JR
西日本の
長谷川一明社長は、
追悼慰霊式での
献花を
終えたあと、
記者団の
取材に
応じました。
この中で、長谷川社長は「わたしたちは2005年の4月25日に大変大きな事故を引き起こし、多くのお客様の尊い命を奪い、多くの方にけがをさせてしまった。深い反省をするとともに事故へのおわび、そして、安全への誓いを新たにさせていただいた」と話しました。
事故から18年がたち、JR西日本では事故後に入社した社員が全体の6割を超えるなど世代交代が進んでいて、事故の教訓をどう引き継いでいくかが課題となっています。
これについて、長谷川社長は、「加害企業としての立場は今後も決して変わらない。経験のある者から事故を語り継ぎ、安全に必要なことを継承しながら事故の悲惨さを心に刻んでいく」と述べ、現在、大阪・吹田市の社員研修センターの隣で整備を進めている、事故車両の保存施設などを通して教訓を引き継いでいきたいという考えを示しました。
一方、JR西日本をめぐっては、ことし1月の大雪で列車の立往生が相次ぐなど、安全面での課題が再び指摘されていて、長谷川社長は「組織として安全を確保し、お客様起点、現場起点で安全確保に取り組む決意だ」と述べ、一連のトラブルを踏まえてさらなる安全対策を進めていく考えを強調しました。
国交省 西田政務官「二度と事故を起こしてはならない」
政府を
代表して
追悼慰霊式に
出席した
国土交通省の
西田昭二政務官は「
鉄道や
公共交通にとって
安全の
確保は
第一だ。
二度とこのような
事故を
起こ
してはならないし、
決して風化させてはいけない。
国土交通省としても
安全対策の
確保や
運輸事業者への
指導に
取り組んでいきたい」と
述べました。
脱線事故発生とほぼ同じ時刻 涙拭う人の姿も
現場では、
脱線事故が
発生した
午前9
時18
分とほぼ
同じ
時刻に、
快速電車が
速度を
落としながら
通過しました。
線路沿いの道路では、関係者や近所の人などが事故現場に向かって頭を下げたり手を合わせたりして黙とうをささげ、なかには涙を拭う人の姿も見られました。
近くに住む70代の男性は「近くに住んでいるので、毎年なるべくここに来て、手を合わせています。このような事故が無いようにただ願うばかりです」と話していました。
福知山線車内 乗客が手を合わせ祈りささげる
脱線事故が
発生した
午前9
時18
分とほぼ
同じ時刻に
現場を
通過した
電車の
車内では、
事故現場にさしかかる
前に「
本日で
福知山線列車事故から18
年を
迎えます。
お亡くなりになられた
お客様のご
冥福を
お祈り申し上げますとともに、ご
遺族の
皆様、おけがをされたかたがたとご
家族の
皆様に
深くおわび
申し上げます。
私たちは
この事故を
心に
刻み
安全運行に
努め、
改めてお客様に
安心してご
利用いただけるよう
全力をあげて
取り組んでまいります」というアナウンスが
流れました。
そして、電車が現場付近に近づくと、速度が落とされた車内では乗客が静かに手を合わせて祈りをささげる様子が見られました。
事故があった当時、大阪への通勤でよく福知山線を利用していたという伊丹市の67歳の男性は、「亡くなった方に祈りをささげようときょうは電車に乗りました。建物の様子も当時から変わってしまっているが改めて犠牲者のご冥福をお祈りしたい」と話していました。
神奈川県の大学に留学している20歳の韓国人の学生は「改めて悲惨な事故だと思いました。被害にあった人を追悼することで今後、大切な命が絶たれることがないようにしてほしい」と話していました。
18人が亡くなった伊丹市で追悼の鐘
JR
福知山線の
脱線事故で
亡くなった
市民を
悼んで、
兵庫県伊丹市のJR
伊丹駅前でも、
事故が
起きた
時刻に
合わせて
追悼の
鐘が
鳴り響きました。
JR伊丹駅前の広場にある楽器「カリヨン」は、ピアノのように鍵盤とペダルを使って大小43個の鐘を鳴らして演奏する鍵盤楽器で、例年、脱線事故が起きた日に鐘を鳴らして、犠牲者を追悼しています。
