日本新聞: スペースXの大型宇宙船「スターシップ」打ち上げ後に爆発

スペースXの大型おおがた宇宙うちゅう船せん「スターシップ」打ち上うちあげ後ごに爆発ばくはつ

Apr 21, 2023 02:04 8

Furigana

アメリカの宇宙うちゅう開発かいはつ企業きぎょうスペースXが将来しょうらい、月つきや火星かせいに飛行ひこうすることも想定そうていして開発かいはつを進すすめている大型おおがた宇宙うちゅう船せんが20日にち、試験しけん飛行ひこうのため、無人むじんで打ち上うちあげられましたが、打ち上うちあげからおよそ4分ふん後ごに、上空じょうくうで爆発ばくはつしました。スペースXはデータを分析ぶんせきして原因げんいんを調しらべ、改良かいりょうにつなげることにしています。

スペースXは将来しょうらい、月つきや火星かせいに飛行ひこうすることも想定そうていした大型おおがた宇宙うちゅう船せん「スターシップ」の開発かいはつをアメリカ・テキサス州しゅう南部なんぶの試験しけん場じょうで進すすめています。

20日にち、この宇宙うちゅう船せんを無人むじんで打ち上うちあげる試験しけん飛行ひこうが行おこなわれました。

宇宙うちゅう船せんはロケットを含ふくむと全長ぜんちょうが120メートルで、エンジンが点火てんかされると、宇宙うちゅう船せんを搭載とうさいしたロケットは大おおきな音おとをたてながらゆっくりと発射はっしゃ台だいから上昇じょうしょうしていきました。

NHKが撮影さつえいした映像えいぞうには打ち上うちあげからしばらくしてロケットが回転かいてんするような軌道きどうを描えがいて飛とぶ様子ようすが映うつっていて、打ち上うちあげからおよそ4分ふん後ご、宇宙うちゅう船せんを切り離きりはなす前まえにロケットは上空じょうくうで爆発ばくはつしました。

スペースXはデータを分析ぶんせきして原因げんいんを調しらべ、改良かいりょうにつなげることにしています。

スターシップをロケットに搭載とうさいして打ち上うちあげ、地球ちきゅうを一周いっしゅう近ちかく飛行ひこうさせる試験しけんは今回こんかいが初はじめての試こころみで、計画けいかくでは、宇宙うちゅう船せんは打ち上うちあげからおよそ3分ふん後ごにロケットから切り離きりはなされたあと、およそ90分ふん後ごにアメリカのハワイ近ちかくの太平洋たいへいよう上じょうに着水ちゃくすいする予定よていでした。

スターシップをめぐってはNASA＝アメリカ航空こうくう宇宙うちゅう局きょくが、有人ゆうじんでの月つき探査たんさ計画けいかく「アルテミス計画けいかく」に向むけてスペースXと契約けいやくを結むすんでいるほか、実業じつぎょう家かの前澤まえさわ友作ともさくさんがこの宇宙うちゅう船せんで月つきを周回しゅうかいする計画けいかくを進すすめています。

マスクCEO「多おおくを学まなんだ」

スペースXのイーロン・マスクCEOは打ち上うちあげのあと、ツイッターで「数すうか月かげつ後ごの次つぎの試験しけん的てきな打ち上うちあげに向むけて多おおくを学まなんだ」と投稿とうこうしました。

また、スペースXはツイッターで「スターシップはロケットの分離ぶんりの前まえに予定よてい外がいの急速きゅうそくな分解ぶんかいを経験けいけんした。チームはデータをよく調しらべて、次つぎの試験しけん飛行ひこうに向むけて取り組とりくんでいく」と投稿とうこうしました。

その上うえで「こうした試験しけん飛行ひこうでは成功せいこうは学まなんだことからもたらされる。きょうの実験じっけんはスターシップの信頼しんらい性せいの向上こうじょうにつながる」としています。

「スターシップ」の特徴とくちょうとこれまでの経緯けいい

「スターシップ」はアメリカの民間みんかん企業きぎょう「スペースX」が開発かいはつを進すすめている大型おおがた宇宙うちゅう船せんです。

宇宙うちゅう船せんは全長ぜんちょう50メートルで、スペースXが開発かいはつした大型おおがたのロケット「スーパーヘビー」に搭載とうさいされて打ち上うちあげられる設計せっけいで宇宙うちゅう船せんとロケットを合あわせた全長ぜんちょうは120メートルです。

これは去年きょねん打ち上うちあげられた、アメリカの月つき探査たんさプロジェクト「アルテミス計画けいかく」の大型おおがたロケット、SLS＝「スペース・ローンチ・システム」をしのぐ大おおきさで、スペースXは「これまでに開発かいはつされた打ち上うちあげシステムの中なかで最もっともパワーがある」としています。

スターシップは月つきや火星かせいへの飛行ひこうも想定そうていしていて、最大さいだいで100人にんが搭乗とうじょうでき、機体きたいの姿勢しせいを制御せいぎょして、滑走かっそう路ろのない場所ばしょに垂直すいちょくに着陸ちゃくりくできることが特徴とくちょうだとしています。

また、宇宙うちゅう船せんとロケットは打ち上うちあげ後ご、いずれも回収かいしゅうして再さい利用りようできるよう設計せっけいされているということです。

試作しさく機きの試験しけん飛行ひこうはこれまでも繰り返くりかえし行おこなわれていて、このうち2020年ねん12月つきと2021年ねん2月つきには、着陸ちゃくりくに失敗しっぱいして機体きたいが爆発ばくはつしたほか、2021年ねん3月つきの試験しけん飛行ひこうでは、打ち上うちあげ後ご、垂直すいちょくの姿勢しせいで着陸ちゃくりくしましたが、およそ10分ふん後ごに爆発ばくはつしていました。

2021年ねん5月つきに行おこなわれた試験しけん飛行ひこうでは打ち上うちあげたあと、姿勢しせいの制御せいぎょを行おこないながら機体きたいを着陸ちゃくりくさせることに成功せいこうし、失敗しっぱいを繰り返くりかえしながらも少すこしずつ改良かいりょうを重かさねてきました。

「スターシップ」を上空じょうくうに打ち上うちあげるだけでなく、地球ちきゅうを一周いっしゅう近ちかく飛行ひこうさせようという試こころみは今回こんかいが初はじめてでした。

スペースXは、今回こんかいの試験しけん飛行ひこうでシミュレーションでは得えられないさまざまなデータを取得しゅとくすることにしていて、今後こんごの機体きたいの改良かいりょうにつなげるとしています。

訪おとずれた人ひとたちは

アメリカ西部せいぶのシアトルから見みに来きたという男性だんせいは「鳥肌とりはだが立たちました。興奮こうふんしています。発射はっしゃ台だいで爆発ばくはつしなかったことに感謝かんしゃしています」と興奮こうふん気味ぎみに話はなしていました。

またドイツから見みに来きたという男性だんせいは「カウントダウンが途中とちゅうで止とまり驚おどろきました。今回こんかいの打ち上うちあげは、人類じんるいがいまの時点じてんで何なにができるかを示しめしていると思おもいます。実際じっさいにこの宇宙うちゅう船せんに人ひとが乗のって宇宙うちゅうに行いくにはもっともっと多おおくのことを学まなばないといけないのかもしれません」と話はなしていました。