そのうえで「業界の再編を先導し、研究開発を効率化して規模を拡大することで長期的に国際的な競争力を維持できるようにしていきたい」と述べ、この分野で国内に複数ある企業を念頭に事業再編を目指す考えを示しました。
また、社長は業界再編に向けてほかの企業と協議をしているか問われたのに対し、「ほかの企業との約束や、オファーはありません。他社からオファーがあれば、検討する責任がある」と述べ、現時点で他社に再編を呼びかけてはいないものの、提案があれば、積極的に協議を行っていく考えを示しました。
フォトレジストの分野は日本企業が得意としていて、日本企業5社で世界シェアのおよそ90%を占めます。 イギリスの調査会社のオムディアによりますと、2021年の時点でJSRと、東京応化工業のシェアはそれぞれ26%で、上位2社で世界シェアの過半数を占めています。次いで、信越化学工業が18%、住友化学と、富士フイルムがそれぞれ10%となっています。 半導体市場の拡大に合わせてフォトレジストの市場も拡大を続けています。2021年の時点で、世界全体の市場規模は18億9000万ドルとなり、6年前の2015年と比べておよそ1.8倍に拡大しました。 一方、韓国や中国もフォトレジストの技術開発に力を入れていて、現在は、日本企業が優位なものの、今後世界的な競争が激しくなることが予想されています。
経済産業省が今月改定した「半導体・デジタル産業戦略」では、2030年には国内の関連事業の売上を、今の3倍程度の15兆円に拡大させる目標を掲げています。 技術開発では、先端半導体の国産化に向けて、日本の主要企業が共同出資した「Rapidus」が設立され、国も合わせて3300億円の支援を行うことを決めています。 Rapidusは、先端半導体の開発に欠かせない半導体の材料に回路を焼き付ける「露光装置」の研究を行っているベルギーの研究機関とも連携していますが、最先端の装置の開発には、今回、官民ファンドの産業革新投資機構が買収を決めたJSRが持つ「フォトレジスト」の技術も、サプライチェーンを構築するうえで重要だとされています。 経済産業省としては、先端半導体向けの「フォトレジスト」の技術力のさらなる向上は、国際的な競争力や経済安全保障の強化につながるとしています。 今回の買収によって、JSRは半導体関連の事業に経営資源を集中させることになると見られることから、経済産業省は今後の事業戦略に応じて必要な支援を行う方針です。
半導体素材フォトレジスト 日本が世界シェア約90%
国の半導体戦略は