Báo tiếng Nhật: 中国 10か月ぶり利下げなぜ？「ゼロコロナ」後の経済回復鈍化

中国ちゅうごくの中央ちゅうおう銀行ぎんこうは、事実じじつ上じょうの政策せいさく金利きんりの引き下ひきさげに踏み切ふみきりました。利下りさげは去年きょねん8月つき以来いらいで、景気けいき回復かいふくの勢いきおいが鈍にぶくなるなか、追加ついかの金融きんゆう緩和かんわで資金しきん需要じゅようを刺激しげきし、経済けいざいを下支したざさえするねらいです。

「ゼロコロナ」政策せいさくが終了しゅうりょうしたにもかかわらず、なぜ中国ちゅうごく経済けいざいの回復かいふくは「息切いきぎれ」しているのか？

詳くわしくまとめました。

“政策せいさく金利きんり” 去年きょねん8月つき以来いらいの引き下ひきさげ

中国ちゅうごくの中央ちゅうおう銀行ぎんこう、中国ちゅうごく人民じんみん銀行ぎんこうは20日にち、事実じじつ上じょうの政策せいさく金利きんりとされる「LPR」という金利きんりの1年ねんものと5年ねんものをそれぞれ0.1％引き下ひきさげたと発表はっぴょうしました。

これで、金融きんゆう機関きかんが企業きぎょうなどに融資ゆうしを行おこなう際さいの目安めやすとなる1年ねんものの金利きんりは3.55％に、住宅じゅうたくローンなどの長期ちょうきの貸し出かしだしの目安めやすとなる5年ねんものの金利きんりは4.2％になります。

LPRの引き下ひきさげは去年きょねん8月つき以来いらい、10か月かげつぶりです。

中国ちゅうごくでは厳きびしい行動こうどう制限せいげんを伴ともなう「ゼロコロナ」政策せいさくがことし1月つきに終了しゅうりょうしたことを受うけ、景気けいきは回復かいふくに転てんじました。

しかし、国民こくみんの間まで雇用こようへの不安ふあんや節約せつやく志向しこうが根強ねづよいほか、不動産ふどうさん市場しじょうの低迷ていめいが長期ちょうき化かしていることなどから景気けいき回復かいふくの勢いきおいが鈍にぶくなっています。また、物価ぶっか上昇じょうしょう率りつも0％台だいが続つづいていて「デフレ懸念けねん」も生しょうじています。

中国ちゅうごく人民じんみん銀行ぎんこうとしては、追加ついかの金融きんゆう緩和かんわに踏み切ふみきることで企業きぎょう向むけの貸し出かしだしを増ふやしたり、不動産ふどうさん市場しじょうへの資金しきん供給きょうきゅうを増ふやしたりするなど資金しきん需要じゅようを刺激しげきし、経済けいざいを下支したざさえするねらいです。

ただ、金利きんりの引き下ひきさげはドルに対にたいする一層いっそうの人民元じんみんげ安やすにつながる懸念けねんがあるほか、実体じったい経済けいざいに資金しきんがどこまで回まわるのか不透明ふとうめいだとの指摘してきもあります。

実感じっかん薄うすい“景気けいき回復かいふく” 「大おおきな出費しゅっぴできるだけ避さけている」

景気けいきの現状げんじょうについて北京ぺきん市内しないで話はなしを聞きくと、市民しみんからは景気けいき回復かいふくが進すすんでいないという実感じっかんや節約せつやくをしているという声こえが聞きかれました。

このうち自営じえい業ぎょうの男性だんせいは「新型しんがたコロナの前後ぜんごを比較ひかくすると、消費しょうひの水準すいじゅんはまだ上あがっていなくて客きゃくも多おおくない。今いまは買かいたいものがあっても買かわないようにしている」と話はなしていました。

また、事務職じむしょくの女性じょせいは「収入しゅうにゅうは以前いぜんと比くらべて少すくなくなり、福利ふくり厚生こうせいは悪わるくなった。大おおきな出費しゅっぴはできるだけ避さけている。中国ちゅうごくは人口じんこうが多おおいので新型しんがたコロナ前まえの状況じょうきょうに回復かいふくするには時間じかんが必要ひつようだ」と話はなしていました。

