Japanese News: 卵の卸売価格 4か月連続で最高値影響は? いつまで続く?

31日にちに発表はっぴょうされた5月つきの卵たまごの卸売おろしうり価格かかくは、飼料しりょう価格かかくの高騰こうとうや鳥とりインフルエンザの影響えいきょうによる卵たまごの出荷しゅっか数すうの減少げんしょうで、4か月かげつ連続れんぞくの最さい高値たかねとなりました。

高値たかねが続つづく中なか、都内とないでは、大学だいがくの食堂しょくどうが値上ねあげ幅はばを最小さいしょう限げんに抑おさえる形かたちで一部いちぶのメニューの値上ねあげに踏み切ふみきる一方いっぽう、週しゅうに一いち度どの特売とくばいを続つづけているスーパーもあります。

卵たまごの供給きょうきゅう不足ふそくが世界せかいにも広ひろがる中なかで、卵たまごの需給じゅきゅうや価格かかくの見通みとおしについて、専門せんもん家かに聞ききました。

5月つきの平均へいきん価格かかく350円えん前年ぜんねん比ひ59.8％↑

卵たまごの卸売おろしうり価格かかくの目安めやすとなる「JA全農ぜんのうたまご」の東京とうきょう地区ちくでのMサイズ1キロあたりの5月つきの平均へいきん価格かかくは350円えんで、去年きょねんの同おなじ月つきと比くらべて131円えん、率りつにして59.8％値上ねあがりしました。

価格かかくは統計とうけいが公表こうひょうされている1993年ねん以降いこう最もっとも高たかくなった4月つきから横よこばいとなり、4か月かげつ連続れんぞくの最さい高値たかねとなりました。

農林水産省のうりんすいさんしょうによりますと、例年れいねん、卵たまごの価格かかくはクリスマスケーキやおせち料理りょうり向むけの需要じゅようが多おおい12月つきをピークに下さがる傾向けいこうにあります。

ただ、今こんシーズンはロシアによるウクライナ侵攻しんこうの影響えいきょうでとうもろこしなどの飼料しりょう価格かかくの高騰こうとうが続つづいています。

さらに年明としあけ以降いこうも鳥とりインフルエンザの発生はっせいが相次あいつぎ、今こんシーズン処分しょぶんされた、卵たまごをとるためのニワトリは1600万まん羽わを超こえて過去かこ最多さいたとなり、卵たまごの出荷しゅっか数すうが減へっていることが高値たかねが続つづく要因よういんだとしています。

農林水産省のうりんすいさんしょうによりますと国内こくないの養鶏ようけい場じょうでは4月つき8日にち以降いこう、鳥とりインフルエンザの発生はっせいは確認かくにんされていません。

また一部いちぶの養鶏ようけい業者ぎょうしゃは出荷しゅっかを再開さいかいしていますが、農林水産省のうりんすいさんしょうは卵たまごの供給きょうきゅうが回復かいふくするまでには1年ねんほどかかる可能かのう性せいがあるとしています。

大学だいがく食堂しょくどうで卵たまごを使つかったメニュー値上ねあげ

東京とうきょう・豊島としま区くの立教りっきょう大学だいがくの第だい一いち食堂しょくどうでは卵たまごの仕入しいれ価格かかくの上昇じょうしょうが続つづく中なか、4月つきには卵たまごを使つかったメニューなどの値上ねあげに踏み切ふみきりました。

しかし、仕送しおくりやバイト代だいなどで生活せいかつする学生がくせいも多おおいことから、値上ねあげ幅はばは10円えんから20円えん程度ていどと最小さいしょう限げんに抑おさえたということです。

またこれまで温泉おんせん卵たまごとセットで提供ていきょうしていた一部いちぶのメニューについては、温泉おんせん卵たまごを別べつ料金りょうきんにしました。

温泉おんせん卵たまごの購入こうにゅうを学生がくせい自身じしんが選択せんたくできるようにするとともに、メニュー自体じたいの価格かかく上昇じょうしょうを最小さいしょう限げんに抑おさえるためだとしています。

