NISA 来月らいげつ拡充かくじゅうへ 個人こじん資産しさんはどう動うごく? 金融きんゆう機関きかんがセミナー開催かいさい

今後こんご、個人こじんが保有ほゆうする巨額きょがくの現金げんきんや預金よきんがどう動うごくかが焦点しょうてんです。

こうした中なか、金融きんゆう機関きかんなどは新あたらしい制度せいどや利用りよう方法ほうほうについて理解りかいしてもらおうと積極せっきょく的てきにセミナーを開ひらいています。

セミナー講師こうし リスクふまえた“守もりのリテラシー”が重要じゅうよう

このうち、大手おおて資産しさん運用うんよう会社かいしゃと東京とうきょう証券しょうけん取引とりひき所しょが今月こんげつ12日にちに東京とうきょう・港みなと区くで開ひらいたセミナーには20代だいから40代だいを中心ちゅうしんに50人にんあまりが参加さんかしました。

はじめにセミナーの講師こうしを務つとめた東京とうきょう証券しょうけん取引とりひき所しょの担当たんとう者しゃが投資とうしにあたっての注意ちゅうい点てんとして、「リターンとリスクは比例ひれいするという原則げんそくがあり、ローリスクでハイリターンという商品しょうひんは存在そんざいしない」と述のべ、金融きんゆう商品しょうひんのリスクをふまえた守もりのリテラシーが重要じゅうようだと説明せつめいしました。

続つづいて、資産しさん運用うんよう会社かいしゃの担当たんとう者しゃが「NISAの最大さいだいのメリットは運用うんよう益えきが非ひ課税かぜいになることだ」と指摘してきし、来月らいげつ、拡充かくじゅうされる新あたらしいNISAの制度せいどを利用りようしてどのように資産しさんを形成けいせいするのか、具体ぐたい的てきなケースを交まじえて説明せつめいしました。

セミナーに参加さんかした横浜よこはま市しの30代だいの女性じょせいは「将来しょうらいの老後ろうごの資産しさんが不安ふあんで、NISAに興味きょうみをもちました。何なにから始はじめたらいいのかを知しりたくて参加さんかしました」と話はなしていました。

講師こうしを務つとめた東京とうきょう証券しょうけん取引とりひき所しょ金融きんゆうリテラシーサポート部ぶの吉田よしだ貴弘たかひろ課長かちょうは「若わかい参加さんか者しゃが多おおく、NISAの拡充かくじゅうを前まえに投資とうし熱ねつの高たかまりを感かんじた。自身じしんのライフプランにNISAをどう活用かつようするのか検討けんとうしてほしい」と話はなしていました。

子育こそだて世帯せたいは活用かつように前向まえむきな声こえも

NISAの拡充かくじゅうが来月らいげつに迫せまる中なか、子育こそだて世帯せたいからは子こどもの教育きょういく資金しきんなどを準備じゅんびするため、新あたらしいNISAの活用かつようを前向まえむきに検討けんとうしたいという声こえが聞きかれました。

都内とないに住すむ会社かいしゃ員いん、伊橋いはし美香みかさん（34）は育児いくじ休業きゅうぎょうを取得しゅとくして2歳さいと0歳さいの娘むすめを育そだてています。

伊橋いはしさんは長女ちょうじょの将来しょうらいの教育きょういく資金しきんに充あてたいと、長女ちょうじょが生うまれてから今いまの「つみたてNISA」で月つきに2万まん円えん分ぶんの投資とうし信託しんたくを購入こうにゅうしています。

来月らいげつから始はじまる「新しんNISA」では非ひ課税かぜいで保有ほゆうできる資産しさんの限度げんど額がくが大幅おおはばに拡大かくだいすることから、次女じじょの教育きょういく資金しきんを準備じゅんびするため、今後こんご、夫おっとが口座こうざを開設かいせつして積み立つみたて投資とうしを始はじめようと夫婦ふうふで相談そうだんしています。

ただ、物価ぶっか上昇じょうしょうの影響えいきょうに加くわえ、子育こそだて費用ひようがかさみ、生活せいかつ費ひなどに必要ひつようなお金おかねが想定そうていを上回うわまわることもあるということで、今後こんご、どの程度ていど投資とうしを増ふやすかは慎重しんちょうに検討けんとうしているということです。

