日本新聞: “第8波超の「第9波」の可能性も” 新型コロナ専門家会合有志

新型しんがたコロナウイルス対策たいさくについて助言じょげんする厚生こうせい労働ろうどう省しょうの専門せんもん家か会合かいごうが開ひらかれ、新規しんき感染かんせん者しゃ数すうは全国ぜんこく的てきに緩ゆるやかに増加ぞうかしていて5月つきの大型おおがた連休れんきゅう明あけに感染かんせんが拡大かくだいすることがあり得えると分析ぶんせきしました。

また、専門せんもん家か会合かいごうの有志ゆうしは、「第だい8波は」を超こえる規模きぼの「第だい9波は」が起おきる可能かのう性せいもあるとする文書ぶんしょをまとめました。

専門せんもん家か会合かいごうはこれまで定期ていき的てきに開ひらかれてきましたが、新型しんがたコロナの感染かんせん症しょう法ほう上じょうの位置いちづけが「5類るい」に移行いこうされるのに伴ともない、今後こんごは状況じょうきょうに応おうじて不定ふてい期きで開ひらかれることになりました。

現在げんざいの感染かんせん状況じょうきょう “全国ぜんこく的てきに緩ゆるやかな増加ぞうか傾向けいこうに”

専門せんもん家か会合かいごうは現在げんざいの感染かんせん状況じょうきょうについて下さげ止とまったあと全国ぜんこく的てきに緩ゆるやかな増加ぞうか傾向けいこうとなっていて特とくに大だい都市とし部ぶで20代だいや10代だい以下いかの増加ぞうかが見みられるとしています。

重症じゅうしょう者しゃ数すうや亡なくなる人ひとの数かずはこの冬ふゆの「第だい8波は」の時期じきから大おおきく減へった後のち、横よこばいとなっています。今後こんごの感染かんせん状況じょうきょうについては横よこばいから緩ゆるやかな増加ぞうか傾向けいこうが続つづく可能かのう性せいがあり、これまでの傾向けいこうを踏ふまえると接触せっしょく機会きかいが多おおくなる大型おおがた連休れんきゅうが明あけた後のちで感染かんせんが拡大かくだいし、いったん減少げんしょうするものの、再ふたたび夏なつに向むけて感染かんせん拡大かくだいが起おきる可能かのう性せいがあるとしています。

そのうえで専門せんもん家か会合かいごうは

▽ワクチンや感染かんせんでできた免疫めんえきが時間じかんとともに下さがっていくこと、それに

▽免疫めんえきを回避かいひする新あらたな変異へんいウイルスの割合わりあいが増ふえることなどによる影響えいきょうに注意ちゅういが必要ひつようだと指摘してきしました。

また、専門せんもん家か会合かいごうは、来月らいげつ、新型しんがたコロナの感染かんせん症しょう法ほう上じょうの位置いちづけが「5類るい」に移行いこうされる中なかでも地域ちいきでの流行りゅうこう状況じょうきょうに関心かんしんを持もち、自主じしゅ的てきに感染かんせんを防ふせぐための行動こうどうをとって特とくに重症じゅうしょう化かリスクの高たかい高齢こうれい者しゃに感染かんせんが及およばないようにする配慮はいりょが重要じゅうようだとしています。

そして、

▽体調たいちょうの不安ふあんや症状しょうじょうがある場合ばあいは無理むりせず自宅じたくで療養りょうようするか医療いりょう機関きかんを受診じゅしんすること、

▽手洗てあらいや消毒しょうどくを習慣しゅうかんとして行おこなうこと、

▽その場ばに応おうじたマスクの着用ちゃくようやせきエチケットを行おこなうこと、

▽換気かんきを行おこない、「3密みつ」を回避かいひすることなどといった対策たいさくを改あらためて呼よびかけました。

専門せんもん家か会合かいごうの有志ゆうし “「第だい8波は」超こえる「第だい9波は」の可能かのう性せいも”

国内こくないではこれまでの新型しんがたコロナウイルスに感染かんせんした人ひとの割合わりあいが低ひくいことなどから、この冬ふゆの「第だい8波は」を超こえる規模きぼの「第だい9波は」が起おきる可能かのう性せいがあり亡なくなる人ひとの数かずは高齢こうれい者しゃを中心ちゅうしんに多おおい状況じょうきょうで推移すいいする可能かのう性せいがあるとする文書ぶんしょを、厚生こうせい労働ろうどう省しょうの専門せんもん家か会合かいごうの有志ゆうしがまとめました。

