石油元売りの「コスモ石油」やプラント大手の「日揮ホールディングス」などが設立した会社が運営し、2025年の稼働を見込んでいます。
国内でSAFの量産のための施設が建設されるのは初めてだとしています。
従来の燃料と比べて、二酸化炭素の排出量を80%程度抑えられるとされます。
SAFが重視される理由は、脱炭素社会の実現に向けて切迫した事情があります。
SAFの先進地で環境意識の高いヨーロッパでは、飛行機を利用することを「飛び恥」、つまり飛ぶのは恥ということばもあるほど。 航空会社には厳しい目が向けられています。 民間の航空機の運航ルールを定めるICAO=国際民間航空機関も2050年に国際線の航空機が排出する二酸化炭素の量を実質ゼロにすることを目標にしています。 そのため、機体の軽量化や効率化も進められていますが、限界があるといいます。 ほかのエネルギーに目を向けても、EVなどで活用されるバッテリーは重量があって旅客機には向いていないとされ、水素を燃料とするにはインフラ整備が必要といった理由で、すぐに導入するのは難しいとみられています。 旅客機が強力な推進力を得るにはジェット燃料に頼らざるを得ず、そこで注目されているのが、従来の化石由来の燃料に置き換えて利用できる、SAFなのです。
今、争奪戦とも言える状況が起きています。 京都市に本社がある、使用済み油の回収や、燃料の製造を行う会社「レボインターナショナル」の京都府八幡市にある事業所。 こちらには毎日、およそ10台のトラックが関西を中心に飲食店などから回収しています。 会社は現在、回収した油を、車向けのバイオディーゼル燃料の原料などとして活用していて、堺市の工場が稼働すればSAF向けに供給を始める予定です。
かつては多くの回収業者が飲食店などから代金をもらって引き取っていましたが、需要の高まりに伴って、今では回収業者が逆に代金を支払って買い取るケースが増えているというのです。 このため、より高い代金を支払う業者に顧客を奪われてしまうこともあるといいます。 こうした“争奪戦”が起きている背景について、業界団体の全国油脂事業協同組合連合会は、いち早くSAFの製造に乗り出したヨーロッパなどで、使用済みの油への需要が高まっていることがあると分析しています。
ほとんどが家畜の飼料の原料などとして利用されてきました。 ところが、近年海外向けの需要が急激に高まり、令和3年度には、3割にあたる12万トンが輸出されました。 需要の高まりに伴って、輸出の際の取引価格は、およそ2.6倍に急騰。 使用済み油の価値は急上昇し、争奪戦につながっているというのです。
堺市で建設される施設を運営する会社は、サプライチェーンを確立して、安定的に確保する計画です。 ことし4月には、大阪に本社がある回転ずしチェーン大手の「スシロー」を運営する会社から協力を得ることが決まりました。 およそ680の店舗で天ぷらなどの揚げ物を調理したあとの油を提供してもらいます。 SAFの原料確保のため、複数の飲食チェーンから協力を得る計画です。
いま、家庭から出る使用済み油にも熱い視線が向けられつつあります。 その量は年間10万トン。 飲食店からの40万トンに比べて決して少ない量ではありませんが、実はほとんどが廃棄されています。 一部のスーパーでは回収する動きもありますが、SAFの製造が本格化していくと、こうした動きがさらに広がっていくとみられます。 私たちが家庭で使った油で、飛行機を飛ばす日が来るかもしれませんね。 (ほっと関西機動班:藤本将太、加藤拓巳、小野明良、當麻陽香、横山翔太、松浦宏斗)
SAFとは
使用済み食用油“争奪戦”!?
安定確保に向けて
家庭の使用済み油も!?
その使用済みの食用油を、新たに飛行機の燃料に変える大規模な施設ができることになりました。
その燃料はSAF=Sustainable Aviation Fuel、持続可能な航空燃料と呼ばれ、今、熱い視線が注がれています。
SAFってなに?そして、どんな課題があるんでしょうか?
堺 国内初の大規模生産目指す施設の起工式