伊橋いはしさんは「子こどもが大おおきくなったときに、やりたいことをやらせてあげたいという思おもいは夫婦ふうふで一致いっちしているので、なるべくそちらにお金おかねを回まわしてあげたい。投資とうしなので一定いっていのリスクがあるのは仕方しかたがないですし、生活せいかつ費ひが増ふえる中なかで、決けっして簡単かんたんに出だせる金額きんがくではないですが、自分じぶんたちのお小遣こづかいを切り詰きりつめたりして、徐々じょじょにに積み立つみたて投資とうしを増ふやしていきたい」と話はなしていました。

個人こじんの金融きんゆう資産しさん 今後こんごどう動うごくか焦点しょうてん

政府せいふは来年らいねん1月つきに個人こじん投資とうし家かを対象たいしょうにした税制ぜいせい優遇ゆうぐう制度せいど「NISA」を拡充かくじゅうするなど、貯蓄ちょちくを投資とうしに振り向ふりむけて、個人こじんの資産しさん形成けいせいや経済けいざい成長せいちょうを後押あとおしする施策しさくを進すすめたいとしていますが、個人こじんが保有ほゆうする巨額きょがくの現金げんきんや預金よきんが今後こんごどう動うごくかが焦点しょうてんです。

日銀にちぎんが3か月かげつごとに公表こうひょうする「資金しきん循環じゅんかん統計とうけい」によりますと、個人こじんが保有ほゆうする預金よきんや株式かぶしき、保険ほけんなどの金融きんゆう資産しさんは、ことし6月末げつまつの時点じてんで2115兆ちょう円えんと、過去かこ最高さいこうを更新こうしんしました。

個人こじん金融きんゆう資産しさん全体ぜんたいに占しめる割合わりあいをみると、「現金げんきん・預金よきん」は52.8％、「保険ほけん・年金ねんきんなど」は25.4％、「株式かぶしきなど」は12.7％「投資とうし信託しんたく」は4.7％などとなっています。

これに対にたいして、アメリカはことし3月末げつまつ時点じてんで、「現金げんきん・預金よきん」は12.6％、「保険ほけん・年金ねんきんなど」は28.6％、「株式かぶしきなど」は39.4％、「投信とうしん信託しんたく」は11.9％。

また、ユーロ圏けんではことし3月末げつまつ時点じてんで「現金げんきん・預金よきん」は35.5％、「保険ほけん・年金ねんきんなど」は29.1％、「株式かぶしきなど」は21％、「投資とうし信託しんたく」は10.1％などとなっています。

日本にっぽんの個人こじん資産しさん 現金げんきんや預金よきんの割合わりあいが高たかい背景はいけい

日本にっぽんの個人こじん金融きんゆう資産しさんは一貫いっかんして現金げんきんと預金よきんの割合わりあいが高たかい状態じょうたいが続つづいています。

背景はいけいとして、▽バブル崩壊ほうかい後ごに株価かぶかが大おおきく値下ねさがりし、証券しょうけん業界ぎょうかいで不祥事ふしょうじが相次あいついだことなどを背景はいけいに投資とうしに慎重しんちょうな人ひとが多おおいことに加くわえて、▽デフレが長期ちょうき化かし、現金げんきんの実質じっしつ的てきな価値かちが上あがっていたことなどから、相対そうたい的てきにリスクの高たかい株式かぶしきなどへの投資とうしが敬遠けいえんされてきたのではないかと指摘してきされています。

▽金融きんゆう庁ちょうは資産しさん運用うんよう会社かいしゃの運用うんよう力りょくや顧客こきゃくへの情報じょうほう開示かいじのあり方ありかたにも課題かだいがあると指摘してきしているほか、▽金融きんゆうや資産しさん運用うんようのリスクについて学まなぶ機会きかいが少すくなく、投資とうし教育きょういくが浸透しんとうしていないことも欧米おうべいに比くらべて投資とうしに資金しきんが向むかない背景はいけいにあると言いわれています。