ゼレンスキー大統領「今は持ちこたえている」
ウクライナのゼレンスキー大統領は9日、新たに動画を公開し「前線の状況に大きな変化はないが、セベロドネツクなどでは今は持ちこたえている」と述べ、徹底抗戦する姿勢を強調しました。ウクライナ側は反撃のためには一刻も早い追加の兵器供与が欠かせないと欧米各国に訴えています。
またウクライナ軍の参謀本部によりますと、激戦地となっているルハンシク州のセベロドネツクには9日、ロシア軍の歩兵部隊が投入され、激しい市街戦になったということです。
ロシアのインターファクス通信によりますと、このうち2人はイギリス国籍の男性でことし4月中旬にドネツク州のマリウポリで捕虜となり、もう1人はモロッコ国籍の男性で3月中旬にドネツク州の別の街で捕虜になったということです。 親ロシア派の武装勢力は、3人はいずれも「金銭と引き換えに戦闘に加わる、よう兵だった」と一方的に発表していますが、ウクライナ外務省の報道官は地元メディアの取材に対して「ウクライナ軍の一員として戦うすべての外国人は、ウクライナ軍の兵士だ」と述べ、国際法に基づき捕虜としての権利が認められるべきだとしています。 イギリスのトラス外相は9日、ツイッターに投稿し「判決を全面的に非難する。彼らは戦争捕虜だ。これは正当性のない偽りの判決だ」として強く非難しました。
ゼレンスキー大統領は演説で「東部のドンバス地域は世界有数の工業地帯で多くの炭鉱や化学工場などが集中している。ロシアの攻撃はウクライナの国土を汚染し、地下水や河川を汚染する」と述べ、工場の破壊などによって黒海やアゾフ海に深刻な水質汚染を引き起こす懸念があると指摘しました。 また黒海に面した港をロシア軍に封鎖され穀物が輸出できなくなっていると述べ、世界の何億人もの人々が食料不足と飢餓の危機にひんしている責任はすべてロシアが背負うべきだと主張しました。
また数百機の無人機、ドローンを受け取ったとしたうえで今後はより強力な攻撃型のドローンの供与に期待を示しました。 レズニコフ国防相は各国の軍事支援に感謝の意を示す一方で「兵器供与のスピードや量には満足していない」として、反転攻勢を実現するための追加の兵器供与を急ぐよう欧米各国に訴えました。
9日に発表された報告書によりますと、被害額の内訳は ▽住宅がおよそ393億ドル ▽道路がおよそ300億ドル ▽企業や工場がおよそ114億ドル ▽民間の空港施設がおよそ68億ドル ▽鉄道の駅や車両がおよそ26億ドルなどとなっています。 一方で、医療機関や学校などへの攻撃も相次いでいるとしたうえで、その被害額は ▽医療機関がおよそ11億ドル ▽教育機関がおよそ16億ドル ▽幼稚園がおよそ5億ドルに上るとしています。
国連の安全保障理事会はアメリカや中国など5つの常任理事国と、任期が2年で地域別に割り当てられた10の非常任理事国で構成され、このうち非常任理事国は毎年5か国ずつ改選されます。 国連総会では9日、来年1月から2年間の非常任理事国を決める選挙が行われ、それぞれの地域から立候補した日本、スイス、マルタ、エクアドル、モザンビークがいずれも当選に必要な3分の2以上の票を得て選出されました。日本が非常任理事国になるのは2016年から17年までの2年間以来、12回目で、国連加盟国の中で最も多くなります。 安保理ではことし2月、ロシアに対してウクライナからの軍の即時撤退などを求めた決議案がロシア自身の拒否権によって否決されるなど、安保理が機能不全に陥っているという批判が高まっています。 非常任理事国として最も多くの経験を持つ日本が世界各地の紛争などへの対応に加え、安保理の権威や信頼の回復に向けどのような役割を果たしていけるのか注目されます。
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