アジア最終予選は各グループの6チームが総当たりで戦い、上位2チームに入れば北中米の3か国で共催するワールドカップの出場権を獲得します。
日本は9月の2試合であわせて12得点をあげ、グループ唯一の2連勝として首位に立ち、10日は2位のサウジアラビアと、一度も勝ったことのないアウェーで対戦しました。
日本は前半14分、三笘薫選手の折り返しをゴール前に上がっていた守田英正選手が頭でつなぎ、最後は鎌田大地選手が押し込んで先制しました。
その後、サウジアラビアがスピードを生かした攻撃と球際の攻防で強さを見せ、日本はボールを持たれる時間帯が続きましたが、粘り強い守備で得点は許さず。
後半36分には伊東純也選手のコーナーキックを途中出場の小川航基選手が頭で合わせて、追加点をあげ、2対0で難敵のサウジアラビアからアウェーで初勝利をあげました。
日本はアジア最終予選で初となる初戦から3連勝で、勝ち点を「9」に伸ばし、2位との差を「5」に広げました。
次の第4戦は10月15日、ホームで強豪のオーストラリアと対戦します。
森保監督「選手たちが粘り強く」
初戦から3連勝とした日本の森保一監督は、「非常に厳しく、難しい戦いだったが、選手たちがいい準備をして粘り強く戦い抜くことをやってくれた結果だと思う。選手たちが高みを目指して成長していることがチームとしての成長につながっている」と選手をたたえました。
今後に向けては、「きょうの勝利をみんなで喜びたいが、次の勝利の保証にはならないので、最善の準備をしたい」とホームで迎えるオーストラリアとの第4戦へ気持ちを切り替えていました。
鎌田大地「うまく押し込めた」
先制点を決めた鎌田大地選手は、「うまく押し込むことができた。『前線の選手はゴール前に入っていけ』と常にチームで言われているので、ああいう形で良いところに入れて良かった」と振り返りました。
前回のアジア最終予選で自身も出場して敗れた、アウェーでのサウジアラビア戦に勝利したことついて、「このスタジアムでプレーすることはすごい難しいことだし、サウジアラビア自体もすごい良いチームなので、難しい試合になるのはわかっていた。前回の経験もあり、無失点で勝利できたのはチームとして良かった」と話しました。
そのうえで次のオーストラリア戦に向け、「ホームでたくさんのファンの方の前でプレーできるので、勝たないといけない。勝つことによって、ワールドカップにすごく近づくと思うので、またみんなで切磋琢磨し合ってやっていきたい」と意気込んでいました。
小川航基「ゴールを決める気持ちで」
途中出場で2点目となるゴールを決めた小川航基選手は、「ゴールを決める、試合を終わらせるという気持ちで試合に入った。僕にはマークがついていなかったので、良いボールさえくれば、絶対にしとめられるなと感じていた。みんなが良い動きをしてくれて、僕のスペースが空いた」と振り返りました。
そのうえで、「完全アウェーの中で、しっかりみんなが良いプレーをしてこういった試合をものにできたことは、自分にとっても良い経験になったし、チームにとってもプラスになった。次はホームでたくさんのサポーターに勝利を届けたい」と話していました。
守田英正「バランスすごくよかった」
鎌田大地選手の先制点をアシストした守田英正選手は「隙があれば前に行くことは狙っていた。大地がいい感じに低い位置に下がることで流動性が生まれて僕が上がるスペースができるなど、バランスがすごくよかったと思う」と連携に手応えを感じていました。
そして、「完全アウェーで歓声もあったなかでしっかり無失点で抑え、複数得点で勝ったことは大きな自信につながると思う」と話していました。
先発メンバーは
サッカー日本代表は、日本時間の11日、午前3時からアウェーでサウジアラビアと対戦しました。先発は5対0で快勝した9月の第2戦のバーレーン戦と同じメンバーとなりました。
サウジアラビア戦の先発メンバーです。
▼ゴールキーパー。
イタリア1部、パルマの鈴木彩艶選手。
▼ディフェンダー。
ベルギー1部、シントトロイデンの谷口彰悟選手。
ドイツ1部、メンヘングラートバッハの板倉滉選手。
ベルギー1部、サンジロワーズの町田浩樹選手。
▼ミッドフィルダー。
ポルトガル1部、スポルティングの守田英正選手。
イングランドプレミアリーグ、リバプールの遠藤航選手。
イングランドプレミアリーグ、ブライトンの三笘薫選手。
フランス1部、モナコの南野拓実選手。
ドイツ1部、フライブルクの堂安律選手。
イングランドプレミアリーグ、クリスタルパレスの鎌田大地選手。
▼フォワード。
オランダ1部、フェイエノールトの上田綺世選手。
じれず 焦らず 難敵攻略
決して簡単な試合ではなかった。
オーストラリアと並び、グループ最大の強敵と目されたサウジアラビアとの一戦。
アウェーでのサウジアラビア戦は過去に3回あるが全敗している。さらに気温30度を越える暑さ、スタンドを埋め尽くすおよそ6万人の相手サポーターの大声援。
大勝したこれまでの2試合とは異なる厳しい状況でも日本は、じれず、焦らず、選手の状況に応じた判断と的確なさい配で難敵を攻略した。
日本の先発の布陣は第2戦のバーレーン戦と同じメンバー、この試合も攻撃的なスリーバックで臨んだ。
試合序盤、勝利が欲しいサウジアラビアが日本の最終ラインのディフェンダー3人に激しいプレッシャーをかけ、ボールを奪いにくる。
後手に回る我慢の時間帯。ここでボランチのキャプテン遠藤が立ち位置を下げて最終ラインの守備をフォロー、守りが安定しそこから攻撃に転じる。
前半14分、右サイドの堂安から左サイドの三笘へロングパス。さらに三笘がダイレクトでゴール前にクロス、守田が頭がつなぎ、最後は鎌田が押し込んで先制点をあげた。
遠藤の機転の利いた判断から、息の合ったコンビネーションで相手を左右に揺さぶり、こじ開けたゴール。ペースを握りながら得点できず、早々に先制されたサウジアラビアにとってはダメージの大きい1点だったろう。
その後、サイドを軸にした攻撃で、再びサウジアラビアに攻め込まれるが体を張った守備やゴールキーパーの好セーブで得点を許さず、1対0で試合を折り返す。
後半は森保監督のさい配がさえた。
両サイドにスピードが持ち味の伊東と前田を投入。この2人がサウジアラビアのサイド攻撃にスピードで対抗する守りでピンチの芽を摘む。
後半36分にはやはり途中出場の小川がコーナーキックを頭で合わせて、貴重な追加点をあげた。
試合後、森保監督が「日本代表は常に選手たちが高みを目指して成長してくれている」と語ったように2対0というスコア以上に、日本がチームとして成熟しつつあり、グループで頭1つ抜けた力をもつことを証明する結果だった。
日本はアジア最終予選で初となる初戦から3連勝。初戦から3戦連続無失点も初めてのことだ。
攻守でほぼ隙のない“大人の戦い”をみせ、勝ち点を「9」に伸ばした日本。2位との勝ち点差を広げ、首位の座をがっちりキープした。