日本新聞: 大阪医療ひっ迫救急搬送に4時間倒れても搬送されない場合も

新型しんがたコロナウイルスの感染かんせん拡大かくだいで病床びょうしょうがひっ迫ひっぱくしています。

大阪おおさかでは、自宅じたくで療養りょうようしている患者かんじゃの容体ようだいが急変きゅうへんして救急きゅうきゅう車しゃを呼よんでも、受け入うけいれ先さきの病院びょういんが決きまらず、搬送はんそうにおよそ4時間じかんかかったケースもあります。

すぐに治療ちりょうを受うけられない事態じたいになっています。

大阪おおさかの20日にちの時点じてんの重症じゅうしょう患者かんじゃ用ようの運用うんよう率りつは99.2％となっていて、これとは別べつに60人にんの重症じゅうしょう患者かんじゃが軽症けいしょう・中等ちゅうとう症しょうの患者かんじゃ用ようの病床びょうしょうで治療ちりょうを受うけています。

これに伴ともない、軽症けいしょう・中等ちゅうとう症しょうの患者かんじゃ用ようの病床びょうしょう運用うんよう率りつも79.9％に達たっしています。

このため、自宅じたくや宿泊しゅくはく施設しせつで療養りょうようしている患者かんじゃの容体ようだいが急変きゅうへんして救急きゅうきゅう車しゃを呼よんでも、長時間ちょうじかんにわたって受け入うけいれ先さきが見みつからない事態じたいになっています。

東大阪ひがしおおさか市し消防しょうぼう局きょくによりますと、今月こんげつ10日にちから16日にちまでの1週間しゅうかんに新型しんがたコロナ患者かんじゃを搬送はんそうした際さい、現場げんばに着ついてから病院びょういんに向むけて出発しゅっぱつするまで、平均へいきんで46分ふん余あまりの時間じかんがかかったということです。

ここ数すう日にちは、数すう時間じかんがかかるケースも相次あいついでいて、20日にちは自宅じたくで療養りょうよう中ちゅうに容体ようだいが悪化あっかした50代だいの男性だんせい患者かんじゃを搬送はんそうするのに、およそ4時間じかんかかりました。

東大阪ひがしおおさか市し消防しょうぼう局きょく警防けいぼう部ぶ通信つうしん指令しれい室しつの担当たんとう者しゃは、コロナ患者かんじゃの搬送はんそうが増ふえても、万全ばんぜんの態勢たいせいを取とって対応たいおうにあたっているとしたうえで「長時間ちょうじかんの搬送はんそうが続つづくと、その隊たいがほかの事案じあんに出動しゅつどうできなくなる。その分ぶんほかの隊たいの負担ふたんも増ふえるし市民しみんサービスの低下ていかも懸念けねんされる」としています。

コロナ患者かんじゃ搬送はんそう 1時間じかん超ちょうが270件けん前週ぜんしゅうの5倍ばい以上いじょうに　

新型しんがたコロナの患者かんじゃの搬送はんそうに長ながい時間じかんがかかるケースは各地かくちで増ふえています。

大阪おおさか市し消防しょうぼう局きょくのまとめによりますと、新型しんがたコロナの患者かんじゃを搬送はんそうする際さい、現場げんば到着とうちゃくから病院びょういんに向むけて出発しゅっぱつするまでに1時間じかん以上いじょうかかったケースは、先週せんしゅうは270件けん。

感染かんせん拡大かくだいにともなって急増きゅうぞうし、前まえの週しゅうの5倍ばい以上いじょうになりました。

病床びょうしょうのひっ迫ひっぱくに伴ともない、コロナ患者かんじゃ以外いがいの搬送はんそうにも影響えいきょうが出でています。

消防しょうぼうでは、救急きゅうきゅう搬送はんそうの際さい、患者かんじゃのもとに到着とうちゃくしてから出発しゅっぱつまでに30分ふん以上いじょうかかった上うえ、4か所かしょ以上いじょうの病院びょういんに受け入うけいれ可能かのうか照会しょうかいしたケースを「救急きゅうきゅう搬送はんそう困難こんなん事案じあん」としています。