高齢こうれい者しゃなどへのワクチンの追加ついか接種せっしゅや介護かいご現場げんばでの感染かんせん対策たいさくなどは引き続ひきつづき、必要ひつようだとしています。

文書ぶんしょは、専門せんもん家か会合かいごうの脇田わきた隆たかし字じ座長ざちょうや東北とうほく大学だいがくの押谷おすだに仁じん教授きょうじゅら4人にんの専門せんもん家かがまとめました。

この中なかでは対策たいさくの緩和かんわが進すすむ中なかで、現在げんざい、感染かんせん者しゃ数すうが増加ぞうかに転てんじる地域ちいきが増ふえてきていて、今後こんご、第だい9波はが起おきる可能かのう性せいが高たかいとしています。

そのうえで、日本にっぽん国内こくないでは新型しんがたコロナへの感染かんせんによって獲得かくとくした免疫めんえきを持もつ人ひとは住民じゅうみんを対象たいしょうにした抗体こうたい調査ちょうさでもことし2月つきから先月せんげつの段階だんかいで32.1％と割合わりあいが低ひくいことなどから、第だい9波はは第だい8波はより大おおきな規模きぼになる可能かのう性せいが残のこされているとしています。

また、日本にっぽんは高齢こうれい化か率りつが高たかく、仮かりにワクチンの接種せっしゅ率りつが上あがらないまま、感染かんせんの規模きぼが大おおきくなるとすると、亡なくなる人ひとの数かずは高齢こうれい者しゃを中心ちゅうしんに海外かいがいと比くらべて多おおい状況じょうきょうで推移すいいする可能かのう性せいがあるとしています。

そして、新型しんがたコロナの感染かんせん症しょう法ほう上じょうの位置いちづけが「5類るい」に移行いこうされても高齢こうれい者しゃなどへのワクチンの追加ついか接種せっしゅ、介護かいごや医療いりょう現場げんばでの感染かんせん対策たいさく、それにウイルスの遺伝いでん情報じょうほうの分析ぶんせきなどは必要ひつようだとしています。

脇田わきた座長ざちょうは「5類るいへの移行いこうを前まえに今後こんご、起おきる可能かのう性せいがあることを取とりまとめた。感染かんせんが拡大かくだいすると高齢こうれい者しゃなどは重症じゅうしょう化かするリスクがあり、感染かんせん対策たいさくを継続けいぞくしていただく必要ひつようがある」と話はなしています。

専門せんもん家か会合かいごう「定期ていき的てき開催かいさい」→「不定ふてい期き開催かいさい」に

専門せんもん家か会合かいごうは、新型しんがたコロナの感染かんせんが国内こくないで広ひろがった初期しょきの2020年ねん2月つきに設置せっちされ、おおむね1週間しゅうかんから2週間しゅうかんおきに定期ていき的てきに開ひらかれてきましたが、「5類るい」への移行いこうに伴ともなって次回じかい以降いこうは感染かんせん状況じょうきょうに応おうじて不定ふてい期きに開ひらかれることになります。

専門せんもん家か会合かいごうのメンバーは会合かいごうが開ひらかれない間まも必要ひつように応おうじて感染かんせん状況じょうきょうや医療いりょうの状況じょうきょうなどを確認かくにんして分析ぶんせきするとしています。

脇田わきた座長ざちょう “今後こんご増加ぞうか傾向けいこうが続つづいてもおかしくない”

厚生こうせい労働ろうどう省しょうの専門せんもん家か会合かいごうのあと開ひらかれた記者きしゃ会見かいけんで、脇田わきた隆たかし字じ座長ざちょうは、現在げんざいの感染かんせん状況じょうきょうについて「全国ぜんこく的てきに減少げんしょう傾向けいこうがしばらく続つづいていたが、増加ぞうかに転てんじて、緩ゆるやかな増加ぞうかが続つづいている。ただ、感染かんせん拡大かくだいのレベルとしては、去年きょねんの年明としあけの『第だい6波は』と去年きょねんの夏なつの『第だい7波は』の間まの時期じきよりも低ひくく、高たかいレベルではない」と評価ひょうかしました。

そのうえで、今後こんごの見通みとおしについて「去年きょねんの『第だい6波は』や『第だい7波は』、ことし初はじめにかけての『第だい8波は』で感染かんせんがある程度あるていど広ひろがったり、ワクチン接種せっしゅが進すすんだりしたことで得えられた免疫めんえきが、ピークを越こえて低下ていかしてきている。さらに、人々ひとびとの活動かつどうのレベルが戻もどり、接触せっしょくの機会きかいが増ふえ、オミクロン株かぶのうち感染かんせん力りょくが高たかく免疫めんえきから逃のがれやすいとされる『XBB』系統けいとうへの置き換おきかわりも進すすんでいる。疫学えきがくの専門せんもん家かからは、非常ひじょうに予測よそくが難むずかしいという議論ぎろんがあったが、今後こんご、増加ぞうか傾向けいこうが続つづいてもおかしくない」と指摘してきしました。

