島では、台風の進路や雨雲の発達の程度によって、警報級の大雨となるおそれがあります。
土砂災害や低い土地の浸水、川の増水に十分注意してください。
専門家「温帯低気圧に変わっても大雨警戒必要」
台風のメカニズムに詳しい京都大学防災研究所・横浜国立大学の伊藤耕介准教授は台風21号が急速に発達した要因について、通過した付近の海面水温が28度から29度ほどと高いうえ、水深100メートルほどの比較的深いところまで水温が高くなっている、『暖水渦(だんすいうず)』と呼ばれる領域を通過したためだと分析しています。
伊藤准教授は「急発達が起こりやすい時期というのは、一般に7月から11月ごろで、この付近の領域ではまだ起きてもおかしくはない。台湾への影響は大きいとみられ、先島諸島にも高波が到達するおそれがあり、警戒が必要だ」と指摘しています。
また台風はその後、温帯低気圧に変わると予想されていますが、伊藤准教授は大雨への警戒は変わらず必要だと指摘しています。
伊藤准教授は「台風から温帯低気圧に変わると『弱くなった』と捉えられがちだが、台風や台風から変わった低気圧の東側にあたる地域に前線や前線のような構造ができ、大雨になるおそれはあるので十分に警戒をしてほしい」と話しています。
沖縄県八重山地方に最接近へ【解説動画】