損保そんぽ大手おおて4社しゃと代理だいり店てんに独禁法どっきんほう違反いはんの疑うたがいで立ち入たちいり検査けんさ 公取委こうとりい

19日にち、公正こうせい取引とりひき委員いいん会かいの立ち入たちいり検査けんさを受うけたのは、損害そんがい保険ほけん大手おおての

「東京とうきょう海上かいじょう日動にちどう火災かさい保険ほけん」

「損害そんがい保険ほけんジャパン」

「三井みつい住友すみとも海上かいじょう火災かさい保険ほけん」

「あいおいニッセイ同和どうわ損害そんがい保険ほけん」の4社しゃと、

保険ほけん代理だいり店てん2社しゃです。

関係かんけい者しゃによりますと、これらの会社かいしゃは、損保そんぽ側がわが火災かさいなどのリスクを分担ぶんたんして引き受ひきうけ、企業きぎょうへの保険ほけん金きんの支払しはらいを共同きょうどうで行おこなう、「共同きょうどう保険ほけん」と呼よばれる分野ぶんやで、事前じぜんの話し合はなしあいによって契約けいやく企業きぎょうから受け取うけとる保険ほけん料りょうを事前じぜんに取り決とりきめるカルテルを結むすび、独占どくせん禁止きんし法ほうに違反いはんした疑うたがいがあるということです。

また、東京とうきょう都とや独立どくりつ行政ぎょうせい法人ほうじんとの保険ほけん契約けいやくの入札にゅうさつで、事前じぜんに落札らくさつする会社かいしゃや価格かかくを調整ちょうせいする談合だんごうを行おこなっていた疑うたがいもあるということです。

大手おおて4社しゃの共同きょうどう保険ほけんの契約けいやくをめぐっては、保険ほけん料りょうの不当ふとうな調整ちょうせいを行おこなっていたとして、金融きんゆう庁ちょうも近ちかく、保険ほけん業法ぎょうほうに基もとづく業務ぎょうむ改善かいぜん命令めいれいを出だす方向ほうこうで調整ちょうせいをしています。

公正こうせい取引とりひき委員いいん会かいは、損保そんぽ業界ぎょうかいの売り上うりあげにあたる収入しゅうにゅう保険ほけん料りょうで全体ぜんたいの8割わりのシェアを持もつ大手おおて4社しゃを中心ちゅうしんとした調整ちょうせいの実態じったいを調しらべ、違反いはん行為こういが明あきらかになれば、課徴かちょう金きんの納付のうふなどを命めいじるものとみられます。

相次あいつぐ損保そんぽの問題もんだい発覚はっかく

「東京とうきょう海上かいじょう日動にちどう火災かさい保険ほけん」、「損害そんがい保険ほけんジャパン」、「三井みつい住友すみとも海上かいじょう火災かさい保険ほけん」、「あいおいニッセイ同和どうわ損害そんがい保険ほけん」の4社しゃは、私鉄してつ大手おおてと契約けいやくしている共同きょうどう保険ほけんの保険ほけん料りょうを同おなじ程度ていどの水準すいじゅんに事前じぜん調整ちょうせいしていた疑うたがいが発覚はっかくし、金融きんゆう庁ちょうがことし6月つき、4社しゃに対にたいして詳細しょうさいな報告ほうこくを求もとめる命令めいれいを出だしました。

その後そのご、ほかの鉄道てつどう会社かいしゃや空港くうこうの運営うんえい会社かいしゃ相手あいての契約けいやくでも、事前じぜん調整ちょうせいが疑うたがわれるケースがあったことが明あきらかになり、さらに、金融きんゆう庁ちょうに9月つきに提出ていしゅつされた報告ほうこく書しょの中なかでは、100社しゃを超こえる取引とりひき先さきとの契約けいやくに問題もんだいが見みつかったなどとする調査ちょうさ結果けっかも記載きさいされました。