しかし、卵たまごを使つかったメニューは人気にんきで販売はんばい量りょうも多おおいため、値上ねあげ幅はばを最小さいしょう限げんに抑おさえている現状げんじょうでは、利益りえきを押し下おしさげる一因いちいんになっているということです。

食堂しょくどうを利用りようしている3年生ねんせいの学生がくせいは「500円えん以下いかのメニューが多おおいので助たすかります。値上ねあげも気きづきませんでした」と話はなしていました。

食堂しょくどうを運営うんえいする平井ひらい秀樹ひできさんは「学生がくせいに喜よろこんでもらうのが一番いちばんなので、大おおきな値上ねあげにならないことを最さい優先ゆうせんに努力どりょくしているが、うちは丼どんぶり物ぶつが中心ちゅうしんで卵たまごが欠かかせないのでかなり厳きびしい。卵たまごの値段ねだんがこれ以上いじょう上あがってほしくないのが正直しょうじきなところです」と話はなしていました。

卵たまごの特売とくばいを続つづけるスーパーも

東京とうきょう・墨田すみだ区くのスーパーでは、卵たまごの仕入しいれ価格かかくが上昇じょうしょうする中なかでも、週しゅうに一いち度どの特売とくばいを続つづけています。

この店みせでは、毎週まいしゅう火曜日かようびにSサイズの卵たまごが10個こ入はいったパックを従来じゅうらいの価格かかくより30円えんほど安やすく販売はんばいする特売とくばいを行おこなっていて、5月つき30日にちも開店かいてんと同時どうじに多おおくの買い物かいもの客きゃくが訪おとずれていました。

スーパーによりますと、特売とくばいによる利益りえきはほとんど出でないということですが、特売とくばいを目当めあてにした来店らいてん客きゃくも多おおいことから、今後こんごも続つづけることにしています。

買い物かいものに来きた30代だいの女性じょせいは「価格かかくが高たかいので卵たまごを食たべる頻度ひんどは減へりました。お菓子おかしを作つくるときは豆腐とうふで代用だいようするなどしています。ここは安やすいので助たすかります」と話はなしていました。

また、そば屋やを営いとなむ60代だいの男性だんせいは「安やすいスーパーを探さがして回まわっています。カツ丼どんぶりなどお店みせで卵たまごをよく使つかうので価格かかくが高たかいと困こまります」と話はなしていました。

スーパーイズミの五味ごみ衛まもる社長しゃちょうは「以前いぜんと比くらべると特売とくばいの価格かかくはかなり上あがっているものの、お客おきゃくさんからは好評こうひょうです。少すこしでも安やすくしてより多おおくのお客おきゃくさんに喜よろこんでもらいたい」と話はなしていました。

卵たまごの供給きょうきゅう不足ふそく世界せかい各国かっこくに広ひろがる

卵たまごの供給きょうきゅう不足ふそくは日本にっぽんだけにとどまらず、世界せかい各国かっこくに広ひろがっています。

その原因げんいんとなった鳥とりインフルエンザの感染かんせんは、去年きょねん7月つき以降いこう、北米ほくべいやヨーロッパ、それにロシアやインドなど、世界せかいの広ひろい地域ちいきで確認かくにんされています。

とりまとめた農林水産省のうりんすいさんしょうは、「これまでにない規模きぼの感染かんせん状況じょうきょうだ」としています。

こうした中なか、注目ちゅうもくを集あつめているのが南米なんべい・ブラジルです。

世界せかい有数ゆうすうのニワトリの生産せいさん国こくですが、これまでのところ、ニワトリへの鳥とりインフルエンザの感染かんせんは確認かくにんされていません。

このため、日本にっぽんの企業きぎょうの間までは、ブラジルからの卵たまごの輸入ゆにゅうを増ふやす動うごきが相次あいついでいます。

食品しょくひん大手おおてのキユーピーは、近ちかくブラジルから卵たまごを輸入ゆにゅうすることを決きめ、パンや菓子かしなどの原料げんりょうとなる業務ぎょうむ用ようの液えき卵たまごの一部いちぶに使つかうことにしています。

