スポーツクライミング世界せかい選手権せんしゅけん 森もり秋あき彩あやが銅どう パリ五輪ごりん代表だいひょう内定ないてい

スイスで行おこなわれているスポーツクライミングの世界せかい選手権せんしゅけんは11日にち、オリンピック代表だいひょう選考せんこうがかかる▼「課題かだい」と呼よばれるコースを制限せいげん時間じかん内ないにいくつ登のぼったかを競きそう「ボルダー」と▼1回かいのトライで壁かべを登のぼり、制限せいげん時間じかん内ないに登のぼった高たかさを競きそう「リード」の2種目しゅもくの合計ごうけい点てんで争あらそう、「ボルダー＆リード」の女子じょし決勝けっしょうが行おこなわれました。

8人にんによる決勝けっしょうに日本にっぽん勢ぜいは▼今こん大会たいかいのリード種目しゅもくで金メダルきんめだるを獲得かくとくした森もり選手せんしゅと、▼東京とうきょうオリンピック銀ぎんメダリストの野中のなか生せい萌もえ選手せんしゅの2人にんが進出しんしゅつしました。

このうち森もり選手せんしゅは、前半ぜんはんのボルダーで4つの課題かだいのうち2つ目めの課題かだいを完かん登とうしました。しかし、最後さいごまで登のぼり切きれたのはこの課題かだいだけで、44.5で6位いにとどまりました。

後半こうはん、得意とくいのリードでは持ち味もちあじの持久じきゅう力りょくと指ゆびの力ちからを生いかしてテンポよく高度こうどを上あげ、最後さいごのホールドまであと少すこしのところで惜おしくも落下らっかし、完かん登とうは逃のがしたものの8人にんの中なかで最もっとも高たかくまで登のぼり、合計ごうけい140.6をマークして銅メダルどうめだるを獲得かくとくしました。

この結果けっか、森もり選手せんしゅは3位い以内いないに与あたえられるオリンピック出場しゅつじょう権けんを獲得かくとくし、来年らいねんのパリオリンピック代表だいひょうに内定ないていしました。

一方いっぽう、野中のなか選手せんしゅは得意とくいのボルダーで4つ目めの課題かだいをただ1人にん完かん登とうするなど5位いにつけましたが、リードでは高度こうどを上あげられず、合計ごうけい93.5で7位いでした。

金メダルきんめだるは、東京とうきょうオリンピックでも金メダルきんめだるを獲得かくとくしたスロベニアのヤンヤ・ガンブレット選手せんしゅで合計ごうけい177点てんと圧倒的あっとうてきな力ちからを見みせました。

森もり秋あき彩あや選手せんしゅ「うれしい もっと強つよくなりたい」

スポーツクライミングの世界せかい選手権せんしゅけん、「ボルダー＆リード」で銅メダルどうめだるを獲得かくとくした森もり秋あき彩あや選手せんしゅはパリオリンピックの代表だいひょうに内定ないていしたことについて「まだ実感じっかんがわいていないが、東京とうきょうオリンピックを見みて、すごいかっこいい舞台ぶたいだと思おもっていたので、その舞台ぶたいに立たてることが決きまってうれしいし、今いまよりもっと強つよくなりたい」と喜よろこびを語かたりました。

ボルダーの6位いから得意とくいのリードで一気いっきに巻き返まきかえした決勝けっしょうについては「リードで上うえの方ほうにいかないといけないと、点数てんすう的てきに無理むりだと思おもっていたが得意とくいとする課題かだいだったので運うんがよかった。うまくメンタルも切り替きりかえられた」と振り返ふりかえりました。

そのうえで「ハードなラウンドで、リードで完かん登とうしたかったので悔くやしいが、表彰台ひょうしょうだいに乗のれてうれしい」と笑顔えがおを見みせていました。

茨城いばらき出身しゅっしん19歳さい 筑波つくば大だい2年生ねんせい

森もり秋あき彩あや選手せんしゅは茨城いばらき県けん出身しゅっしんの19歳さいで筑波つくば大学だいがくの2年生ねんせいです。

小学しょうがく1年生ねんせいの時ときからスポーツクライミングを始はじめ、柔軟じゅうなん性せいや指ゆびの力ちからの強つよさが持ち味もちあじで、特とくに登のぼった高たかさを競きそうリード種目しゅもくを得意とくいとしています。

