サッカーJ2 町田まちだゼルビアが勝利しょうりし初はつのJ1昇格しょうかく決定けってい

首位しゅいのゼルビアは22日にち、勝かてば3試合しあいを残のこして2位い以内いないが確定かくていし来らいシーズンのJ1昇格しょうかくが決きまる状況じょうきょうで、アウェーでロアッソ熊本くまもとと対戦たいせんしました。

お互おたがい得点とくてんを奪うばえずに迎むかえた前半ぜんはん44分ふん、ゼルビアは黒田くろだ剛つよし監督かんとくの青森あおもり山田やまだ高校こうこう時代じだいの教え子おしえごで19歳さいの宇野うの禅ぜん斗と選手せんしゅが強烈きょうれつなミドルシュートを決きめて先制せんせいしました。

後半こうはんもゼルビアは主導しゅどう権けんを渡わたさず、7分ふん、ゴール前まえでパスを受うけた高橋たかはし大悟たいご選手せんしゅが左足ひだりあしでシュートを決きめて追加ついか点てんを挙あげました。

その9分ふん後ごには下田しもだ北斗ほくと選手せんしゅがこぼれ球だまを豪快ごうかいに押し込おしこんで3点てん目めを挙あげました。

ゼルビアはロアッソに3対たい0で勝かって勝かち点てんを78とし、3試合しあいを残のこして2位い以内いないを確定かくていさせてクラブ史上しじょう初はじめてのJ1昇格しょうかくを決きめました。

黒田くろだ監督かんとく「高校こうこう指導しどう者しゃの28年間ねんかんがあってこその1年ねん」

就任しゅうにん1年ねん目めでチームをJ1昇格しょうかくに導みちびいた黒田くろだ剛つよし監督かんとくは「この1年間ねんかん、誰だれ1人にん脱落だつらくすることなくチームの勝利しょうりのために誠実せいじつに向き合むきあってくれた。本当ほんとうにチームのために尽力じんりょくしてくれた仲間なかまたちが、きょうも仲間なかまのために走はしりに走はしって町田まちだの歴史れきしを変かえてくれたことに感謝かんしゃの思おもいでいっぱいだ」と話はなしました。

そのうえで青森あおもり山田やまだ高校こうこうの監督かんとくからプロチームの監督かんとくとして戦たたかったこの1年ねんについて聞きかれると「常つねに不安ふあんと背中せなかあわせで毎晩まいばん眠ねむれない日々ひびが続つづいたが、高校こうこうの指導しどう者しゃとしての28年間ねんかんがあったからこそ、ことし1年ねんのチャレンジができたと思おもう。青森あおもり山田やまだの関係かんけい者しゃも含ふくめてすべての人ひとに感謝かんしゃしたい」と目めに涙なみだを浮うかべながら話はなしていました。

主将しゅしょう 奥山おくやま選手せんしゅ“多おおくの人ひとの支ささえでなしえたもの”

町田まちだゼルビアのキャプテン、奥山おくやま政幸まさゆき選手せんしゅは「うれしい気持きもちとホッとした気持きもちが強つよい。自分じぶんたちが勝ち得かちえたものは、これまでゼルビアを支ささえ続つづけてくれた多おおくの人ひとの力ちからによってなしえたものだ。悲願ひがんをやっとつかむことができて本当ほんとうにうれしい」と興奮こうふん気味ぎみに話はなしました。

そのうえで「目標もくひょうの1つは達成たっせいしたがシーズン当初とうしょに掲かかげたJ2優勝ゆうしょうという目標もくひょうは残のこっている。次つぎの試合しあい、ホームで決きめて皆みなさんと喜よろこびを分わかち合あいたい」と話はなしていました。

高橋たかはし選手せんしゅ「悔くやしい思おもいをしてきた仲間なかまのためにも戦たたかった」

2点てん目めを決きめた高橋たかはし大悟たいご選手せんしゅは「シーズン中ちゅうに悔くやしい思おもいをした選手せんしゅがどんなときも腐くさらず一生いっしょう懸命けんめいやってきたのがきょうの僕ぼくのゴールにつながった。試合しあいに出でている選手せんしゅだけじゃなくて、悔くやしい思おもいをしながらやってきた仲間なかまのためにも戦たたかった。勝かてて良よかった」と話はなしました。

そして自身じしんのゴールについては「いつもは格好かっこうつけて打うつところだったが、きょうは気持きもちを込こめて思おもいきって打うった。試合しあいに出でていないたくさんの選手せんしゅの思おもいが乗のったゴールだと思おもう」と振り返ふりかえっていました。

町田まちだゼルビアとは

町田まちだゼルビアは東京とうきょう・町田まちだ市しをホームタウンとするクラブで、1977年ねん地域ちいきの小学生しょうがくせいの選抜せんばつチーム「FC町田まちだ」をスタートとし、1989年ねんにトップチームが作つくられました。

1998年ねんにはクラブ名めいが「町田まちだゼルビア」となり、2012年ねんにクラブとして初はじめてJ2でプレーしましたが、その後そのごはJFLやJ3を経験けいけんするなど成績せいせきは安定あんていしませんでした。