また、業務ぎょうむ用ようの液えき卵たまごの専業せんぎょうメーカーで最大さいだい手しゅのイフジ産業さんぎょうは、国内こくないだけで原料げんりょうを調達ちょうたつするには限界げんかいがあるとして、原料げんりょうの8％程度ていどをブラジル産さんに切り替きりかえる計画けいかくです。

財務省ざいむしょうの貿易ぼうえき統計とうけいによりますと、パンや菓子かしなどに加工かこうされる殻から付つきの卵たまごのブラジルから日本にっぽんへの輸入ゆにゅう量りょうは、感染かんせん拡大かくだい前まえの去年きょねん4月つきはわずか38キロでしたが、ことし4月つきは、406トンあまりと大幅おおはばに増ふえています。

ただ、世界せかい各国かっこくからの引き合ひきあいもあって、ブラジル産さんの卵たまごの卸売おろしうり価格かかくは上昇じょうしょうしています。

卵たまごの流通りゅうつうに詳くわしい専門せんもん家かで「日本にっぽん養鶏ようけい協会きょうかい」のエグゼクティブアドバイザーを務つとめる東京とうきょう農業のうぎょう大学だいがくの元もと教授きょうじゅ、信岡のぶおか誠治せいじさんによりますと、ことし4月つきのブラジル産さんの卵たまごの卸売おろしうり価格かかくは、日本にっぽん円えんで1キロあたりおよそ420円えんと、去年きょねんの同おなじ月つきと比くらべておよそ2倍ばいに上昇じょうしょうしています。

この価格かかくは、国産こくさんの卵たまごと比くらべて2割わりほど高たかい価格かかくです。

さらに、ブラジルでは、5月つきになって鳥とりインフルエンザの野鳥やちょうへの感染かんせんが新あらたに確認かくにんされました。

今後こんご、仮かりに、ニワトリへの感染かんせんが確認かくにんされた場合ばあいは、輸入ゆにゅうへの影響えいきょうも懸念けねんされます。

国産こくさんの卵たまごの供給きょうきゅう不足ふそくをブラジルからの輸入ゆにゅうで補おぎなう手段しゅだんがどこまで有効ゆうこうになるかは不透明ふとうめいとなっています。

専門せんもん家か「今後こんごも高値たかねが続つづく」

卵たまごの需給じゅきゅうや価格かかくの見通みとおしについて、東京とうきょう農業のうぎょう大学だいがく元もと教授きょうじゅの信岡のぶおか誠治せいじさんは、供給きょうきゅう不足ふそくと高値たかねの状態じょうたいが長期ちょうき化かする見通みとおしを示しめしています。

このなかで信岡のぶおかさんは、鳥とりインフルエンザの世界せかい的てきな感染かんせんについて「アメリカやヨーロッパだけですでに1億おく羽わを超こえるニワトリの処分しょぶんを行おこなっていて、鳥とりインフルエンザの発生はっせいが止とまらない状況じょうきょうだ。渡り鳥わたりどりが飛来ひらいする時期じきが過すぎても、国内こくないにいる野鳥やちょうがウイルスを持もっている状況じょうきょうが続つづくとみている。ウィズコロナではないが、どのようにしてウイルスと共存きょうぞんしていくのか、深刻しんこくに捉とらえている」と述のべ、感染かんせんの広ひろがりが長期ちょうき化かする可能かのう性せいを指摘してきしました。

また、卵たまごの需給じゅきゅうや価格かかくの見通みとおしについては「処分しょぶんしたニワトリの供給きょうきゅうが回復かいふくするには1年ねん近ちかくかかることに加くわえて、海外かいがいから輸入ゆにゅうしたくても十分じゅうぶんにはできない厳きびしい状況じょうきょうが続つづいている。餌えさやエネルギーのコストが下さがるめども立たっていないため、以前いぜんのように1パック100円えんのような特売とくばいにはならず、生産せいさん者しゃもそうした販売はんばいに耐たえられる体力たいりょくはない。今後こんごも1パック300円えん程度ていどの高値たかねが続つづくとみている」と述のべました。