2019年ねんからワールドカップに参戦さんせんし表彰ひょうしょう台だいに立たつなど活躍かつやくしてきましたが、その後そのごは大学だいがく進学しんがくに向むけた学業がくぎょうを優先ゆうせんさせるため、国際こくさい大会たいかいには出場しゅつじょうしませんでした。

そして去年きょねん、3年ねんぶりにワールドカップに出場しゅつじょうすると、いきなりリードのワールドカップで、東京とうきょうオリンピック金きんメダリストのスロベニアのヤンヤ・ガンブレット選手せんしゅを破やぶって2連勝れんしょうしたほか、「ボルダー＆リード」の2種目しゅもくで実施じっしされた初はじめてのワールドカップでも優勝ゆうしょうを果はたしました。

ことしに入はいっても勢いきおいは止とまらず「ボルダー＆リード」の日本一にっぽんいちを決きめるジャパンカップを制せいしたほか、今回こんかいの世界せかい選手権せんしゅけんでもボルダーでは決勝けっしょうに残のこって6位い、リードではこの種目しゅもくで男女だんじょ通つうじて日本にっぽん勢ぜい初はつの金メダルきんめだるを獲得かくとくしました。

東京とうきょうオリンピックでは、代表だいひょう選考せんこうの過程かていで国際こくさい競技きょうぎ団体だんたいの判断はんだんで出場しゅつじょう権けんが与あたえられず、出場しゅつじょうがかないませんでしたが、得意とくいのリードでの登のぼりを生いかしてパリオリンピックではメダル獲得かくとくが期待きたいされています。

リードで圧倒的あっとうてき強つよさ ボルダー強化きょうかが課題かだい

今こん大会たいかいでは得意とくい種目しゅもくのリードでの圧倒的あっとうてきな強つよさが際立きわだった一方いっぽうで、来年らいねんのオリンピックに向むけてはパワーが要求ようきゅうされるボルダーの強化きょうかという課題かだいも明確めいかくになりました。

身長しんちょう1メートル54センチの森もり選手せんしゅは、持久じきゅう力りょくや柔軟じゅうなん性せいを持ち味もちあじとする一方いっぽうで、腕うでの力ちからが求もとめられる課題かだいや、ホールドの距離きょりがありジャンプが必要ひつような課題かだいなどを苦手にがてとしています。

今回こんかい、ボルダー＆リードの決勝けっしょうでも、前半ぜんはんのボルダーでは、4つの課題かだいのうち、完かん登とうできたのは傾斜けいしゃが緩ゆるやかだった2つ目めの課題かだいのみで、残のこりのパワー系けいの課題かだいでは得点とくてんを伸のばせず、順位じゅんいも6位いと出遅でおくれました。

それでも「悔くやしさを引ひきずったら影響えいきょうするので、楽たのしむ思おもいを持もって」と気持きもちを切り替きりかえ、後半こうはんのリードに臨のぞみました。

パリオリンピックの出場しゅつじょう権けんを獲得かくとくできる3位い以内いないに入はいるには、リードで100点てん中ちゅう「93.3」以上いじょうの高こう得点とくてんが必要ひつようで、完かん登とう目前もくぜんまで登のぼることが求もとめられる状況じょうきょうでした。

そんなプレッシャーの中なかでも、指ゆびの力ちからを生いかしたテンポのいい登のぼりで、決勝けっしょうの8人にんの中なかで誰だれよりも高たかくまで登のぼって巻き返まきかえし大だい舞台ぶたいでメンタルの強つよさを見みせつけました。

その一方いっぽうで、金メダルきんめだるを獲得かくとくした「女王じょおう」、スロベニアのヤンヤ・ガンブレット選手せんしゅには36点てん以上いじょうの大差たいさをつけられ、2種目しゅもくの総合そうごう力りょくの差さを見みせつけられました。