また、感染かんせん者しゃ数すうの把握はあくについて、新型しんがたコロナの5類るい移行いこう後ごに都道とどう府県ふけんからの報告ほうこくを国くにが毎日まいにちとりまとめて公表こうひょうする「全数ぜんすう把握はあく」から、指定していした医療いりょう機関きかんに週しゅう1回かい報告ほうこくしてもらう「定点ていてん把握はあく」に切り替きりかわることを踏ふまえ「これまで大型おおがた連休れんきゅうや夏休なつやすみ、お盆おぼんなど年中ねんじゅう行事ぎょうじにあわせて感染かんせん者しゃが増ふえる傾向けいこうがあり、定点ていてん把握はあくに切り替きりかわった後のちも流行りゅうこう状況じょうきょうの監視かんしを続つづけていく必要ひつようがある」と指摘してきしました。

そして「高齢こうれい者しゃや基礎きそ疾患しっかんがある人ひとなど重症じゅうしょう化かリスクが高たかい人ひとは引き続ひきつづき感染かんせん対策たいさくに気きを配くばってもらうとともに、来月らいげつからは、重症じゅうしょう化かリスクが高たかい人ひとを対象たいしょうにワクチンを接種せっしゅする機会きかいが始はじまるので、積極せっきょく的てきな接種せっしゅをぜひ、お願おねがいしたい」と話はなしていました。

新型しんがたコロナ対策たいさくを発信はっしんしてきた専門せんもん家か会合かいごうとは

厚生こうせい労働ろうどう省しょうの専門せんもん家か会合かいごう「アドバイザリーボード」は、新型しんがたコロナウイルス対策たいさくについて感染かんせん症しょうや疫学えきがくの専門せんもん家かが助言じょげんを行おこなうことを目的もくてきに日本にっぽん国内こくないで感染かんせんが広ひろがり始はじめた初期しょきの2020年ねん2月つきに設もうけられました。

国内こくないでは、2020年ねんからこれまでの3年ねん余あまりの間まに、合あわせて8回かいの感染かんせん拡大かくだいの波なみを経験けいけんしましたが、この間このかん、専門せんもん家か会合かいごうは、おおむね1週間しゅうかんから2週間しゅうかんおきに合あわせて121回かい開ひらかれ、新型しんがたコロナの感染かんせん状況じょうきょうや患者かんじゃに対応たいおうする医療いりょう提供ていきょう体制たいせいの状況じょうきょうを分析ぶんせきしたうえで、その時点じてんで求もとめられる対策たいさくを国くにや自治体じちたい、そして一般いっぱんの人々ひとびとに対にたいして発信はっしんしてきました。

特とくに、感染かんせん状況じょうきょうが悪化あっかして医療いりょう提供ていきょう体制たいせいがひっ迫ひっぱくした時期じきには、強つよい危機きき感かんを示しめしながら感染かんせん対策たいさくを訴うったえてきました。

たとえば、変異へんいウイルスのデルタ株かぶが広ひろがった、おととし夏なつの「第だい5波は」の時期じきには、重症じゅうしょう者しゃ数すうが急増きゅうぞうして入院にゅういんできないケースが相次あいつぐなど医療いりょう体制たいせいがひっ迫ひっぱくしたのを受うけ、専門せんもん家か会合かいごうは「これまでにない災害さいがいレベルの状況じょうきょうにある」という認識にんしきを示しめしたうえで、ふだん会あわない人ひととの接触せっしょくを極力きょくりょく減へらすことやワクチン接種せっしゅなど「命いのちを守まもるために必要ひつような行動こうどう」をとるよう呼よびかけ、政府せいふや自治体じちたいに対にたいしては医療いりょう体制たいせいの整備せいびをさらに急いそぐよう要請ようせいしました。

また、去年きょねん冬ふゆからの「第だい8波は」の際さいには、感染かんせん力りょくが強つよいオミクロン株かぶが広ひろがり、感染かんせん者しゃ数すうが桁違けたちがいに増ふえたことで高齢こうれい者しゃを中心ちゅうしんに亡なくなる人ひとが過去かこ最多さいたとなる状況じょうきょうが続つづきましたが、行動こうどう制限せいげんが行おこなわれない中なか、重症じゅうしょう化かリスクの高たかい人ひとへの適切てきせつな医療いりょうを提供ていきょうする体制たいせいの強化きょうかを求もとめるとともに、基本きほん的てきな感染かんせん対策たいさくの徹底てっていを呼よびかけました。