脱線した列車には伊丹市の市民も多く乗っていて、18人が亡くなりました。
ことしは、
市の
職員と、
被害者や
遺族を
支援する
団体の
弁護士など10
人が
集まり、
駅を
利用する
人たちに
黙とうを
呼びかけました。
そして、事故があった午前9時18分に合わせて、事故で亡くなった伊丹市民の人数と同じ18回、鐘を鳴らし、集まった人たちが事故現場の方角を向いて黙とうをささげ、犠牲者を悼んでいました。
伊丹市の市長付参事、武田好二さんは「非常に大きな事故で、伊丹市民も多く負傷され、18名が亡くなられました。この事故を風化させないよう自治体でも取り組んでいけたらと思っています」と話していました。
夫を亡くした女性 「事故後入社の社員 遺族と接する場を」
脱線事故で、
当時45
歳だった
夫の
浩志さんを
亡くした
原口佳代さん(63)は25
日の
追悼慰霊式に
出席しました。
原口さんは式のあと取材に応じ「きょう事故現場に来て彼の人生がここで終わってしまったのだと改めて実感しました。とても会いたいですが、『いまは私を見守って』と心の中で伝えました」と話し、涙を流していました。
その上で「追悼慰霊式では若い社員がわたしたち遺族の顔を把握していないと感じさせる場面があり、大きな問題だと思いました。JR西日本が、事故のあとに入社した若い社員たちに、当時の事故の経験や記憶をしっかり伝えられているのかとても心配です。もっと社員が遺族たちと接する場を作ってほしいです」と訴えていました。
次男亡くした男性「風化進んでいると感じる」
脱線事故で
当時18
歳だった
次男の
昌毅さんを
亡くした
上田弘志さん(68)は
追悼慰霊式に
出席しました。
終了後、取材に応じ、「次男が生まれて18年で事故に遭って亡くなり、それから、きょうで18年がたったので、僕の中ではすごく大きな節目です。天国でゆっくりしてくださいと声をかけました」と涙ながらに話していました。
また、事故から長い年月がたち、JR西日本でも社員の世代交代が進んでいることについて、「ここ1、2年の間に、若い社員の中で、事故当日に運転士が出勤してから事故を起こすまでの経過や、死傷者の人数を言えない人が多く出てきて、風化が進んでいると感じる。いろんな角度から安全について考えられるよう、きっちりと事故のことを伝えてほしい」と訴えました。
その上で、「JR西日本は、ことばでは安心・安全をうたっているが、行動は反対方向に進んでいると思う。最近は雪でのトラブルがあったり、新幹線の点検を忘れて営業したりと、いろいろなところで事故の前に逆戻りしているように見える。亡くなった息子に『JR西日本はこんなに変わったよ』と言ってあげたいという思いを原動力にこれまで事故と向き合ってきたが、僕が生きている間にはそう言えないかもしれず、つらい思いです」と話していました。
長女を亡くした女性「長い18年間だった」
脱線事故で
当時40
歳だった
長女を
亡くした
藤崎光子さん(83)は25
日、
事故現場を
訪れました。
この18年について藤崎さんは「とても短く感じますし事故はきのうのことのようですが、つらいつらい思いをして長い18年間だったとも思います」と振り返りました。
亡くなった長女、中村道子さん(当時40)は一人娘でした。
藤崎さんは「毎日娘のことを思っては生きる元気をなくしたりすることもありますが、何よりJR西日本が安全な会社になってほしい、それまでは死ねないという思いです」と語ります。
道子さんの写真をキーホルダーにしていつも身につけているといいます。
藤崎さんは「娘の死を無駄にしないためJR西日本がこれ以上事故を起こさず、私たちのような『遺族』と言われる人をこれ以上つくらないようにしてほしい」と思いを語りました。
大けがの女性「悲惨な事故起こしたこと忘れずに」
脱線した
電車の3
両目に
乗り
足や
顔などに
大けがをした
兵庫県伊丹市の
玉置富美子さん(73)は
事故現場を
訪れました。
