日本新聞: “動物の腸に酸素送り呼吸不全改善に成功” 東京医科歯科大

“動物どうぶつの腸ちょうに酸素さんそ送おくり呼吸こきゅう不全ふぜん改善かいぜんに成功せいこう” 東京とうきょう医科いか歯科しか大だい

May 15, 2021 06:05

Furigana

肺はいでの呼吸こきゅうが難むずかしい状態じょうたいにしたブタなどの動物どうぶつの腸ちょうに、酸素さんそを含ふくんだ液体えきたいを送り込おくりこんで、呼吸こきゅう不全ふぜんの状態じょうたいを改善かいぜんさせることに東京とうきょう医科いか歯科しか大学だいがくなどのグループが成功せいこうしたと発表はっぴょうしました。人ひとに応用おうようできれば、人工じんこう呼吸こきゅう器きなどが必要ひつような患者かんじゃの治療ちりょうにつながるとしています。

研究けんきゅうを行おこなったのは、東京とうきょう医科いか歯科しか大学だいがくの武部たけべ貴則たかのり教授きょうじゅらのグループです。

グループは、魚さかなのドジョウは酸素さんそが少すくない環境かんきょうでは、えら呼吸こきゅうだけでなく腸ちょうでも呼吸こきゅうできることに注目ちゅうもくし、哺乳ほにゅう類るいでも腸ちょうから酸素さんそが吸収きゅうしゅうできるか調しらべました。

実験じっけんでは酸素さんそが少すくない環境かんきょうで重じゅう篤あつしな呼吸こきゅう不全ふぜんになったマウスやブタなどに、高こう濃度のうどの酸素さんそを溶け込とけこませた特殊とくしゅな液体えきたいをお尻しりから腸ちょうに送り込おくりこんで反応はんのうを調しらべました。

その結果けっか、マウスでもブタでも血液けつえき中ちゅうの酸素さんその量りょうが大幅おおはばに増ふえることが確認かくにんされ、このうちブタでは1回かい400ミリリットルの液体えきたいで、20分間ふんかん、呼吸こきゅう不全ふぜんの症状しょうじょうが改善かいぜんしたということです。

グループによりますと、酸素さんそを液体えきたいに溶け込とけこませたことで、腸ちょうの粘膜ねんまくから吸収きゅうしゅうできた可能かのう性せいがあるということです。

東京とうきょう医科いか歯科しか大学だいがくの武部たけべ貴則たかのり教授きょうじゅは「新型しんがたコロナウイルスでは、人工じんこう呼吸こきゅう器きなどが足たりずに命いのちを落おとす人ひとがいる。この方法ほうほうが人ひとにも応用おうようできるように研究けんきゅうを進すすめ、肺はいに負担ふたんをかけずに患者かんじゃの呼吸こきゅうを補助ほじょする腸ちょう呼吸こきゅうの治療ちりょう法ほうの開発かいはつにつなげたい」と話はなしています。