セブン＆アイ グループ再編さいへん計画けいかく発表はっぴょう 企業きぎょう価値かち高たかめるねらい

セブン＆アイ・ホールディングスは、スーパーや専門せんもん店てんなどの事業じぎょうを束たばねる中間ちゅうかん持ち株もちかぶ会社かいしゃ「ヨーク・ホールディングス」を、11日にちに設立せつりつすると発表はっぴょうしました。

▽祖業そぎょうの「イトーヨーカ堂いと-よ-かどう」や「ヨークベニマル」などのスーパーのほか

▽雑貨ざっか店てんの「ロフト」や

▽ベビー用品ようひん店てんの「赤ちゃん本舗あかちゃんほんぽ」など

コンビニ以外いがいの事業じぎょうを分離ぶんりして、中間ちゅうかん持ち株もちかぶ会社かいしゃの傘下さんかに置おく計画けいかくで、外部がいぶのパートナーとなる企業きぎょうを選定せんていして、株式かぶしきを一部いちぶ売却ばいきゃくすることを検討けんとうしているということです。

セブン＆アイとしては、パートナーとなる企業きぎょうの協力きょうりょくも得えながら、赤字あかじが続つづくスーパー事業じぎょうの立て直たてなおしを進すすめるとともに、経営けいえい資源しげんを主力しゅりょくのコンビニ事業じぎょうに集中しゅうちゅうさせ、経営けいえいの効率こうりつ化かを進すすめて企業きぎょう価値かちを高たかめるねらいです。

また、グループの再編さいへんに伴ともなって、会社かいしゃの名前なまえを「セブン－イレブン・コーポレーション」に変更へんこうする方針ほうしんも明あきらかにしました。

一方いっぽう、傘下さんかのセブン銀行ぎんこうについては、最適さいてきな資本しほん関係かんけいのあり方ありかたを検討けんとうするとしています。

会社かいしゃが10日にちに発表はっぴょうした、ことし8月つきまでの半年はんとし間かんのグループ全体ぜんたいの決算けっさんは、コンビニ事業じぎょうの苦戦くせんなどから、本業ほんぎょうのもうけを示しめす営業えいぎょう利益りえきが1869億おく円えん余あまりと、去年きょねんの同おなじ時期じきより22％減少げんしょうしました。

こうした中なか、セブン＆アイに対にたいしてカナダのコンビニ大手おおて「アリマンタシォン・クシュタール」が、新あらたに7兆ちょう円えん規模きぼの買収ばいしゅう提案ていあんを行おこなったことが明あきらかになっていて、10日にち夕方ゆうがたに開ひらかれる決算けっさん発表はっぴょうの会見かいけんで、どのような姿勢しせいを示しめすかが焦点しょうてんとなっています。

グループの祖業そぎょう イトーヨーカ堂いと-よ-かどう

年間ねんかんの売り上うりあげが10兆ちょう円えんを超こえるセブン＆アイ・ホールディングス。

グループの祖業そぎょうであるイトーヨーカ堂いと-よ-かどうの株式かぶしきの売却ばいきゃくは、セブン＆アイにとって大おおきな転換てんかん点てんとなります。

▽イトーヨーカ堂いと-よ-かどうの前身ぜんしんとなる「ヨーカ堂どう」が設立せつりつされたのは、高度こうど経済けいざい成長せいちょう期きに入はいった1958年ねんでした。

叔父おじから洋品ようひん店てんを引き継ひきついだ伊藤いとう雅俊まさとし氏しが創業そうぎょうしました。

アメリカのスーパーマーケットのビジネスモデルを参考さんこうに

▽1960年代ねんだいには、衣料いりょう品ひんに加くわえて食品しょくひんや家庭かてい用品ようひんの販売はんばいも始はじめ、チェーン展開てんかいを進すすめていきます。

主おもに駅前えきまえを中心ちゅうしんとした立地りっちで店舗てんぽ網もうを広ひろげ

▽2015年度ねんどには、全国ぜんこくで180店舗てんぽ以上いじょうを構かまえる総合そうごうスーパーに成長せいちょうしました。

その一方いっぽうで、郊外こうがいに出店しゅってん攻勢こうせいをかける大型おおがたショッピングセンターや、ファストファッションと呼よばれる低てい価格かかくの衣料いりょう品ひん店てんなどに押おされ業績ぎょうせきは低迷ていめいしていて