多おおくはコロナ患者かんじゃ以外いがいを搬送はんそうするケースだということですが、大阪おおさか市し消防しょうぼう局きょくの管内かんないでは先週せんしゅうが281件けんと、先月せんげつ22日にちからの1週間しゅうかんに比くらべて100件けん以上いじょう増ふえました。

各地かくちの消防しょうぼうでは、新型しんがたコロナで、搬送はんそうに長時間ちょうじかんかかるケースが増ふえると急病きゅうびょうや事故じこといったそれ以外いがいの搬送はんそうにも影響えいきょうが出でかねないと危機きき感かんを抱だいています。

自宅じたくなどでの療養りょうよう者しゃ 8500人にん余よ

大阪おおさか府内ふないでは、医療いりょうのひっ迫ひっぱくで、新型しんがたコロナの感染かんせんが確認かくにんされたあと、長期ちょうき間かん、自宅じたくでの療養りょうようを余儀よぎなくされている人ひともいます。

20日にち時点じてんで8500人にんあまりと、この2週間しゅうかんで3倍ばい以上いじょうに急増きゅうぞうしています。

陽性ようせいが確認かくにんされたあと、直接ちょくせつ、医師いしの診察しんさつを受うけることができず、不安ふあんを抱かかえたまま自宅じたく療養りょうようを余儀よぎなくされている人ひとも少すくなくありません。

救急きゅうきゅう車しゃ2回かい呼よんでも搬送はんそうされず

妻つまと大学生だいがくせいと高校生こうこうせいの子こどもの5人にんで暮くらす大阪おおさか市内しないの50代だいの男性だんせいの家いえでは、今月こんげつ5日にち、無む症状しょうじょうだった大学生だいがくせいの息子むすこの感染かんせんが確認かくにんされました。

しかし、宿泊しゅくはく療養りょうようの施設しせつに空あきがないとして、息子むすこは自宅じたく療養りょうようとなりました。

翌日よくじつ、50代だいの妻つまが発熱はつねつし、PCR検査けんさの結果けっか、妻つまも今月こんげつ10日にちに陽性ようせいと確認かくにんされました。

保健所ほけんじょからは自宅じたくで療養りょうようし、血液けつえき中ちゅうの値ねを測はかって毎日まいにち、アプリで報告ほうこくするよう求もとめられましたが、酸素さんその値ねを測はかる機械きかいは今いまも送おくられてきていません。

妻つまが陽性ようせいと確認かくにんされて3日にち後ごの今月こんげつ13日にち、妻つまが熱ねつと全身ぜんしんの倦怠けんたい感かんに加くわえ、胸むねの痛いたみを訴うったえたため、男性だんせいは救急きゅうきゅう車しゃを呼よびました。

しかし、救急きゅうきゅう隊員たいいんからは、病床びょうしょうがひっ迫ひっぱくしているため、保健所ほけんじょの許可きょかがなければ、病院びょういんに搬送はんそうできないと断ことわられたと言いいます。

さらに2日にち後ごの今月こんげつ15日にち、今度こんどは妻つまがトイレで倒たおれ、気きを失うしなっているのを見みつけ、2度目どめの救急きゅうきゅう要請ようせいを行おこないました。

今度こんどは救急きゅうきゅう隊たいが保健所ほけんじょの医師いしと連絡れんらくをとりましたが、血液けつえき中ちゅうの酸素さんその値ねが入院にゅういんが必要ひつような数値すうちではないとして搬送はんそうされませんでした。

妻つまはその後そのご、今週こんしゅうになって熱ねつが36度ど台だいから37度ど台だいまで下さがりましたが、これまでに経験けいけんしたことがないという倦怠けんたい感かんが続つづき、今いまも寝込ねこんでいるということです。

男性だんせいは「病床びょうしょうがひっ迫ひっぱくしているとは聞きいていたが、想像そうぞう以上いじょうに医療いりょうが厳きびしいのではないかと実感じっかんした。妻つまのように急変きゅうへんのリスクをかかえながら自宅じたくで過すごしている人ひとは多おおいと思おもう。早はやく感染かんせん者しゃが減へってきちんと医療いりょうが受うけられる状況じょうきょうになってほしい」と訴うったえていました。