일본어 뉴스: 認知症でも希望を持って暮らすために認知症基本法が成立

認知にんち症しょうの人ひとが希望きぼうを持もって暮くらせるように。

国くにや自治体じちたいの取り組とりくみを定さだめた認知にんち症しょう基本きほん法ほうが参議院さんぎいん本ほん会議かいぎで14日にち、可決かけつ・成立せいりつしました。

国内こくないの認知にんち症しょうの人ひとは年々ねんねん増加ぞうか傾向けいこうにあり、厚生こうせい労働ろうどう省しょうの研究けんきゅう班はんの推計すいけいで、2025年ねんには約やく700万まん人にんになるとされています。

当事者とうじしゃやその家族かぞくは「認知にんち症しょうになっても元気げんきに暮くらせる社会しゃかいになってほしい」と訴うったえています。

認知にんち症しょうと診断しんだんされた男性だんせい「人生じんせい終おわってしまったという感覚かんかくに」

71歳さいの時とき、認知にんち症しょうと診断しんだんされた香川かがわ県けんに住すむ渡邊わたなべ康平やすひらさん（80）。

きっかけは車くるまの運転うんてん中ちゅうに道みちが分わからなくなったり、会話かいわ中ちゅうに記憶きおくがなくなっていることを家族かぞくに指摘してきされたことでした。

それまで地元じもとの商工しょうこう会かいの会長かいちょうを務つとめるなど社交しゃこう的てきな性格せいかくでしたが、診断しんだん後ごは家いえに閉とじこもるようになったといいます。

康平やすひらさんは当時とうじをこうふりかえります。

「認知にんち症しょうと診断しんだんされ、今後こんご、どういうふうに生いきていけばいいのか頭あたまの中なかでわからなくなってしまった。どうやって死しのうかと考かんがえたくらい、『人生じんせい終おわってしまった』という感覚かんかくに陥おちいった」

妻つま「本人ほんにんの気持きもちを尊重そんちょうし傷きずつけないようサポート」

また、康平やすひらさんの妻つまの昌子しょうじさん（80）も、ふさぎ込ふさぎこむ夫おっとにどう接せっしていいか分わからなかったと当時とうじの様子ようすをふりかえります。

「ごはんが食たべられなくなり家かの中なかでも黙だまってじっとしていて、ものすごくショックを受うけているのがわかりました。私わたしもショックでしたが、お父おとうさんであることにかわりはないので、本人ほんにんの気持きもちを尊重そんちょうしこれ以上いじょう傷きずつけることがないよう、どんなことをすればいいのか本人ほんにんの様子ようすを必死ひっしに見みながらできることをサポートしていました」

「自分じぶんは自分じぶんらしくいたい」

康平やすひらさんは診断しんだんから3か月かげつほどは落ち込おちこんでいたということですが、昌子しょうじさんに誘さそわれて庭にわの花はなを見みに行いくなど、少すこしずつ外そとに出でられるようになり、いまは月つきに1回かいほどのペースで通院つういんしながら、ほぼ毎日まいにち、趣味しゅみの囲碁いごを打うちに出でかけているということです。

「認知にんち症しょうになったら何なにもできなくなると思おもっていました。できなくなったこともたくさんありますが、自分じぶんに何なにができるかなと考かんがえできることがあるとわかったことで、自分じぶんは自分じぶんらしくいたいという気持きもちになりました。認知にんち症しょうの治療ちりょうには家族かぞくの関かかわりも重要じゅうようで、認知にんち症しょうとはどういうことか家族かぞくが分わかってくれば本人ほんにんも変かわってくるのだと思おもいます」

2025年ねんに約やく700万まん人にん高齢こうれい者しゃの5人にんに1人にんが認知にんち症しょうの予測よそくも

認知にんち症しょうの人ひとは年々ねんねん増加ぞうか傾向けいこうにあります。

厚生こうせい労働ろうどう省しょうの研究けんきゅう班はんによりますと、認知にんち症しょうの人ひとは、2020年ねん時点じてんで、600万まん人にん以上いじょうと推計すいけいされています。さらに団塊だんかいの世代せだいが全員ぜんいん、75歳さい以上いじょうの後期こうき高齢こうれい者しゃとなる2025年ねんにはおよそ700万まん人にんと高齢こうれい者しゃの5人にんに1人にんが認知にんち症しょうになると予測よそくされています。

また、WHO＝世界せかい保健ほけん機関きかんによりますと、認知にんち症しょうの人ひとは世界せかいで5500万まん人にん以上いじょうと推計すいけいされていて、2050年ねんには1億おく3900万まん人にんに増加ぞうかすると予想よそうされています。

認知にんち症しょうについては根本こんぽん的てきな治療ちりょう法ほうは確立かくりつされておらず、日本にっぽんだけでなく世界せかい共通きょうつうの課題かだいとなっています。

認知にんち症しょう基本きほん法ほうが成立せいりつ国くにや自治体じちたいの取り組とりくみ定さだめる

14日にち、認知にんち症しょうの人ひとが希望きぼうを持もって暮くらせるように国くにや自治体じちたいの取り組とりくみを定さだめた認知にんち症しょう基本きほん法ほうが参議院さんぎいん本ほん会議かいぎで全会ぜんかい一致いっちで可決かけつ・成立せいりつしました。