「息切いきぎれ」する中国ちゅうごく経済けいざいの回復かいふく

中国ちゅうごく経済けいざいをめぐっては、ことし1月つきから3月つきまでのGDP＝国内こくない総そう生産せいさんの伸のび率りつが去年きょねんの同おなじ時期じきと比くらべてプラス4.5％と「ゼロコロナ」政策せいさくが終了しゅうりょうし、観光かんこうや飲食いんしょくなどのサービス業ぎょうを中心ちゅうしんに回復かいふくに転てんじたことが統計とうけいにも表あらわれました。

しかし、このところ力強ちからづよさを欠かく経済けいざい統計とうけいの発表はっぴょうが相次あいついでいて、景気けいき回復かいふくが「息切いきぎれ」していると指摘してきされています。

今月こんげつ15日にちに発表はっぴょうされた5月つきの工業こうぎょう生産せいさんは去年きょねんの同おなじ月つきと比くらべてプラス3.5％にとどまりました。

去年きょねんは新型しんがたコロナウイルスの感染かんせん拡大かくだいを受うけて上海しゃんはいなどで厳きびしい外出がいしゅつ制限せいげんが行おこなわれ工場こうじょうの生産せいさん停止ていしや物流ぶつりゅうの混乱こんらんが広ひろがっていた時期じきで、そのときと比くらべると力強ちからづよさに欠かけた伸のび率りつと指摘してきされています。

背景はいけいには、人々ひとびとの間まで節約せつやく志向しこうが根強ねづよく家電かでんなどの消費しょうひが上向うわむいていないことや海外かいがい経済けいざいの減速げんそくの影響えいきょうで先月せんげつの輸出ゆしゅつ額がくが去年きょねんの同おなじ月つきと比くらべて7％余あまりのマイナスとなるなど、内需ないじゅと外需がいじゅがともにふるわない状況じょうきょうがあると指摘してきされています。

企業きぎょうの先行さきゆきへの警戒けいかい感かんも強つよく、ことし1月つきから先月せんげつまでの民間みんかん企業きぎょうによる設備せつびや建物たてものなどへの「固定こてい資産しさん投資とうし」は去年きょねんの同おなじ時期じきと比くらべてマイナス0.1％に落ち込おちこんでいます。

また、関連かんれん産業さんぎょうを含ふくめるとGDPの4分ぶんの1ほどを占しめるとも試算しさんされる不動産ふどうさん業ぎょうは、ことし1月つきから先月せんげつまでの不動産ふどうさん開発かいはつ投資とうしが去年きょねんの同おなじ時期じきと比くらべてマイナス7.2％と低迷ていめいが長期ちょうき化かしています。

先月せんげつは消費しょうひ者しゃ物価ぶっか指数しすうが去年きょねんの同おなじ月つきと比くらべてプラス0.2％、企業きぎょうが製品せいひんを出荷しゅっかする際さいの値動ねうごきを示しめす生産せいさん者しゃ物価ぶっか指数しすうがマイナス4.6％に落ち込おちこんで「デフレ懸念けねん」も生しょうじていて、先行さきゆきの不透明ふとうめい感かんが強つよくなっています。

影響えいきょうが大おおきい不動産ふどうさん業ぎょうの低迷ていめい

景気けいき回復かいふくの勢いきおいが鈍にぶくなっている主おもな要因よういんは不動産ふどうさん業ぎょうの低迷ていめいです。

不動産ふどうさん業ぎょうはすそ野すそのが広ひろく、建設けんせつ業ぎょうだけでなく、さまざまな建築けんちく資材しざい、家具かぐや家電かでんといった住宅じゅうたくに欠かかせない製品せいひんが大おおきな影響えいきょうを受うけます。

低迷ていめいが続つづけば景気けいき回復かいふくの足あしかせとなります。

南部なんぶの広東かんとん省しょう仏山ほとけやまにある300万まん平方メートルへいほうめ-とるに及およぶ範囲はんいに家具かぐ業者ぎょうしゃが集積しゅうせきする地区ちくは今いまの不動産ふどうさん業ぎょう低迷ていめいの影響えいきょうを強つよく受うけている地域ちいきです。

この地区ちくでは売り上うりあげが減少げんしょうして倒産とうさんに追い込おいこまれる業者ぎょうしゃが相次あいついでいるということです。

「訪おとずれる人ひとほとんどいない」

地区ちくにあるソファーを販売はんばいする業者ぎょうしゃは人件じんけん費ひや店舗てんぽの賃料ちんりょうなどで月つきに日本にっぽん円えんで30万まん円えん以上いじょう支出ししゅつがあるのに対にたいして、ほとんどの月つきが赤字あかじだということです。