2018年ねんJ2で初はじめて優勝ゆうしょう争あらそいをして最終さいしゅう的てきに過去かこ最高さいこうの4位いにつけましたが、スタジアムの収容しゅうよう人数にんずうや練習れんしゅう施設しせつがJ1の基準きじゅんを満みたさず、J1参入さんにゅうトーナメントに参加さんかできませんでした。

ただ、この年としに経営けいえい権けんを取得しゅとくした大手おおてIT企業きぎょうの「サイバーエージェント」が施設しせつ整備せいびなどを進すすめ、2019年ねん9月つきに念願ねんがんのJ1ライセンスが交付こうふされました。

今こんシーズンは青森あおもり山田やまだ高校こうこうを率ひきいて全国ぜんこく高校こうこうサッカー選手権せんしゅけんで3回かいの優勝ゆうしょうを果はたした黒田くろだ剛つよし監督かんとくが就任しゅうにんして初はつのJ1昇格しょうかくを目指めざしました。

昨さくシーズン、J2で15位いに終おわったチームは黒田くろだ監督かんとくのもと、特とくに守備しゅび面めんの強化きょうかに取り組とりくみ、開幕かいまくから7試合しあい負まけなしと快かい進撃しんげきを見みせました。

シーズン中ちゅうもJリーグで実績じっせきのある外国がいこく人じん選手せんしゅを獲得かくとくするなど補強ほきょうを行おこない、4月つき16日にちに首位しゅいとなって以降いこう、1度どもその座ざを明け渡あけわたさずにJ1昇格しょうかくを決きめました。

黒田くろだ剛つよし監督かんとくとは

町田まちだゼルビアをJ1初はつ昇格しょうかくに導みちびいた黒田くろだ剛つよし監督かんとくは札幌さっぽろ市し出身しゅっしんの53歳さい。

大阪おおさか体育たいいく大だいを卒業そつぎょう後ご、ホテル勤務きんむなどを経へて1994年ねんに青森あおもり山田やまだ高校こうこうのコーチとなり、翌年よくねんに監督かんとくに就任しゅうにんしました。

青森あおもり山田やまだ高校こうこうでは28年間ねんかんにわたって指揮しきをとり、全国ぜんこく屈指くっしの強豪きょうごう校こうに育て上そだてあげて全国ぜんこく高校こうこうサッカー選手権せんしゅけんで3回かいの優勝ゆうしょうを果はたしました。

育成いくせい手腕しゅわんに定評ていひょうがあり、元もと日本にっぽん代表だいひょうの柴崎しばざき岳たけし選手せんしゅや来年らいねんのパリオリンピックを目指めざす22歳さい以下いかの日本にっぽん代表だいひょうでFC東京とうきょうの松木まつき玖生せい選手せんしゅなど、40人にん以上いじょうのJリーガーを育そだてました。

そして、今こんシーズン前まえに町田まちだゼルビアから監督かんとくのオファーを受うけると「プレッシャーや期待きたいを受うけながら、人生じんせい最後さいごのチャレンジをしたい」と初はじめてプロチームのかじ取かじとりに身みを投とうじました。

ゼルビアではボールを持もった相手あいてに前線ぜんせんからプレッシャーをかける「ハイプレス」を浸透しんとうさせ、堅かたい守備しゅびから攻撃こうげきに移うつる流ながれを作つくり、昨さくシーズンに比くらべて失点しってんを減へらしました。

また、ロングスローなどを効果こうか的てきに使つかう戦術せんじゅつで勝ち星かちぼしを重かさね、就任しゅうにん1年ねん目めでチームを悲願ひがんのJ1昇格しょうかくに導みちびきました。

地元じもとではPV 大勢たいせいのサポーターが集あつまる

地元じもとのショッピングモールで行おこなわれたパブリックビューイングには260組くみ分ぶんの整理せいり券けんがすぐになくなるほどの、大勢たいせいのサポーターが集あつまりました。

試合しあいは前半ぜんはん44分ふん、宇野うの禅ぜん斗と選手せんしゅが、強烈きょうれつなミドルシュートを決きめて町田まちだが先制せんせいすると、会場かいじょうは大おおきな歓声かんせいで盛り上もりあがりました。

後半こうはんに入はいってからも攻撃こうげきの手てを緩ゆるめない町田まちだは立て続たてつづけに2点てんを奪うばいリードを広ひろげました。

試合しあいは町田まちだが3対たい0で勝利しょうりして2位い以内いないが確定かくていし、初はじめてのJ1昇格しょうかくを決きめました。

試合しあい終了しゅうりょうの瞬間しゅんかん、会場かいじょうは総立そうだちになり、中なかには涙なみだを流ながす人ひともいて、サポーターどうしが喜よろこびを分わかち合あってました。

6年ねん前まえから応援おうえんしている30代だいの男性だんせいは「過去かこにはライセンスの問題もんだいで昇格しょうかくできないなど紆余うよ曲折きょくせつもあったのでめちゃくちゃうれしいです」と話はなしていました。

20年来ねんらいのファンという50代だいの女性じょせいは「まさかここまで来くるとは思おもっていなかったので、すごくうれしくて涙なみだが出でそうです」と話はなしていました。