大阪おおさか「医療いりょう現場げんばが追い詰おいつめられている」受け入うけいれ困難こんなん 次々つぎつぎ拡大かくだい

重症じゅうしょう病床びょうしょうで診みられない重症じゅうしょう患者かんじゃは中等ちゅうとう症しょうの病院びょういんで治療ちりょうを続つづけていて、その人数にんずうは29日にちの時点じてんで58人にんにのぼります。しかしこのことで、中等ちゅうとう症しょうの病院びょういんでは、本来ほんらい担になうべき中等ちゅうとう症しょうの患者かんじゃの受け入うけいれ体制たいせいに影響えいきょうがおよんでいます。

北きた大阪おおさかほうせんか病院びょういん 田原たはら祐子ゆうこ副ふく看護かんご部長ぶちょう

「社会しゃかいの状況じょうきょうを見みていて、状況じょうきょうが悪化あっかすることは予測よそくしていましたが、ここまでになるとは思おもっていませんでした。日々ひび、緊迫きんぱく感かんと緊張きんちょう感かんがすごく、いったいいつまでこの状態じょうたいが続つづくのか…、というのが本心ほんしんです」

「サチュレーション（血ち中ちゅうの酸素さんその値ね）、耳みみにつけてもらってもいいですかね」

病院びょういんが想定そうていしていなかったのが、重症じゅうしょう患者かんじゃへの対応たいおうです。

4月つき中旬ちゅうじゅんに入院にゅういんした患者かんじゃの場合ばあい、当初とうしょは会話かいわもできる状態じょうたいでした。ところが、入院にゅういんから2日にち後ご、容体ようだいが急変きゅうへんし、自力じりきで呼吸こきゅうするのが難むずかしくなり、重症じゅうしょう病床びょうしょうへの転院てんいんを府ふに要請ようせいしました。

しかし、転院てんいんを断ことわられ、病院びょういんは急きゅうきょ、人工じんこう呼吸こきゅう器きを装着そうちゃくして治療ちりょうを続つづけました。

北きた大阪おおさかほうせんか病院びょういん 吉川よしかわ昌平しょうへい内科ないか部長ぶちょう

「現時点げんじてんでは重症じゅうしょう病床びょうしょうがひっ迫ひっぱくしてますので、当とう院いんで治療ちりょうを続つづけざるを得えない状況じょうきょうになってますね」

重症じゅうしょう患者かんじゃは容体ようだいが急変きゅうへんするリスクが高たかいため、つきっきりで看護かんごしなければならず、より多おおくの人手ひとでがかかります。

看護かんご師しの数かずは変かわらないため、重症じゅうしょう患者かんじゃが転院てんいんできないと、対応たいおうできる中等ちゅうとう症しょうの患者かんじゃの数かずが減へってしまうのです。

この日ひは病床びょうしょうが7つ、空あいていましたが、新あらたに中等ちゅうとう症しょうの患者かんじゃを受け入うけいれるのは難むずかしいといいます。

「重症じゅうしょう患者かんじゃは想定そうていした以上いじょうにマンパワーがかかります。本当ほんとうに重症じゅうしょう者しゃが増ふえてくるのはこれからだと思おもっていますので、すごく不安ふあんですし、正直しょうじきなところ脅威きょういを感かんじています」

これ以上いじょう、重症じゅうしょう患者かんじゃが増ふえると、現状げんじょうのスタッフの数かずでは対応たいおうが難むずかしく、軽症けいしょう・中等ちゅうとう症しょうの患者かんじゃの受け入うけいれの制限せいげんも検討けんとうせざるを得えないとしています。

この病院びょういんでは、コロナ病棟びょうとうのスタッフの増員ぞういんが必要ひつようになるとみて、医師いしや看護かんご師しの新規しんき採用さいようも試こころみていますが、一般いっぱん診療しんりょうを行おこなっている医療いりょうスタッフの配置はいちの変更へんこうも検討けんとうしなければならなくなるため、コロナ以外いがいの患者かんじゃの治療ちりょうにも影響えいきょうが出でてしまうのではないかと懸念けねんしています。

その上うえで、舘田たてだ教授きょうじゅは「感染かんせん状況じょうきょうが深刻しんこくになり、医療いりょう現場げんばが厳きびしくなってしまった場合ばあいは限かぎられた人員じんいんや資材しざいの中なかでできることをやって乗り切のりきっていくしかないという部分ぶぶんがある。重症じゅうしょう患者かんじゃが急増きゅうぞうした場合ばあいに備そなえ、ふだんから自治体じちたいなどで話し合はなしあい、病院びょういん間かんで柔軟じゅうなんに患者かんじゃを受け入うけいれるようにするなど、広ひろい範囲はんいで医療いりょう体制たいせいを整ととのえておくことも必要ひつようだ」と話はなしています。