担当たんとう者しゃの女性じょせいは「いまは店舗てんぽを訪おとずれる人ひとはほとんどいない。新型しんがたコロナによって経済けいざいが3年間ねんかんも閉とざされた状態じょうたいが続つづき、収入しゅうにゅうも少すくないのに消費しょうひに回まわせるわけがない。影響えいきょうは大おおきい」と話はなしていました。

需要じゅよう落ち込おちこみ価格かかく帯たいも下さがる

また、家具かぐの工場こうじょうを経営けいえいする男性だんせいによりますと、家いえを購入こうにゅうする人ひとが減へって家具かぐの需要じゅようが落ち込おちこんでいるだけでなく、消費しょうひ者しゃの節約せつやく志向しこうが強つよまって売うれる家具かぐの価格かかく帯たいも下さがっているということです。

工場こうじょうの売り上うりあげは去年きょねんの同おなじ時期じきと比くらべて3割わり前後ぜんご、減少げんしょうしているということで、男性だんせいは「工場こうじょうの人員じんいん削減さくげんや材料ざいりょうの購買こうばい量りょうの減少げんしょうなど影響えいきょうは業界ぎょうかい全体ぜんたいに連鎖れんさしている」と話はなしていました。

中国ちゅうごくでは巨額きょがくの債務さいむを抱かかえておととし12月つき、デフォルト＝債務さいむ不ふ履行りこうに陥おちいった中国ちゅうごくの不動産ふどうさん大手おおて「恒つね大だいグループ」がことし4月つき、一部いちぶの債権さいけん者しゃとの間まで債務さいむの返済へんさい条件じょうけんの見直みなおしで合意ごういしたと発表はっぴょうしました。

一方いっぽう、会社かいしゃは今後こんご3年間ねんかんは建設けんせつ中ちゅうの物件ぶっけんの完成かんせいと引き渡ひきわたしが主おもな業務ぎょうむになると発表はっぴょうし、建設けんせつ途中とちゅうの物件ぶっけんの完成かんせいなどに最大さいだいで3000億おく人民元じんみんげん、日本にっぽん円えんで6兆ちょう円えん近ちかくの追加ついか資金しきんが必要ひつようだとしていて、資金繰しきんぐりはいまだに厳きびしく先行さきゆきは不透明ふとうめいです。

中国ちゅうごくの不動産ふどうさん市場しじょうを巡めぐってはほかにもデフォルトに陥おちいった企業きぎょうも多おおく、今いまも低迷ていめいが続つづいていて、不動産ふどうさん業界ぎょうかいの動向どうこうが中国ちゅうごく経済けいざい全体ぜんたいに与あたえる影響えいきょうへの懸念けねんも根強ねづよく残のこっています。

若者わかもの失業しつぎょう率りつ20.8％最もっとも高たかい水準すいじゅん更新こうしん雇用こよう不安ふあん広ひろがる

景気けいき回復かいふくの勢いきおいが鈍にぶくなっているもう1つの要因よういんとして、若者わかもののあいだで雇用こように対にたいする不安ふあんが広ひろがっていることがあります。

5月つきの全体ぜんたいの失業しつぎょう率りつは5.2％でした。このうち16歳さいから24歳さいまでの若者わかものの失業しつぎょう率りつは20.8％と一気いっきに跳ね上はねあがります。

同おなじ形式けいしきで統計とうけいが公表こうひょうされている2018年ねん以降いこう、最もっとも高たかい水準すいじゅんを更新こうしんしました。

若者わかものの失業しつぎょう率りつが高たかい要因よういんとしてコロナ禍かで業績ぎょうせきが低迷ていめいした企業きぎょうが採用さいよう数すうを抑おさえているほか、これまで多おおくの人員じんいんを採用さいようしてきたIT企業きぎょうも政府せいふによる規制きせいの影響えいきょうなどで業績ぎょうせきが悪化あっかして採用さいようを絞しぼり込こんでいるとも指摘してきされています。

中国ちゅうごくでは6月つきに卒業そつぎょうシーズンを迎むかえる中なか、各地かくちの大学だいがくではまだ就職しゅうしょく先さきが決きまっていない学生がくせい向むけに就職しゅうしょく面接めんせつ会かいが開ひらかれています。