リードで圧倒的あっとうてきな実力じつりょくを持もつ森もり選手せんしゅの課題かだいは明確めいかくで、「ボルダーは世界せかい選手権せんしゅけん全体ぜんたいで苦手にがてな課題かだいが多おおかった。強化きょうかして、ガンブレット選手せんしゅみたいにオールマイティーな選手せんしゅになりたい」とボルダーの強化きょうかに向むけた決意けついを語かたりました。

「もっと強つよくなりたい」と常つねに課題かだいを口くちにして、世界せかいトップレベルまで登のぼりつめた森もり選手せんしゅ。

来年らいねんのパリオリンピックまでにどこまでボルダーを強化きょうかできるかが、さらなる進化しんかにつながります。

野中のなか生なま萌もえ選手せんしゅ「目標もくひょうに向むかってやるだけ」

スポーツクライミングの世界せかい選手権せんしゅけん、「ボルダー＆リード」で7位いだった野中のなか生なま萌もえ選手せんしゅは「何なにが足たりないかが明確めいかくだし、伸のびてきていることも明確めいかくなので、やるべきことはわかっている。それをひたすら目標もくひょうに向むかってやるだけだと思おもう」と前まえを向むきました。

決勝けっしょうでは、ボルダーの4つ目めの課題かだいでただ1人にん完かん登とうするなど力ちからも見みせ、「悪わるい流ながれの中なかでの完かん登とうだったしほかに誰だれも登のぼれなかったので、価値かちのある1本ほんだった。諦あきらめずにできることを、コツコツとやっていきたい」と話はなしていました。

スポーツクライミング パリ五輪ごりん 2種目しゅもくに分わけ実施じっしへ

スポーツクライミングは、東京とうきょうオリンピックでは、3種目しゅもくによる「複合ふくごう」として実施じっしされましたが、パリ大会たいかいでは「ボルダー＆リード」と「スピード」の2つの種目しゅもくに分わけて行おこなわれます。

スポーツクライミングは3種目しゅもくの複合ふくごうとして実施じっしされた東京とうきょう大会たいかいではそれぞれの種目しゅもくの順位じゅんいをかけ合あわせて、その数字すうじが最もっとも少すくない選手せんしゅが上位じょういとなる形式けいしきで行おこなわれました。

パリ大会たいかいではこれを見直みなおして、いわゆる“複合ふくごう”種目しゅもくとなる「ボルダー＆リード」では、ボルダーとリードの各かく種目しゅもくに最高さいこうで100点てんが与あたえられ、その合計ごうけい得点とくてんで順位じゅんいが決きまる方式ほうしきとなります。

このうち、4つの課題かだいが設もうけられるボルダーでは、コースの途中とちゅうにある「ゾーン」と呼よばれるポイントに到達とうたつすると得点とくてんが得えられ、1つの課題かだいを最後さいごまで登のぼり切きると25点てんが与あたえられます。

また、1回かいのトライで壁かべを登のぼった高たかさを競きそうリードは、頂上ちょうじょうまで登のぼる1手てごとに得点とくてんが加算かさんされていく形式けいしきで完かん登とうすると100点てんとなります。

選手せんしゅたちには、パワーが求もとめられるボルダーと、持久じきゅう力りょくが求もとめられるリードの2種目しゅもくを高たかいレベルでこなす技術ぎじゅつと体力たいりょくが要求ようきゅうされます。

一方いっぽうの「スピード」は、世界せかい共通きょうつうのルートが設定せっていされた高たかさ15メートルの壁かべを登のぼるタイムを競きそう種目しゅもくで、パリオリンピックでは単独たんどくの種目しゅもくで行おこなわれることから、とにかく登のぼる速はやさを極きわめてきた選手せんしゅたちの争あらそいとなります。

決勝けっしょうラウンドはトーナメント方式ほうしきで行おこなわれ、フライングや落下らっかですぐに敗退はいたいとなることから、選手せんしゅには、陸上りくじょうの短距離たんきょり走はしのような瞬発しゅんぱつ力りょくと反応はんのう速度そくどに加くわえ、ミスができないという緊張きんちょう感かんも見みどころのひとつです。