曇り空の下で取材に応じた玉置さんは「18年前のこの日は、きょうと違って暑くて晴れていました。この場所に来ると、車両から投げ出されたことを思い出して、今日の天気のようにどんよりとした気持ちになります。年々、後遺症がひどくなり体も痛くなってきて、あと何回、ここに来られるかなと思います」と話しました。
その上で「JRには私たちがどうして毎年ここに集まるのか、これだけの被害者がいて、事故で心と体に傷を負わせているということを心に留めてほしいです。悲惨な事故を起こしたことを決して忘れず、慢心せずにいてほしいです」と訴えていました。
大けがの女性 「事故を無駄にしないために」
友人どうしで
先頭車両に
乗っていて、ともに
全身を
打撲する
などの
大けがをした
福田裕子さん(39)と
木村仁美さん(39)は、
毎年一緒に
追悼慰霊式に
参加しています。
式の後、福田さんは、「毎年、事故の時間は必ずこの場所で過ごしていますが、ここに来ると一年を無事に送ることができたと感じます。来年も変わらず訪れたいと思います」と話していました。
また、木村さんは「4月25日にこの場所に来ることを18年続けていて、この日はこうあるべきだと感じます。人は忘れていくものなので、このような機会に伝えていくことが大切だと思います。事故を無駄にしないために社会を良い方向に変えていかなくてはならないと改めて感じます」と話していました。
大けがの男性「伝えていくのが自分の役割」
脱線した
電車の2
両目に
乗り、
右足の
骨を
折る大けがをした
兵庫県多可町の
小椋聡さん(53)は「
毎年、
献花の
際にこんなに
たくさんの
人が
心をいためた
事故だったのだなと
感じます。
僕よりもずいぶん
若い方が
多く
亡くなられていて、
未来を
頑張ることができなかった
人たちがいるんだと
思うと、
頑張らないといけないと
改めて強く
感じました」と
話していました。
その上で「事故を知らない方に話を伝えるというのは本当に難しいと感じます。ただ、当事者が話すことをやめてしまうと事故のことが伝わらなくなるので、伝えていくのが自分の役割だと思う」と話していました。
千葉から訪れた男性「安心・安全と言えるにはほど遠い」
千葉県から
献花に
訪れた48
歳の
男性は、「
犠牲になった
方の
冥福を
祈る気持ちを
込めて、
ほぼ毎年現場に
足を
運んでいます。
事故が
起きてからJRなりに
改善しているという
人もいるが、
停車位置で
ドアの
開閉を
忘れてしまったり、
京都で
雪が
降った
際に
乗客が
閉じ込められたり、
実際には
道半ばで
なかなか安心・
安全と
言えるには
ほど遠い。
脱線事故も
含めて
大きな問題が
起きないと
世の中は
改善に
動かないというのは
悲しいことです。
事故をあらかじめ
見通すことはできなかったのかとつくづく
思います」と
話していました。
救助手伝った女性「人の命をのせている いま一度考えて」
事故の
時、
救助を
手伝ったという
現場近くに
住む60
代の
女性は、25
日朝、
現場に
向かって
祈りをささげました。
女性は、「事故の現場が血の海だったのを覚えています。こういう悲しい事故は二度とあってはならず、運転手は人の命を車両にのせていることをいま一度考えてほしいです」と時折、言葉を詰まらせながら話していました。
トランプ大統領 雇用統計の担当局長解任 専門家から批判相次ぐ
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N1
Source: NHK
29
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N2
Source: NHK
23
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N2
Source: NHK
17
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