認知にんち症しょう基本きほん法ほうでは法律ほうりつの目的もくてきについて「認知にんち症しょうの人ひとが尊厳そんげんを保持ほじしつつ、希望きぼうを持もって暮くらすことができるよう、施策しさくを総合そうごう的てきに推進すいしんする」と明記めいきしています。

そして、政府せいふが総理そうり大臣だいじんを本部ほんぶ長ちょうとする「認知にんち症しょう施策しさく推進すいしん本部ほんぶ」を設置せっちし、認知にんち症しょうの人ひとや家族かぞくなどで構成こうせいする関係かんけい者しゃ会議かいぎを設もうけて意見いけんを聞きいたうえで、施策しさくを推進すいしんするための基本きほん計画けいかくを策定さくていすることを義務ぎむづけています。

また、都道とどう府県ふけんや市町村しちょうそんには認知にんち症しょうの人ひとや家族かぞくなどから意見いけんを聞きいた上うえで計画けいかくを策定さくていすることを努力どりょく義務ぎむとしています。そのうえで、国民こくみんの理解りかいの促進そくしん、社会しゃかいに参加さんかする機会きかいの確保かくほ、医療いりょうや福祉ふくしサービスの提供ていきょう体制たいせいの整備せいび、認知にんち症しょうの人ひとや家族かぞくなどの相談そうだん態勢たいせいの整備せいびなど8つの項目こうもくを基本きほん施策しさくに掲かかげています。

孤立こりつ防ふせぐ取り組とりくみは

認知にんち症しょうの当事者とうじしゃや家族かぞくの孤立こりつを防ふせぐための取り組とりくみも行おこなわれています。

東京とうきょう練馬ねりま区くの田柄たがら地区ちくでは区くの委託いたくを受うけた地域ちいき包括ほうかつ支援しえんセンターが主催しゅさいし、認知にんち症しょうの人ひとや家族かぞくたちが悩なやみなどを共有きょうゆうするための交流こうりゅう会かいを月つきに1回かいのペースで開ひらいています。

この日ひ、認知にんち症しょうの人ひとの交流こうりゅう会かいには8人にんが参加さんかしていて、困こまっていることだけでなく最近さいきんの出来事できごとや感かんじたことなどを思い思おもいおもいに語り合かたりあっていました。

交流こうりゅう会かいの参加さんか者しゃ「交流こうりゅうの場ばを作つくってほしい」

参加さんかしていた長田ながた米作べいさくさん（90）は、9年ねん前まえに認知にんち症しょうと診断しんだんされた直後ちょくごは落ち込おちこんで外そとに出でかける機会きかいが減へっていましたが、いまではカレンダーに予定よていを書き込かきこむなど、交流こうりゅう会かいを楽たのしみにしています。

「あの人ひとは認知にんち症しょうだからという気持きもちにならないで普通ふつうにおつきあいしてくださいということを言いいたいですね。また、個人こじんでは集あつまることができませんので、こういった交流こうりゅうの場ばを作つくってくださいということを一番いちばんにお願おねがいしたいです」

当事者とうじしゃの交流こうりゅう会かい実施じっし 257市区しく町村ちょうそんにとどままる

認知にんち症しょう基本きほん法ほうでは、当事者とうじしゃや家族かぞくが孤立こりつすることがないよう、交流こうりゅう活動かつどうなどに対にたいして支援しえんを行おこなうと明記めいきされていますが、厚生こうせい労働ろうどう省しょうによりますと、当事者とうじしゃの交流こうりゅうを自治体じちたいが行おこなっているのは徐々じょじょに増加ぞうかしているものの、去年きょねん3月末げつまつ時点じてんで257の市区しく町村ちょうそんにとどまっています。

専門せんもん家か「高齢こうれい社会しゃかいを支ささえる大事だいじな基本きほん理念りねん」

認知にんち症しょう基本きほん法ほうについて専門せんもん家かはどう見みているのでしょうか？

認知にんち症しょうの人ひとや介護かいごする家族かぞくについて長年ながねん研究けんきゅうしてきた北海道ほっかいどう医療大いりょうだい学がくの中島なかじま紀惠子きえこ名誉めいよ教授きょうじゅに聞ききました。

「人権じんけん宣言せんげんにつながるような人間にんげんの自由じゆうと平等びょうどうに関にかんすることが定さだめられ、認知にんち症しょうやその家族かぞくだけでなく、国民こくみんも自治体じちたいも家族かぞくもみながそれなりの責務せきむを持もち共生きょうせい社会しゃかいを築きずこうという、日本にっぽんの高齢こうれい社会しゃかいを支ささえる大事だいじな基本きほん理念りねんが書かかれてあり、精神せいしん的てきな支柱しちゅうができたと評価ひょうかできる」

その上うえで、「認知にんち症しょうの本質ほんしつ的てきな特徴とくちょうは社会しゃかい環境かんきょうや生活せいかつ状況じょうきょう、人ひととの関かかわり方かたが記憶きおく障害しょうがいに影響えいきょうを与あたえ、症状しょうじょうが良よくも悪わるくもなりうることです。だからこそ、皆みなで支ささえ合あう社会しゃかいをこの基本きほん法ほうに沿そって作つくっていく必要ひつようがあると思おもいます」と話はなしていました。