▽2023年度ねんどまでの4年間ねんかん、最終さいしゅう赤字あかじが続つづいています。

こうしたことから、セブン＆アイは、グループの構造こうぞう改革かいかくを進すすめるため、

▽2023年ねん3月つきに、全体ぜんたいの4分ぶんの1にあたる33店舗てんぽを2026年ねん2月つきまでに削減さくげんすることを決きめました。

そのうえで、スーパー事業じぎょうを分離ぶんりし、主力しゅりょくのコンビニ事業じぎょうに経営けいえい資源しげんを集中しゅうちゅうさせようと、

▽2024年ねん4月つき、2027年度ねんど以降いこうにイトーヨーカ堂いと-よ-かどうなど傘下さんかのスーパー事業じぎょうの株式かぶしきの上場じょうじょうを目指めざす方針ほうしんを明あきらかにしていました。

ただ、食品しょくひん開発かいはつの部門ぶもんで、スーパーとコンビニが連携れんけいするメリットは大おおきいとしていて、セブン＆アイとしては、イトーヨーカ堂いと-よ-かどうなど、スーパー事業じぎょうの株式かぶしきを一定いってい程度ていど保有ほゆうしたうえで、パートナーとなる企業きぎょうの協力きょうりょくを得えながら事業じぎょうの再建さいけんを図はかりたい考かんがえです。

構造こうぞう改革かいかくを進すすめる中なかでの買収ばいしゅう提案ていあん

セブン＆アイ・ホールディングスは、コンビニ事業じぎょうのほか、スーパーや銀行ぎんこう、レストランなど、複数ふくすうの事業じぎょうを傘下さんかに持もつのが特徴とくちょうです。

幅広はばひろい販売はんばい網もうや独自どくじの商品しょうひん開発かいはつを強つよみに事業じぎょうを拡大かくだいさせてきましたが、近年きんねんは「物言ものゆう株主かぶぬし」と呼よばれる投資とうしファンドなどから、収益しゅうえき性せいの高たかいコンビニ事業じぎょうに注力ちゅうりょくするよう求もとめる声こえが高たかまっていました。

このため、

▽2023年ねん9月つきに、大手おおてデパートの「そごう・西武せいぶ」

▽2024年ねん7月つきには、通信つうしん販売はんばいの「ニッセンホールディングス」を、

それぞれ売却ばいきゃくするなど、構造こうぞう改革かいかくを進すすめていました。

こうした中なか、

▽2024年ねん8月つき中旬ちゅうじゅん、セブン＆アイが、カナダのコンビニ大手おおて「アリマンタシォン・クシュタール」から、およそ390億おくドル、日本にっぽん円えんで5兆ちょう8000億おく円えん余あまりの買収ばいしゅう提案ていあんを受うけたことが明あきらかになりました。

ただセブン＆アイは、買収ばいしゅう金額きんがくについて「当社とうしゃの価値かちを著いちじるしく過小かしょう評価ひょうかしている」などとして、提案ていあんを受け入うけいれられないとする内容ないようの書簡しょかんをクシュタール社しゃに送おくっていました。

そうした中なか、

▽10月つき9日にちに、クシュタール社しゃが買収ばいしゅう金額きんがくを、これまでの提案ていあんから2割わり程度ていど増ふやし、7兆ちょう円えん規模きぼに引き上ひきあげたことが明あきらかになりました。

買収ばいしゅう成立せいりつへの期待きたいなどを背景はいけいに、セブン＆アイの株価かぶかは上昇じょうしょうし、9日にちの終値おわりねは、1株かぶ2335円えんと、買収ばいしゅうが明あきらかになる前まえの8月つき中旬ちゅうじゅんに比くらべて、3割わり余あまり高たかい水準すいじゅんとなっています。

このため、セブン＆アイとしては、グループの再編さいへんによって、経営けいえい資源しげんを主力しゅりょくのコンビニ事業じぎょうに注力ちゅうりょくし、経営けいえいの効率こうりつ化かを進すすめて企業きぎょう価値かちを高たかめるねらいがあります。

専門せんもん家か “買収ばいしゅう提案ていあんによって構造こうぞう改革かいかくを急いそぐ状況じょうきょうに”

流通りゅうつう業界ぎょうかいに詳くわしい桃山ももやま学院がくいん大学だいがく経営けいえい学部がくぶの小しょう嶌正せい稔みのり教授きょうじゅは、セブン＆アイの再編さいへん計画けいかくについて、「構造こうぞう改革かいかくを急いそがなければグループ全体ぜんたいが弱よわくなってしまうという意識いしきが背景はいけいにあった。買収ばいしゅう提案ていあんによって一気いっきにやらなければいけない状況じょうきょうに株主かぶぬしとの関係かんけいも含ふくめて追い込おいこまれていた」と指摘してきしました。

そのうえで、「今後こんご、コンビニ事業じぎょうで生き抜いきぬくためには、大おおきな投資とうしが必要ひつようになる。投資とうしを十分じゅうぶんに行おこなうためにも、主力しゅりょくのコンビニに注力ちゅうりょくし、次世代じせだいのコンビニをどうやって作つくっていくのか、ビジョンを明確めいかくにすることが必要ひつようだ」と話はなしていました。