損害そんがい保険ほけん会社かいしゃをめぐってはことし、ビッグモーターによる保険ほけん金きんの不正ふせい請求せいきゅう問題もんだいでも、損害そんがい保険ほけんジャパンが、不正ふせいの可能かのう性せいがあることを認識にんしきしていながら、追加ついか調査ちょうさをせず、いったん中止ちゅうししていた取り引とりひきを再開さいかいしていたとして、金融きんゆう庁ちょうが立ち入たちいり検査けんさを行おこなうなど、問題もんだいが相次あいついで明あきらかになっています。

現役げんえき社員しゃいん「それが当然とうぜんという業界ぎょうかいの文化ぶんかのようなもの」

公正こうせい取引とりひき委員いいん会かいの立ち入たちいり検査けんさを受うけた損害そんがい保険ほけん大手おおてで、企業きぎょう相手あいての「共同きょうどう保険ほけん」の営業えいぎょうに携たずさわっていたという社員しゃいんが、NHKの取材しゅざいに応おうじました。

損害そんがい保険ほけん会社かいしゃにとって、共同きょうどう保険ほけんは大口おおぐちの契約けいやくで「他社たしゃに取とられるとまずい案件あんけん」という認識にんしきだったといい、契約けいやく更新こうしんの時期じきが近ちかづくと、各社かくしゃの担当たんとう者しゃどうし直接ちょくせつ会あったり電話でんわをしたりして、打ち合うちあわせを行おこなうことが慣例かんれいになっていたということです。

社員しゃいんは「保険ほけんの更新こうしんの時期じきになったら『ウチはこれくらいでいく』と水面すいめん下かでささやき合あうようなことをして、お互おたがいに邪魔じゃまをしない。今いまある大口おおぐちの契約けいやくを守まもりながらでないと、新規しんきの契約けいやくのために動うごくこともできないので、共同きょうどう保険ほけんの更新こうしん契約けいやくには、できるかぎり手てを煩わずらわせたくないという思おもいがあった」などと語かたりました。

こうした調整ちょうせいを行おこなう際さいには、メールや文書ぶんしょなどの証拠しょうこを残のこさないという注意ちゅうい点てんも、社内しゃないで共有きょうゆうされていたということです。

社員しゃいんは「これは談合だんごうじゃないかと感かんじていた時期じきはあったが、それが当然とうぜんという、業界ぎょうかいの文化ぶんかのようなものがあったので、実務じつむとして行いっていた」などと話はなしています。

専門せんもん家か「火災かさい保険ほけん分野ぶんやの赤字あかじや超ちょう寡占かせんも背景はいけいに」

保険ほけん業界ぎょうかいに詳くわしい福岡ふくおか大学だいがくの植村うえむら信保のぶやす教授きょうじゅは、損害そんがい保険ほけん会社かいしゃの問題もんだいが相次あいついでいる背景はいけいについて「世界せかい的てきに自然しぜん災害さいがいが多発たはつし、日本にっぽんの保険ほけん会社かいしゃも火災かさい保険ほけんの分野ぶんやでは赤字あかじが続つづいている。収支しゅうしを改善かいぜんしたくても、それがなかなかできず、一方いっぽうの企業きぎょう側がわも価格かかくにはシビアなので、保険ほけん会社かいしゃは厳きびしい競争きょうそうを強しいられている」としたうえで「大だい企業きぎょう相手あいての保険ほけんは、引き受ひきうけることができる保険ほけん会社かいしゃが限定げんていされ、超ちょう寡占かせんマーケットになっていることも背景はいけいにあると考かんがえられるが、本来ほんらいは保険ほけん会社かいしゃによって得意とくい分野ぶんやや、補償ほしょう内容ないようにも違ちがいがあり、顧客こきゃくの同意どういなしに価格かかく調整ちょうせいをしているとすれば、問題もんだいがある」と指摘してきしています。