南部なんぶの広東かんとん省しょう広州こうしゅうの大学だいがくでは今月こんげつ17日にち、およそ100社しゃがブースを設もうけ、就職しゅうしょく活動かつどうのピークが過すぎている時期じきにもかかわらず多おおくの学生がくせいが参加さんかしていました。

また、ことしは参加さんか企業きぎょうが去年きょねんよりも10社しゃほど減へっていて、会場かいじょうの規模きぼも3分ぶんの2に縮小しゅくしょうされていました。

「職しょく探さがし難むずかしい」

理系りけいの学部がくぶの男子だんし学生がくせいは「景気けいきが悪わるく職しょく探さがしが難むずかしい。多おおくの企業きぎょうが人員じんいんを削減さくげんしていて採用さいように積極せっきょく的てきでないと感かんじる」と話はなしていました。

金融きんゆう学がくを専攻せんこうする女子じょし学生がくせいは「企業きぎょう側がわから返答へんとうがないことが多おおく難むずかしさを感かんじる。就職しゅうしょく先さきが見みつからなければインターンができる企業きぎょうだけでも探さがしたい」と話はなしていました。

一方いっぽう、企業きぎょう側がわからは業績ぎょうせきが伸のびず採用さいよう者しゃ数すうを抑おさえているという声こえが聞きかれ、このうち広東かんとん省しょうの帽子ぼうしメーカーの採用さいよう担当たんとう者しゃの男性だんせいは「国内こくないの受注じゅちゅうが去年きょねんより3分ぶんの1減へり、従業じゅうぎょう員いんの賃金ちんぎんや会社かいしゃ全体ぜんたいの利益りえきに非常ひじょうに大おおきな影響えいきょうが出でている。採用さいよう数すうは1人にんか2人にん程度ていどだ」と話はなしていました。

ことしは大学だいがくや大学院だいがくいんなどの卒業そつぎょう生せいが過去かこ最多さいたの1100万まん人にん余あまりに上のぼるとされ、高こう学歴がくれき化かにともなって賃金ちんぎんや雇用こよう条件じょうけんのよい職業しょくぎょうに就つきたいという志向しこうが強つよまる一方いっぽうで、人手ひとで不足ふそくが生しょうじている製造せいぞう業ぎょうなどとミスマッチが生しょうじていることも高たかい失業しつぎょう率りつにつながっていると指摘してきされます。

若わかい世代せだいは消費しょうひ全体ぜんたいに占しめる割合わりあいが高たかいとされています。

若者わかものの雇用こよう不安ふあんが強つよまれば消費しょうひが低迷ていめいし、経済けいざいの下押したおし圧力あつりょくが高たかまるおそれがあり、中国ちゅうごく政府せいふも懸念けねんを強つよめているとみられます。

「心理しんり回復かいふくには時間じかんかかる鈍にぶい回復かいふく続つづく」

中国ちゅうごくの景気けいきの現状げんじょうについて、中国ちゅうごく経済けいざいが専門せんもんで上海しゃんはいに駐在ちゅうざいするみずほ銀行ぎんこうの伊藤いとう秀樹ひでき主任しゅにんエコノミストは「4月つきから回復かいふくペースが緩ゆるやかになり5月つきも同おなじ状況じょうきょうが続つづき、足踏あしぶみが続つづいているような状況じょうきょうだ。通常つうじょうであれば雇用こようや所得しょとくが回復かいふくしてそれが消費しょうひに結むすびつく正せいの循環じゅんかんが期待きたいされるが、コロナ禍かでの負まけの循環じゅんかんから脱だっし切きれていない」と指摘してきしています。

また、金利きんりの引き下ひきさげの効果こうかについて「企業きぎょうの心理しんりが上向うわむかない中なかでは資金しきん需要じゅようも強つよくならない可能かのう性せいもある」としています。

その上うえで今後こんごの見通みとおしについて「去年きょねんの経済けいざい成長せいちょう率りつの実績じっせきがプラス3％と低ひくかったこともあり、緩ゆるやかな回復かいふくでも中国ちゅうごく政府せいふが目標もくひょうに掲かかげる『5％前後ぜんご』の達成たっせいは可能かのうだろう。ただ人々ひとびとや企業きぎょうの心理しんりの回復かいふくには時間じかんがかかり、鈍にぶい回復かいふくが年としの後半こうはんも続つづくだろう」と話はなしていました。