Actualités japonaises: 小津安二郎監督作品の台本新たに見つかるせりふへのこだわり

小津こづ安やす二に郎ろう監督かんとく作品さくひんの台本だいほん新あらたに見みつかるせりふへのこだわり

Oct 28, 2023 18:10 2

Furigana

「東京とうきょう物語ものがたり」などの名作めいさくを手てがけた日本にっぽん映画えいがの巨匠きょしょう、小津こづ安やす二に郎ろう監督かんとくが撮影さつえいした4つの作品さくひんで、助じょ監督かんとくが使用しようしていた台本だいほんが新あらたに見みつかりました。台本だいほんにはせりふを変更へんこうした跡あとが複数ふくすう見みられ、研究けんきゅう者しゃは「小津こづ監督かんとくは脚本きゃくほんの完成かんせい後ごに内容ないようを変かえないと言いわれてきたが、実際じっさいには撮影さつえいに入はいってからも推すいこうしていたことがうかがえ、せりふへのこだわりが分わかる資料しりょうだ」と話はなしています。

ことし生誕せいたん120周年しゅうねんを迎むかえる小津こづ安やす二に郎ろう監督かんとくは「小津こづ調ちょう」と呼よばれるローポジションの構図こうずなど、独自どくじの撮影さつえい手法しゅほうや演出えんしゅつを確立かくりつし、1963年ねんに60歳さいで亡なくなるまで、世界せかい的てきにも高たかく評価ひょうかされる映画えいがを数多かずおおく手てがけました。

新あらたに見みつかったのは、戦後せんごに撮影さつえいした

「麦秋むぎあき」

「お早はやよう」

「秋日和あきびより」

そして、遺作いさくとなった「秋刀魚さんまの味あじ」の

4つの映画えいがで助じょ監督かんとくが使つかっていた台本だいほんです。

小津こづ作品さくひんの研究けんきゅうにあたっている松浦まつうら莞ふとい二にさんによりますと、小津こづ監督かんとくは脚本きゃくほんの完成かんせい後ごは内容ないようを変かえないと言いわれてきましたが、見みつかった台本だいほんにはせりふの変更へんこうなど監督かんとくの指示しじとみられる書き込かきこみが複数ふくすう見みられたため、詳くわしく調しらべたということです。

このうち、「麦秋むぎあき」の台本だいほんでは、娘むすめが嫁とつぐのを前まえに老ろう夫婦ふうふが語り合かたりあうシーンで、妻つまの「でもまだ」というせりふに、「これからだって」ということばを書かき加くわえて、「でもこれからだってまだ」に変更へんこうしていました。

ところが、映画えいがのシーンと照てらしあわせてみると、このせりふを語かたる妻つまの口くちの動うごきは「でもまだ」となっていて、聞きこえてくるせりふと口くちの動うごきが合あっていないことが分わかりました。

こうしたことから、松浦まつうらさんは、撮影さつえい時じには変更へんこうされる前まえのせりふで演えんじていたものの、撮影さつえいが終おわったあと、映像えいぞうに合あわせて音声おんせいを吹き込ふきこむ「アフレコ」の時ときに変更へんこうされたとみていて、小津こづ監督かんとくが映画えいがを完成かんせいさせる直前ちょくぜんまでせりふを推すいこうしていたことがうかがえると分析ぶんせきしています。

このほか、「お早はやよう」では、パンツを汚よごしてしまった子こどもが母親ははおやに怒おこられるコミカルなラストシーンが当初とうしょの台本だいほんにはなく、手書てがきで新あらたに付け足つけたされていたことなども確認かくにんされたということです。

映画えいが研究けんきゅう者しゃの松浦まつうら莞ふとい二にさんは「特とくに『お早はやよう』と『麦秋むぎあき』は監督かんとくが使用しようしていた台本だいほんも見みつかっていないので、極きわめて貴重きちょうだ。監督かんとくが実際じっさいは撮影さつえいに入はいってからもせりふを推すいこうして、たくさん変更へんこうを加くわえていることに驚おどろき、改あらためてせりふへのこだわりがすごいと思おもうようになった。小津こづ監督かんとくの脚本きゃくほんや撮影さつえいについての調査ちょうさや分析ぶんせきはまだ始はじまったばかりで、さらに研究けんきゅうを進すすめていきたい」と話はなしています。