さらに、ことし1月つき以降いこうは、新型しんがたコロナの感染かんせん症しょう法ほう上じょうの扱あつかいを季節きせつ性せいインフルエンザなどと同おなじ「5類るい」に変更へんこうした場合ばあいの医療いりょう機関きかんや感染かんせん状況じょうきょうへの影響えいきょうや、マスク着用ちゃくようの効果こうかや今後こんごの考え方かんがえかたなどについて専門せんもん家か会合かいごうのメンバーらが提言ていげんにまとめたうえで議論ぎろんを進すすめ、その結果けっかは政府せいふの対策たいさくに反映はんえいされてきました。

今後こんごの感染かんせん状況じょうきょうの分析ぶんせきはどうなる？

厚生こうせい労働ろうどう省しょうの専門せんもん家か会合かいごうは、新型しんがたコロナウイルスの感染かんせん状況じょうきょうや医療いりょう体制たいせいの状況じょうきょうを分析ぶんせきしたうえで対策たいさくを呼よびかけてきましたが、今後こんごは、感染かんせん者しゃ数すうが急増きゅうぞうするなどした場合ばあいに不定ふてい期きに開ひらかれるということです。

専門せんもん家か会合かいごうのメンバーは会合かいごうが開ひらかれない間まも必要ひつように応おうじて感染かんせん状況じょうきょうや医療いりょうの状況じょうきょう、それに新あらたな変異へんいウイルスの動向どうこうなどを確認かくにんして分析ぶんせきするとしています。

【1：感染かんせん状況じょうきょうは定点ていてんで分析ぶんせき】

新型しんがたコロナの感染かんせん者しゃ数すうは、これまでは毎日まいにち、全数ぜんすう報告ほうこくされてきましたが、今後こんごは、あらかじめ定さだめられた一定いっていの数かずの医療いりょう機関きかんから患者かんじゃ数すうの報告ほうこくを受うけて感染かんせん状況じょうきょうを把握はあくする「定点ていてん把握はあく」という方法ほうほうに移行いこうすることになります。

季節きせつ性せいインフルエンザの流行りゅうこう状況じょうきょうを把握はあくする場合ばあいと同様どうようの方法ほうほうで、新型しんがたコロナの感染かんせん状況じょうきょうは地域ちいきごとに週しゅうに1回かい、公表こうひょうされる情報じょうほうをもとに分析ぶんせきが行おこなわれることになります。

【2：医療いりょう体制たいせいも把握はあく】

今後こんごも重症じゅうしょう化かリスクの高たかい高齢こうれい者しゃで感染かんせん者しゃ数すうが増ふえれば、入院にゅういんが必要ひつような患者かんじゃ数すうが増ふえ、医療いりょう体制たいせいがひっ迫ひっぱくするおそれがあります。

医療いりょう体制たいせいについて、専門せんもん家かは今後こんご、保健所ほけんじょに報告ほうこくされる病床びょうしょう使用しよう率りつのほか、当面とうめん、現在げんざいの方法ほうほうでの報告ほうこくが続つづけられる入院にゅういん患者かんじゃ数すうや重症じゅうしょう者しゃ数すうなどをもとに分析ぶんせきし、通常つうじょうの医療いりょうが提供ていきょうできない事態じたいに陥おちいることがないかモニターするということです。

【3：新あらたな変異へんいウイルス警戒けいかい】

新型しんがたコロナウイルスは、速はやいペースでの変異へんいを繰り返くりかえしていて、専門せんもん家かは感染かんせん力りょくが高たかまったり、感染かんせんした場合ばあいの重症じゅうしょう化かリスクが上あがるなど病原びょうげん性せいが変化へんかしたりした新あらたな変異へんいウイルスが出現しゅつげんして広ひろがることを警戒けいかいしています。

このため、海外かいがいで確認かくにんされる変異へんいウイルスの状況じょうきょうや感染かんせんした場合ばあいの症状しょうじょうなどの情報じょうほう収集しゅうしゅうを続つづけるほか、規模きぼは縮小しゅくしょうされるものの国立こくりつ感染かんせん症しょう研究所けんきゅうじょなどで続つづけられるウイルスの遺伝子いでんし解析かいせきの結果けっかを見みながら新あらたな変異へんいウイルスの動向どうこうを監視かんしするとしています。

専門せんもん家か会合かいごうの脇田わきた隆たかし字じ座長ざちょうは「感染かんせん状況じょうきょうは定点ていてん把握はあくによる情報じょうほうをもとに、データが十分じゅうぶんに集あつまったところで評価ひょうかする必要ひつようがあると思おもう。今後こんごも必要ひつように応おうじて分析ぶんせきや専門せんもん家かの間まの意見いけん交換こうかんは行おこなっていくことになる」としています。